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最後に入る世界・お墓は私のためか誰かのためか? 吉村萬壱さん『みんなのお墓』が刊行

芥川賞作家・吉村萬壱さんによる、悲喜交々の群像劇『みんなのお墓』(カバー装画:三好愛さん)が徳間書店より刊行されました。

 

私たちの視界には、いつもお墓があった――。

本書は、共同墓地を舞台に描く、悲喜交々の群像劇です。

 
【あらすじ】

裸になる快感を追い求める主婦。
「真理」がわからないと言う小学四年生四人。
夜コンビニに出ることだけが日課の引きこもり男性。
「真・神塾」という塾への合宿参加を決めたギャル。
潔癖症の妻を持つ中年。
皆それぞれに悩みを抱えつつ、しかし必死に生きていこうとしている面々だった。

 
彼らはなぜ「内藤家之墓」に引き寄せられてしまうのか。
最後に入る世界・お墓は私のためか誰かのためか。
芥川賞作家が描く悲喜交々の群像劇。

 
<伊坂幸太郎さんによる帯・推薦文>

吉村萬壱さんは、
虫を観察するかのように、
天体を観測するかのように
人間の営みを描いていく。

深刻な話なのに、
どこか可笑しく感じてしまう。
こういうのが
僕の好きな文学なんだ。

倫理的にどうかと思う人たちが
たくさん出てくるけれど
読み終えた今も僕は
彼らのことを気にかけている。

「面白い文学」を探している人たちに
届いてほしい。

――吉村作品の昔からのファン
   伊坂幸太郎

 

著者コメント

この世界をゆるく拒否し、自分の負った傷をオリジナルな儀式によってこっそりと自分で治していくような隠れ変人が好きなので、今回は不謹慎にも共同墓地を舞台にそんなソロ魔女たちの狂態を描いてしまいました。人知れず「出口」を探している全ての人に。

――吉村萬壱

 

著者プロフィール

吉村萬壱(よしむら・まんいち)さんは、1961年生まれ。愛媛県松山市出身、大阪育ち。京都教育大学卒業後、東京、大阪の高校、支援学校教諭を務めた後、52歳で専業作家に。2001年「クチュクチュバーン」で第92回文學界新人賞を受賞してデビュー。

2003年「ハリガネムシ」で第129回芥川賞、2016年『臣女』で第22回島清恋愛文学賞を受賞。小説のほかに漫画『流しの下のうーちゃん』、エッセイ集『生きていくうえで、かけがえのないこと』『うつぼのひとりごと』『哲学の蠅』がある。ほかの著書に『バースト・ゾーン 爆裂地区』『ヤイトスエッド』『ボラード病』『虚ろまんてぃっく』『前世は兎』『出来事』『流卵』『死者にこそふさわしいその場所』、ディストピア群像劇『CF(シーエフ)』など。

 

みんなのお墓
吉村萬壱 (著)

 


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