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『文學界』5月号で市川沙央さん芥川賞受賞第一作「オフィーリア23号」を発表 「第129回文學界新人賞」受賞2作の全文掲載も

文藝春秋が発行する『文學界』5月号にて、『ハンチバック』で芥川賞を受賞した市川沙央さんの受賞第一作が掲載されます。また、「第129回文學界新人賞」の受賞2作が全文掲載となります。

 

「女性には存在も本質もない。女は存在しない。非在なのだ」

第169回芥川賞受賞後、一世を風靡し、累計発行部数23万部となった『ハンチバック』。
文學界新人賞でデビューした市川さんが1年後、初めて世に送り出す作品が「オフィーリア23号」となります。

 
【あらすじ】

藤井那緒は、オットー・ヴァイニンガーの生まれ変わりである。
23歳で自殺した彼の唯一の著書『性と性格』を現代によみがえらせるべく、電車内でAirDropにいそしみ、各種SNSアカウントを作成しては日々、せっせと投稿をしている。そんな彼女は修論で、ヴァイニンガーと三島由紀夫の比較研究に取り組んでいる。彼らの共通点――すなわち「自殺」についてのヒントを得たいと、那緒は恋人にとあるアイデアをほのめかす。

ユーモアとパンチラインがますます冴えわたる、待望の芥川賞受賞第一作です。

 
<市川沙央(いちかわ・さおう)さん プロフィール>

1979年生まれ。早稲田大学人間科学部eスクール人間環境科学科卒業。筋疾患先天性ミオパチーによる症候性側彎症および人工呼吸器使用・電動車椅子当事者。「ハンチバック」で第128回文學界新人賞を受賞し、デビュー。同作で第169回芥川賞を受賞。

 

第129回 文學界新人賞発表! 2作同時受賞

応募総数2120篇のなかから、青山七恵さん、阿部和重さん、金原ひとみさん、中村文則さん、村田沙耶香さんの五選考委員により、厳正かつ真摯な選考が行われ、下記2作が決定しました。

 
◆旗原理沙子(はたはら・りさこ)さん「私は無人島」

〈受賞の言葉〉
このたびはすばらしい賞をいただき、まことにありがとうございます。物語の書かれた本があったから、別の国に住む大叔父とも話ができるようになりました。時と場所を越えるものを、書き継いでいきたいと思っております。たくさんの小説とそれに携わるみなさま、励まし助けてくれたみんなと、応援してくださるすべてのかたに感謝いたします。

★試し読み:https://books.bunshun.jp/articles/-/8750

 
◆福海隆(ふくみ・たかし)さん「日曜日(付随する19枚のパルプ)」

〈受賞の言葉〉
折れたシャーピン、限界効用逓減の法則(陳腐ながらわたしたちはいつもそうして失う)、28・83時の新京極公園で煙草を吸いながら語り合った薄ら寒い芸術論。泥酔の勢いでとある友人が吐きかけてくださった罵倒を引用するならば、わたしは所詮ノスタルジーのキメラを生み出しては悦に入っているだけですが、すこしでも楽しんでいただければ幸甚です。最後に、本作を拾い上げてくださった皆さま、家族、そして友人ども(特に大村、岡松、海部、片野、川野、田沼)に感謝いたします。これからも何卒。是非に。

★試し読み:https://books.bunshun.jp/articles/-/8791

 

特集は「心霊現象」

ほかにも『文學界』5月号では、「特集 心霊現象」を掲載しています。

江戸川乱歩や三島由紀夫といった文豪もチャレンジしたという「こっくりさんをやってみた」が実現。綿矢りささん、万城目学さん、森見登美彦さん、辛酸なめ子さんが参加しました。

(左上から時計回りに)森見登美彦さん、万城目学さん、辛酸なめ子さん、綿矢りささん

(左上から時計回りに)森見登美彦さん、万城目学さん、辛酸なめ子さん、綿矢りささん

 

編集長・浅井茉莉子さんの言葉

衝撃的なデビューとなった「ハンチバック」の掲載から一年、市川さんの二作目「オフィーリア23号」も最初から最後まで気を抜けない、野心的かつユーモア溢れる必読の作品です。また、選考会でそれぞれ強く推す声があった二作、「私は無人島」「日曜日(付随する19枚のパルプ)」を文學界新人賞として送り出せることも嬉しいです。ボリュームたっぷりのルポ「実録・こっくりさんをやってみた」も含む、特集「心霊現象」もあわせてお楽しみください!

 

『文學界』5月号 目次より(抜粋)

≪特集 心霊現象≫

【特別エッセイ】藤野可織「実話怪談を読むことについて」

【怪談エッセイ】
いとうせいこう「『悪霊』」
角田光代「異界に触れる」
東直子「浮遊する魂と電気」
マーサ・ナカムラ「見える」
南條竹則「ホテルの話」

【対談】高瀬隼子×大森時生「『不快な物語』の引力」

【新連載】松尾スズキ「家々、家々家々 ~男、松尾スズキ。魂の物件漂流物語~」

【創作】
又吉直樹「生きとるわ」短期集中連載第5回
青野暦「草雲雀日記抄」

【連載】筒井康隆「自伝 第2回 ヰタ・セクスアリス――少年期」

【リレーエッセイ】円城塔「身体を記す 第4回 コロニーに暮らす」

【今月のエッセイ】古田徹也「トイレ文庫のなかの『富士日記』」

【窓辺より】ひらいめぐみ「知らない人」/Ryu Ika「お別れだけの旅」

 

文学界 2024年 05 月号
文學界 (編集)

【第129回 文學界新人賞発表】 受賞作全文掲載
旗原理沙子「私は無人島」
あなたは壊れてくれますかー届いたメッセージは、堕胎をめぐる旅への入り口だった

福海隆「日曜日(付随する19枚のパルプ)」
見せもんじゃないし、社会とも闘わない。若きカップルの軽やかでささやかな日常と消耗

【選評】村田沙耶香・中村文則・阿部和重・金原ひとみ・青山七恵

【芥川賞受賞第一作】
市川沙央「オフィーリア23号」
「女は存在しない」ー那緒は前世で自殺した自分の言葉を、ネットの海に蘇らせる

 
【関連】
【第129回文學界新人賞受賞作】私は無人島 文學界5月号 | ためし読み – 本の話
【第129回文學界新人賞受賞作】日曜日(付随する19枚のパルプ) 文學界5月号 | ためし読み – 本の話

 


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