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運行から11年、豪華列車の生みの親・唐池恒二さんが3年連続世界一の戦略を明かす『ななつ星への道』が刊行

豪華列車の生みの親、唐池恒二さん著『ななつ星への道 Stairway to Seven Stars』がPHP研究所より刊行されました。

2013年10月に日本初のクルーズトレインとして誕生した「ななつ星 in 九州」は、世界の旅行業界の権威である「コンデナスト・トラベラー」で2021年から3年連続1位に輝くなど、多くの旅行者を魅了しています。本書は10年以上を経ても今なおその価値を増し続ける豪華列車について、生みの親である唐池恒二さんが、その誕生から成功までを振り返りながら世界一の戦略を明かすものです。

 

幹部を唖然とさせた豪華寝台列車構想

2009年、JR九州社長に就任した唐池恒二さんは、2年後に控えた九州新幹線全線開業が会社の唯一の夢であることに危機感を抱き、新たな目標として豪華寝台列車の構想を提案しました。これが「ななつ星」の出発点となります。

 
当初、幹部や運輸部長から強い反対がありましたが、韓国の豪華列車「ヘラン」を視察させることで意識の転換に成功。帰国後、反対していた運輸部長を「九州レールクルーズ創造委員会」の事務局長に任命し、反対派を巻き込みながらプロジェクトを推進した結果、「ななつ星」の成功に繋がりました。特に、反対していた運輸部長をあえて事務局長に任命するという決断は、リーダーとしての唐池さんの度量と戦略的な人事配置を示しています。

 
<ななつ星を世界一にしたブランド戦略>

唐池さんはこの本の章タイトルでもある、下記の五つが「ななつ星」のブランディングを成功させた要素と述べています。

1.思い切り心ときめく車両
2.「ほおぉうっ」と唸る物語
3.誰も体験したことがない「おもてなし」
4.わがままで傲慢な、販売戦略とブランディング
5.「変幻自在」の広報宣伝

 
なかでも2.の「『ほおぉうっ』と唸る物語」は、ななつ星の成功に欠かせないものです。水戸岡鋭治さんのクラシックな車両デザインから人間国宝である十四代酒井田柿右衛門さんの洗面鉢、釘を一切使わない大川組子の車両パーテンション、国際線の元CAや一流のコンシェルジュなど内外から集められたクルーたち………ハードからソフトまで「ななつ星」には世界一を目指す人々の熱量とドラマが詰まっています。彼らのストーリーが「ななつ星」を世界一のブランドに押し上げたのです。

 

車両をデザインした水戸岡鋭治さんが装丁と挿絵を担当

「ななつ星」の成功要因の一つである水戸岡鋭治さんのデザインは、2014年に「鉄道のノーベル賞」ともいわれる鉄道デザインの国際的なコンペ「ブルネル賞」を受賞し、豪華老舗ホテルを彷彿とさせるデザインが評価されました。

 
当初、水戸岡さんはモダンなデザインを構想していましたが、クラシックな重厚感を求める唐池さんの要望を受けて方向転換。懐かしくも新しい「ななつ星」独自のデザインを完成させました。

本書のブックデザインと挿絵も水戸岡さんが担当し、車両から室内装飾まで「ななつ星」のデザイン画がたっぷり掲載されています。ななつ星の雰囲気や誕生の物語を挿絵からも味わうことができる一冊です。

 

本書の構成

一章 着想から構想へ

二章 思い切り心ときめく車両

三章 「ほおぉうっ」と唸る物語

四章 誰も体験したことがない「おもてなし」

五章 わがままで傲慢な、販売戦略とブランディング

六章 「変幻自在」の広報宣伝

七章 「次の夢」はあるか

 

著者プロフィール

唐池恒二(からいけ・こうじ)さんは、九州旅客鉄道株式会社 相談役。

1953年生まれ。1977年、京都大学法学部を卒業後、日本国有鉄道(国鉄)入社。1987年、国鉄分割民営化に伴い、新たにスタートした九州旅客鉄道(JR九州)において、「ゆふいんの森」「あそBOY」をはじめとするD&S(デザイン&ストーリー)列車運行、博多~韓国・釜山間を結ぶ高速船「ビートル」就航に尽力する。また、大幅な赤字を計上していた外食事業を黒字に転換させ、別会社化したJR九州フードサービスの社長に就任。2002年には、同社で自らプロデュースした料理店「うまや」の東京進出を果たし、大きな話題を呼んだ。

2009年6月、JR九州代表取締役社長に就任。2011年には、九州新幹線全線開業、国内最大級の駅ビル型複合施設「JR博多シティ」をオープン。2013年10月に運行を開始し、世界的な注目を集めたクルーズトレイン「ななつ星 in 九州」は、その企画立案から運行まで陣頭指揮に当たった。代表取締役会長就任後の2016年には同社の悲願であった株式上場を実現。2023年より現職。また九州観光の発展のため、「九州観光戦略」の実行組織である九州観光機構の会長も務める。

 

ななつ星への道 Stairway to Seven Stars
唐池 恒二 (著)

☆米旅行誌『コンデナスト・トラベラー』実施
読者投票「リーダーズ・チョイス・アワード」で列車部門3年連続(2021-2023)世界一!!☆
「ななつ星 in 九州」創生の秘話を、著者が初めてテーマにして明かす!!

九州中を巡る列車で「世界一」を目指す――
不可能と言われたプロジェクトはその後、世界の旅行業界の権威である『コンデナスト・トラベラー』で毎年1位に輝き、運行から10年以上を経て今もなおその価値を増し続けている。

プロジェクトが立ち上がり、実現に向けて動いたとき、人が、組織が、地域が変わる!
付加価値を高めるブランディングや、プロジェクトの立ち上げ、チームビルディング、人材育成に活かせる事例が多数掲載!ななつ星はハードだけでなく、ソフトも凄かった!!
ゼロから本気で世界に挑戦した、ななつ星のおもてなしの神髄とは――
世界一へ駆け上がったブランディングとは――

また装丁から挿絵、ブックデザインにいたるまで、ななつ星デザイナー・水戸岡鋭治氏が手掛け、本書に彩りを加えている。

 


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