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芥川賞&直木賞(2021年下半期)候補作が決定 両賞とも5名がノミネート

芥川賞&直木賞(2021年下半期)候補作が決定

芥川賞&直木賞(2021年下半期)候補作が決定

日本文学振興会は12月16日、第166回芥川龍之介賞(2021年下半期)および第166回直木三十五賞(2021年下半期)の候補作品を発表しました。

芥川龍之介賞、直木三十五賞ともに、2022年1月19日に都内で選考委員会が開催され、それぞれ受賞作品が決定します。

 

第166回芥川賞 候補作について

第166回芥川賞の候補作は以下の5作品です。

 
【第166回芥川賞 候補作】

◎石田夏穂(いしだ・かほ)さん「我が友、スミス」(『すばる』11月号)

◎九段理江(くだん・りえ)さん「Schoolgirl」(『文學界』12月号)

◎島口大樹(しまぐち・だいき)さん「オン・ザ・プラネット」(『群像』12月号)

◎砂川文次(すなかわ・ぶんじ)さん「ブラックボックス」(『群像』8月号)

◎乗代雄介(のりしろ・ゆうすけ)さん「皆のあらばしり」(『新潮』10月号)

 
石田夏穂さんは、1991年生まれ。埼玉県出身、東京都在住。東京工業大学工学部卒業。2021年「我が友、スミス」で第45回すばる文学賞佳作
、来年に同作で単行本デビュー予定。ノミネートは今回が初。

九段理江さんは、1990年生まれ。2021年「悪い音楽」で第126回文學界新人賞を受賞。ノミネートは今回が初。

島口大樹さんは、1998年生まれ。横浜国立大学経営学部卒業。2021年「鳥がぼくらは祈り、」で第64回群像新人文学賞を受賞しデビュー。同作は第43回野間文芸新人賞候補に。ノミネートは今回が初。

砂川文次さんは、1990年生まれ。神奈川大学卒業。2016年「市街戦」で第121回文學界新人賞を受賞。今回で3度目のノミネート。

乗代雄介さんは、1986年生まれ。北海道出身。法政大学社会学部メディア社会学科卒。2015年「十七八より」で第58回群像新人文学賞を受賞しデビュー。2018年『本物の読書家』で第40回野間文芸新人賞、2021年『旅する練習』で第34回三島由紀夫賞を受賞。今回で3度目のノミネート。

 

第166回直木賞 候補作について

第166回直木賞の候補作は以下の5作品です。

 
【第166回直木賞 候補作】

◎逢坂冬馬(あいさか・とうま)さん『同志少女よ、敵を撃て』(早川書房)

◎彩瀬まる(あやせ・まる)さん『新しい星』(文藝春秋)

◎今村翔吾(いまむら・しょうご)さん『塞王の楯』(集英社)

◎柚月裕子(ゆづき・ゆうこ)さん『ミカエルの鼓動』(文藝春秋)

◎米澤穂信(よねざわ・ほのぶ)さん『黒牢城』(KADOKAWA)

 
逢坂冬馬さんは、1985年生まれ。埼玉県所沢市出身、横浜市育ち。明治学院大学国際学部国際学科卒業。2021年『同志少女よ、敵を撃て』で第11回アガサ・クリスティー賞を受賞>しデビュー。ノミネートは今回が初。

彩瀬まるさんは、1986年生まれ。千葉県出身。上智大学文学部卒業。2010年「花に眩む」で第9回女による女のためのR-18文学賞読者賞を受賞。2013年『あのひとは蜘蛛を潰せない』で小説家デビュー。2017年『くちなし』で第5回高校生直木賞を受賞。今回で2度目のノミネート。

今村翔吾さんは、1984年生まれ。京都府出身。ダンスインストラクター、作曲家、守山市での埋蔵文化財調査員を経て、2017年『火喰鳥 羽州ぼろ鳶組』でデビュー。同作で第7回歴史時代作家クラブ賞・文庫書き下ろし新人賞を受賞。2018年「童神」(刊行時『童の神』と改題)で第10回角川春樹小説賞、2020年『八本目の槍』で第41回吉川英治文学新人賞、同年『じんかん』で第11回山田風太郎賞、2021年「羽州ぼろ鳶組」シリーズで第6回吉川英治文庫賞を受賞。今回で3度目のノミネート。

柚月裕子さんは、1968年生まれ。岩手県出身。2008年「臨床真理」で第7回「このミステリーがすごい!」大賞を受賞し、翌年に同作品でデビュー。2013年『検事の本懐』で第15回大藪春彦賞、2016年『孤狼の血』で第69回日本推理作家協会賞、2019年『朽ちないサクラ』で第5回徳間文庫大賞を受賞。今回で2度目のノミネート。

米澤穂信さんは、1978年生まれ。岐阜県出身。2001年『氷菓』で第5回角川学園小説大賞ヤングミステリー&ホラー部門奨励賞を受賞しデビュー。2011年『折れた竜骨』で第64回日本推理作家協会賞(長編及び連作短編集部門)、2014年『満願』で第27回山本周五郎賞、2021年『黒牢城』で第12回山田風太郎賞を受賞。今回で3度目のノミネート。

 

芥川賞と直木賞について

芥川賞と直木賞は、1935(昭和10)年に制定され、芥川賞は新聞・雑誌(同人雑誌を含む)に発表された純文学短編作品、直木賞は新聞・雑誌(同)・単行本として発表された短編および長編の大衆文芸作品の中から優れた作品に贈られます。

芥川賞は主に無名・新進作家が、直木賞は無名・新進・中堅作家が対象となります。受賞者には正賞として時計、副賞として賞金100万円が授与されます。

 

我が友、スミス
石田 夏穂 (著)

【第45回すばる文学賞佳作】

前代未聞の筋トレ小説、誕生!

「別の生き物になりたい」。
筋トレに励む会社員・U野は、Gジムで自己流のトレーニングをしていたところ、O島からボディ・ビル大会への出場を勧められ、本格的な筋トレと食事管理を始める。しかし、大会で結果を残すためには
筋肉のみならず「女らしさ」も鍛えなければならなかった――。

鍛錬の甲斐あって身体は仕上がっていくが、職場では彼氏ができてダイエットをしていると思われ、母からは「ムキムキにならないでよ」と心無い言葉をかけられる。
モヤモヤした思いを解消できないまま迎えた大会当日。
彼女が決勝の舞台で取った行動とは?
世の常識に疑問を投げかける圧巻のデビュー作。

皆のあらばしり
乗代 雄介 (著)

ぼくと中年男は、謎の本を探し求める。三島賞作家の受賞第一作。幻の書の新発見か、それとも偽書か――。高校の歴史研究部活動で城址を訪れたぼくは中年男に出会う。人を喰った大阪弁とは裏腹な深い学識で、男は旧家の好事家が蔵書目録に残した「謎の本」の存在を追い始めた。うさん臭さに警戒しつつも、ぼくは男の博識に惹かれていく。ラストの逆転劇が光る、良質のミステリのような注目作。

同志少女よ、敵を撃て
逢坂 冬馬 (著)

発売前からSNSで話題を呼び、刊行一週間で5万部を突破。
史上初、選考委員全員が5点満点をつけた、第11回アガサ・クリスティー賞大賞受賞作

アクションの緊度、迫力、構成のうまさは只事ではない。
とても新人の作品とは思えない完成度に感服。──北上次郎(書評家)

これは武勇伝ではない。
狙撃兵となった少女が何かを喪い、
何かを得る物語である。
──桐野夏生(作家)

復讐心に始まった物語は、隊員同士のシスターフッドも描きつつ壮大な展開を見せる。胸アツ。──鴻巣友季子(翻訳家)

多くの人に読んで欲しい! ではなく、
多くの人が目撃することになる
間違いなしの傑作!
──小島秀夫(ゲームクリエイター)

文句なしの5点満点、
アガサ・クリスティー賞の名にふさわしい傑作。──法月綸太郎(作家)

独ソ戦が激化する1942年、モスクワ近郊の農村に暮らす少女セラフィマの日常は、突如として奪われた。急襲したドイツ軍によって、母親のエカチェリーナほか村人たちが惨殺されたのだ。自らも射殺される寸前、セラフィマは赤軍の女性兵士イリーナに救われる。「戦いたいか、死にたいか」――そう問われた彼女は、イリーナが教官を務める訓練学校で一流の狙撃兵になることを決意する。母を撃ったドイツ人狙撃手と、母の遺体を焼き払ったイリーナに復讐するために。同じ境遇で家族を喪い、戦うことを選んだ女性狙撃兵たちとともに訓練を重ねたセラフィマは、やがて独ソ戦の決定的な転換点となるスターリングラードの前線へと向かう。おびただしい死の果てに、彼女が目にした“真の敵”とは?

新しい星
彩瀬 まる (著)

直木賞候補作、高校生直木賞受賞作『くちなし』から4年――

私たちは一人じゃない。これからもずっと、ずっと

愛するものの喪失と再生を描く、感動の物語

幸せな恋愛、結婚だった。これからも幸せな出産、子育てが続く……はずだった。順風満帆に「普通」の幸福を謳歌していた森崎青子に訪れた思いがけない転機――娘の死から、彼女の人生は暗転した。離婚、職場での理不尽、「普通」からはみ出した者への周囲の無理解。「再生」を期し、もがけばもがくほど、亡くした者への愛は溢れ、「普通」は遠ざかり……。(表題作「新しい星」)

美しく、静謐に佇む物語
気鋭が放つ、新たな代表作

塞王の楯
今村 翔吾 (著)

どんな攻めをも、はね返す石垣。
どんな守りをも、打ち破る鉄砲。
「最強の楯」と「至高の矛」の対決を描く、究極の戦国小説!

越前・一乗谷城は織田信長に落とされた。
幼き匡介(きょうすけ)はその際に父母と妹を喪い、逃げる途中に石垣職人の源斎(げんさい)に助けられる。
匡介は源斎を頭目とする穴太衆(あのうしゅう)(=石垣作りの職人集団)の飛田屋で育てられ、やがて後継者と目されるようになる。匡介は絶対に破られない「最強の楯」である石垣を作れば、戦を無くせると考えていた。両親や妹のような人をこれ以上出したくないと願い、石積みの技を磨き続ける。

秀吉が病死し、戦乱の気配が近づく中、匡介は京極高次(きょうごくたかつぐ)より琵琶湖畔にある大津城の石垣の改修を任される。
一方、そこを攻めようとしている毛利元康は、国友衆(くにともしゅう)に鉄砲作りを依頼した。「至高の矛」たる鉄砲を作って皆に恐怖を植え付けることこそ、戦の抑止力になると信じる国友衆の次期頭目・彦九郎(げんくろう)は、「飛田屋を叩き潰す」と宣言する。

大軍に囲まれ絶体絶命の大津城を舞台に、宿命の対決が幕を開ける――。

ミカエルの鼓動
柚月 裕子 (著)

この者は、神か、悪魔か――。
気鋭の著者が、医療の在り方、命の意味を問う感動巨編。

大学病院で、手術支援ロボット「ミカエル」を推進する心臓外科医・西條。そこへ、ドイツ帰りの天才医師・真木が現れ、西條の目の前で「ミカエル」を用いない手術を、とてつもない速さで完遂する。
あるとき、難病の少年の治療方針をめぐって、二人は対立。
「ミカエル」を用いた最先端医療か、従来の術式による開胸手術か。
そんな中、西條を慕っていた若手医師が、自らの命を絶った。
大学病院の闇を暴こうとする記者は、「ミカエルは人を救う天使じゃない。偽物だ」と西條に迫る。
天才心臓外科医の正義と葛藤を描く。

黒牢城
米澤 穂信 (著)

史上初、四大ミステリランキング完全制覇! 第12回山田風太郎賞受賞!!

本能寺の変より四年前、天正六年の冬。織田信長に叛旗を翻して有岡城に立て籠った荒木村重は、城内で起きる難事件に翻弄される。動揺する人心を落ち着かせるため、村重は、土牢の囚人にして織田方の軍師・黒田官兵衛に謎を解くよう求めた。事件の裏には何が潜むのか。戦と推理の果てに村重は、官兵衛は何を企む。デビュー20周年の集大成。『満願』『王とサーカス』の著者が辿り着いた、ミステリの精髄と歴史小説の王道。

【受賞歴】
『このミステリーがすごい! 2022年版』(宝島社)国内編第1位
週刊文春ミステリーベスト10(週刊文春2021年12月9日号)国内部門第1位
「ミステリが読みたい! 2022年版」(ハヤカワミステリマガジン2022年1月号)国内篇第1位
『2022本格ミステリ・ベスト10』(原書房)国内ランキング第1位
第12回山田風太郎賞

 
【関連】
芥川龍之介賞|公益財団法人日本文学振興会
直木三十五賞|公益財団法人日本文学振興会

 


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