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【第55回新潮新人賞】史上最年少17歳・伊良刹那さんと現役獣医師・赤松りかこさんが同時受賞

新潮社は、純文学を対象とする公募の新人文学賞「第55回新潮新人賞」の受賞作を発表しました。

 

第55回新潮新人賞が決定!

第55回新潮新人賞は過去最高となる2,788編の応募作品の中から、次の通り受賞作品が決定しました。

 
<第55回新潮新人賞 受賞作品>

◎伊良刹那(いら・せつな)さん
「海を覗く」

◎赤松りかこ(あかまつ・りかこ)さん
「シャーマンと爆弾男」

 
「海を覗く」は、高校2年生の美貌の青年・北条司と彼に惹かれる同級生の速水圭一、速水が所属する美術部部長の矢谷始、および矢谷と同じ予備校に通い醜いと描写される棚橋美穂らが織りなす群像劇です。作者自身が17歳という若さでありながら、確かな筆力で「美」に挑み続けた言葉の強さが評価されました。

「シャーマンと爆弾男」は南米にルーツを持ち、族長である母にシャーマンとして育てられ、東京世田谷に生きる女性アリチャイの物語です。空想と現実を川で繋いでいく世界観は奇抜で、アイデンティティを見失いつつある彼女の苦悩が胸を打ちます。

 
選考委員は、上田岳弘さん、大澤信亮さん、小山田浩子さん、金原ひとみさん、又吉直樹さん。受賞作品、各選考委員の選評については、10月6日発売の『新潮』11月号に掲載されます。

 
【選評より(抜粋)】

◆大澤信亮さん(「海を覗く」について)
「これを読んだあとでは他の候補作が霞んでしまった。通俗な言葉を一文字でも書くまいという作者の覚悟が、他の候補作が書いてしまっている無自覚な甘さや通念を、ことごとく批評しているように思えたのである。」

◆又吉直樹さん(「シャーマンと爆弾男」について)
「屋台崩しのように幻想が剥がされ、アイデンティティが崩壊していく不安と恐怖を綴りながら、それでも母に与えられた使命を拠り所に生きるしかない心境が描かれていた。信じていたものが崩れていくさまにユーモアがあり、それでも信じていたものを棄てきれない葛藤に人間の姿が見えた。」

 
なお、候補作品は、以下の5作品でした。

【候補作品】
◎伊良刹那さん「海を覗く」
◎赤松りかこさん「シャーマンと爆弾男」
◎嶋田春栄「先生、うんち行ってきます」
◎及森優作さん「捻転する人」
◎栗山真太朗さん「覗き見るもの」

 

受賞者プロフィール

 
■伊良刹那(いら・せつな)さん

2005年9月生まれ。18歳(受賞時17歳)。現在、高校3年生。

 
■赤松りかこ(あかまつ・りかこ)さん

1977年6月生まれ、東京都世田谷区出身。日大二高、獣医大学を卒業後、臨床獣医師を二十年。東京都世田谷区在住。

 

新潮新人賞について

新潮新人賞は、純文学を対象とする公募の新人文学賞です。新潮社が主催。毎年3月31日を締め切り日とし、受賞作はその年の『新潮』11月号に掲載されます。

また、受賞者には正賞として特製記念ブロンズ楯が、副賞として50万円が贈られます。

 

新潮2023年11月号
新潮編集部 (編集)

◆第55回新潮新人賞発表
受賞作 伊良刹那「海を覗く」240枚 17歳・史上最年少受賞
高2の春、彼は美しい彼に出会った
ーーZ世代が三島由紀夫を継承する鮮烈なデビュー作。

受賞作 赤松りかこ「シャーマンと爆弾男」110枚
シャーマンとして育った女と路上生活者の運命的邂逅。
大江健三郎の魂を受け継ぐ新星!

 
【関連】
新潮新人賞 | 新潮社
海を覗く/伊良刹那|新潮 立ち読み:2023年11月号 | 新潮社
受賞者インタビュー あんな綺麗な文章を書いてみたい――Z世代の「美」の物語/伊良刹那|新潮 立ち読み:2023年11月号 | 新潮社
シャーマンと爆弾男/赤松りかこ|新潮 立ち読み:2023年11月号 | 新潮社
受賞者インタビュー シャーマンを現代の東京に呼ぶ/赤松りかこ|新潮 立ち読み:2023年11月号 | 新潮社

 


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