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【第165回芥川賞&直木賞】芥川賞に石沢麻依さん「貝に続く場所にて」と李琴峰さん「彼岸花が咲く島」、直木賞は佐藤究さん『テスカトリポカ』と澤田瞳子さん『星落ちて、なお』

第165回芥川賞&直木賞が決定!

第165回芥川賞&直木賞が決定!

第165回芥川龍之介賞および直木三十五賞の選考委員会が7月14日に都内で開催され、それぞれ受賞作が決定しました。

 

芥川賞は石沢麻依さんと李琴峰さんがW受賞!

第165回芥川賞は、下記候補作の中から石沢麻依さんの「貝に続く場所にて」(『群像』6月号)李琴峰さんの「彼岸花が咲く島」(『文學界』3月号)が受賞作に決定しました。

 
石沢麻依(いしざわ・まい)さんは、1980年生まれ。宮城県仙台市出身。東北大学大学院文学研究科修士課程修了。現在、ドイツ在住。2021年「貝に続く場所にて」で第64回群像新人文学賞を受賞。

石沢麻依さん

石沢麻依さん

李琴峰(り・ことみ)さんは、1989年生まれ。台湾出身。中国語を第一言語としながら、15歳より日本語を学習。また、その頃から中国語で小説創作を試みます。2013年、台湾大学卒業後に来日。2015年に早稲田大学大学院日本語教育研究科修士課程を修了。2016年、民間企業に就職。2017年、初めて日本語で書いた小説「独舞」で第60回群像新人文学賞優秀作を受賞し、デビュー。2018年末に勤務先を退職。2019年より独立起業し、以来、作家・翻訳家・通訳者として活動。2021年3月『ポラリスが降り注ぐ夜』で「第71回芸術選奨」文部科学大臣新人賞を受賞。公式サイト:https://www.likotomi.com/

李琴峰さん (C)大坪尚人

李琴峰さん (C)大坪尚人

 
選考委員は、小川洋子さん、奥泉光さん、川上弘美さん、島田雅彦さん、平野啓一郎さん、堀江敏幸さん、松浦寿輝さん、山田詠美さん、吉田修一さん。

 
【芥川賞 候補作】
◎石沢麻依さん「貝に続く場所にて」(『群像』6月号)
◎くどうれいんさん「氷柱(つらら)の声」(『群像』4月号)
◎高瀬隼子さん「水たまりで息をする」(『すばる』3月号)
◎千葉雅也さん「オーバーヒート」(『新潮』6月号)
◎李琴峰さん「彼岸花が咲く島」(『文學界』3月号)

 

直木賞は佐藤究さんと澤田瞳子さんがW受賞!

第165回直木賞は、下記候補作の中から佐藤究さんの『テスカトリポカ』(KADOKAWA)澤田瞳子さんの『星落ちて、なお』(文藝春秋)が受賞作に決定しました。

 
佐藤究(さとう・きわむ)さんは、1977年生まれ。福岡県出身。福岡大学付属大濠高等学校卒業。2004年、佐藤憲胤名義の『サージウスの死神』が第47回群像新人文学賞優秀作となり、同作でデビュー。2016年『QJKJQ』で第62回江戸川乱歩賞を受賞。2018年『 Ank: a mirroring ape 』で第20回大藪春彦賞第39回吉川英治文学新人賞をW受賞。2021年5月『テスカトリポカ』で第34回山本周五郎賞を受賞

佐藤究さん (撮影:山口宏之)

佐藤究さん (撮影:山口宏之)

澤田瞳子(さわだ・とうこ)さんは、1977年生まれ。京都府出身。同志社大学文学部卒業、同大学院文学研究科博士課程前期修了。2010年『孤鷹の天』でデビュー。2011年、同作で中山義秀文学賞、2012年『満つる月の如し 仏師・定朝』で本屋が選ぶ時代小説大賞、2013年、同作で新田次郎文学賞、2016年『若冲』で親鸞賞および歴史時代作家クラブ賞を受賞。2020年『駆け入りの寺』で第14回舟橋聖一文学賞を受賞

澤田瞳子さん

澤田瞳子さん

 
選考委員は、浅田次郎さん、伊集院静さん、角田光代さん、北方謙三さん、桐野夏生さん、高村薫さん、林真理子さん、三浦しをんさん、宮部みゆきさん。

 
【直木賞 候補作】
◎一穂ミチさん『スモールワールズ』(講談社)
◎呉勝浩さん『おれたちの歌をうたえ』(文藝春秋)
◎佐藤究さん『テスカトリポカ』(KADOKAWA)
◎澤田瞳子さん『星落ちて、なお』(文藝春秋)
◎砂原浩太朗さん『高瀬庄左衛門御留書』(講談社)

 

芥川賞と直木賞について

芥川賞と直木賞は、1935(昭和10)年に制定され、芥川賞は新聞・雑誌(同人雑誌を含む)に発表された純文学短編作品、直木賞は新聞・雑誌(同)・単行本として発表された短編および長編の大衆文芸作品の中から優れた作品に贈られます。

芥川賞は主に無名・新進作家が、直木賞は無名・新進・中堅作家が対象となります。受賞者には正賞として時計、副賞として賞金100万円が授与されます。

 

貝に続く場所にて
石沢 麻依 (著)

第64回群像新人文学賞受賞。
第165回芥川賞受賞。

コロナ禍が影を落とす異国の街に、9年前の光景が重なり合う。静謐な祈りをこめて描く鎮魂の物語。
ドイツの学術都市に暮らす私の元に、震災で行方不明になったはずの友人が現れる。人を隔てる距離と時間を言葉で埋めてゆく、現実と記憶の肖像画。

(群像新人文学賞 選評より)
記憶や内面、歴史や時間、ここと別のところなど、何層にも重なり合う世界を、今、この場所として描くことに挑んでいる小説 ーー柴崎友香氏

人文的教養溢れる大人の傑作
曖昧な記憶を磨き上げ、それを丹念なコトバのオブジェに加工するという独自の祈りの手法を開発した ――島田雅彦氏

犠牲者ではない語り手を用意して、生者でも死者でもない「行方不明者」に焦点を絞った点で、すばらしい。清潔感がある。 ーー古川日出男氏

彼岸花が咲く島
李 琴峰 (著)

彼岸花が咲き乱れる島に暮らす少女・游娜(ヨナ)はある日、砂浜に一人の少女が倒れているのを発見した。記憶を失っていた少女は、游娜によって宇実(ウミ)と名付けられる。
慣れない島の言葉〈ニホン語〉に戸惑う宇実。しかしほどなくして、歴史の伝承のために女性だけが話す言葉〈女語(じょご)〉が、自分の母語〈ひのもとことば〉にかなり近いことに気がつく。
やがて宇実は、游娜と二人で、島の指導者で歴史の担い手でもある〈ノロ〉を目指すことになる。一方、游娜の友人の拓慈(タツ)は、男性でありながら密かに〈女語〉を習得しており、〈ノロ〉になれる日を夢見ているのだった。
そして宇実は、この島の深い歴史に導かれていく――。

テスカトリポカ
佐藤 究 (著)

鬼才・佐藤究が放つ、クライムノベルの新究極、世界文学の新次元!

メキシコのカルテルに君臨した麻薬密売人のバルミロ・カサソラは、対立組織との抗争の果てにメキシコから逃走し、潜伏先のジャカルタで日本人の臓器ブローカーと出会った。二人は新たな臓器ビジネスを実現させるため日本へと向かう。川崎に生まれ育った天涯孤独の少年・土方コシモはバルミロと出会い、その才能を見出され、知らぬ間に彼らの犯罪に巻きこまれていく――。海を越えて交錯する運命の背後に、滅亡した王国〈アステカ〉の恐るべき神の影がちらつく。人間は暴力から逃れられるのか。心臓密売人の恐怖がやってくる。誰も見たことのない、圧倒的な悪夢と祝祭が、幕を開ける。

星落ちて、なお
澤田 瞳子 (著)

明治22年、自ら「画鬼」と称した不世出の絵師、河鍋暁斎が死んだ。暁斎の門下で、ずっと身のまわりの世話をしていた娘のとよ(暁翠)に対し、早くから養子に出され家を出た腹違いの兄・周三郎(暁雲)は、事あるごとに難癖をつける。絵の道に進まなかった弟の記六は、なにかと金を無心に来るような有様で、妹のきくは病弱で床に臥せる日々。また、「写真」と「洋画」の流行により、暁斎門下の描く絵にも時代の荒波が押し寄せていた。暁斎という巨星が墜ち、河鍋家と門弟のあいだで辛うじて保たれていた均衡が崩れつつあるなか、河鍋一門の行末は、とよの双肩にかかっていた。
 幕末から昭和という激動の時代を背景に、鬼才・河鍋暁斎という偉大な父の影に翻弄されながら、絵師として自らの道を模索し続けた女性の一代記。

 
【関連】
芥川龍之介賞|公益財団法人日本文学振興会
直木三十五賞|公益財団法人日本文学振興会

 


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