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青木理さんと時代の最先端で抗う真のキーパーソン9人が対談!『時代の反逆者たち』が刊行

ジャーナリスト・青木理さんによる対話集『時代の反逆者たち』が河出書房新社より刊行されました。

 

戦争、歴史、マイノリティ、芸能、文学、ジャーナリズム……最前線で闘う9人の肉声

国内政治・外交・経済・歴史認識・メディア……さまざまな不正が露出することで、この国は崩壊の途を歩み続けています。
しかし、醜悪さが加速する社会情勢のなかにあって、各々の現場で気を吐き続け、「時代の反逆者」にならざるを得ない9人のプロフェッショナルがいる――。

 
いま最も戦闘的で叛骨のジャーナリスト青木理さんが、斯界のプロフェッショナルたちと対話を通じ、この時代に真摯に考えるべき課題や真実、そして日本の現実を浮き彫りにし、来るべき未来を探ります。

 
【内容紹介】

いま最も戦闘的なジャーナリスト・青木理さんが、各界で先鋭的に活躍する識者や活動家と対話を重ね、破滅に突き進むこの国の暗部を問う。未来を探るための必読書。

 
×李琴峰さん(作家)──負の歴史を記録するということ
×中島岳志さん(政治学者、歴史学者)──「永遠の微調整」としての保守をよみがえらせる
×松尾貴史さん(俳優、タレント、コラムニスト)──批評性のある面白おかしい芸能へ
×国谷裕子さん(ニュースキャスター、ジャーナリスト)──権力に対峙するジャーナリズム
×指宿昭一さん(弁護士、労働運動家)──ウィシュマさんを殺害した国家の欺瞞
×奈倉有里さん(ロシア文学者)──世界には決定的に文学が不足している
×斎藤幸平さん(哲学者、経済思想家、マルクス主義研究者)──資本主義でない世界を徹底して考える
×栗原俊雄さん(ジャーナリスト)──戦後補償問題を報道=運動する
×金英丸さん(ソウル「民族問題研究所」対外協力室長)──日韓関係において真の謝罪とは何か

 
※本書はスタジオジブリ刊行の月刊誌『熱風』で2015年7月から連載されている対談連載「日本人と戦後70年」より9編を選んだものです。

 

青木理さんによる「はじめに」より一部抜粋

それぞれの分野に精通した、あるいはそれぞれの分野の最前線で事象を追いかけている、まさにその道の信頼できるプロフェッショナルに直接話を訊き、それぞれが蓄積してきた知に眼と耳をそばだてれば、当たり前のことではあるけれど、それぞれの分野の歴史や現状、そして問題点などを広く深く、同時に簡潔かつ端的に縦覧することができる。

その聞き役であり、取りまとめ役でもある私は、いわば最前列でその知を堪能する一個の観客に近いのかもしれない。実際のところ本書には、いまという時代を生きる私たちが眼と耳をそばだて、真摯に思索すべきテーマがいくつも散りばめられ、凝縮されてもいると、最前列の観客でもある私は自負している。

(中略)

いうまでもなく、それらを本書にもたらしてくれたのは、それぞれの分野で気を吐く9人のプロフェッショナルである。しかも体制や大勢には断じてまつろわない、矜持と覚悟に満ちた9人の稀少で貴重な発言の一つひとつである。

だから最前列で聞き役、取りまとめ役を務めた私としては、9つの章のどこからでもいい、興味を惹かれた一編からでも本書を読み、まつろわぬ者たちが発する言葉に眼と耳をそばだて、真摯な思索の材料にしてほしいと心から願う。

 

本書の構成

 
第1章 李琴峰──負の歴史を記録するということ
李琴峰(り・ことみ) 1989年生まれ。小説家、翻訳家。2013年に来日、早稲田大学大学院日本語教育研究科修士課程を修了。2017年に『独り舞』で群像新人文学賞優秀作を受賞しデビュー。19年に『五つ数えれば三日月が』が芥川龍之介賞、野間文芸新人賞候補。21年に『ポラリスが降り注ぐ夜』で芸術選奨新人賞を受賞。同年、『彼岸花が咲く島』で三島由紀夫賞候補となり芥川龍之介賞を受賞。他の著書に『星月夜』、『生を祝う』、エッセイ集『透明な膜を隔てながら』など。

 
第2章 中島岳志──「永遠の微調整」としての保守をよみがえらせる
中島岳志(なかじま・たけし) 1975年、大阪府生まれ。大阪外国語大学卒業。京都大学大学院博士課程修了。東京工業大学リベラルアーツ研究教育院教授。学術博士(地域研究)。専攻は南アジア地域研究、近代日本政治思想。2005年に『中村屋のボース』で大佛次郎論壇賞、アジア・太平洋賞大賞を受賞。他の著書に『ナショナリズムと宗教』、『パール判事』、『秋葉原事件』、『「リベラル保守」宣言』、『血盟団事件』、『石原慎太郎 作家はなぜ政治家になったか』、『思いがけず利他』など。

 
第3章 松尾貴史──批評性のある面白おかしい芸能へ
松尾貴史(まつお・たかし) 1960年、兵庫県生まれ。大阪芸術大学芸術学部デザイン学科卒業。俳優、タレント、ナレーター、コラムニスト、“折り顔”作家など、幅広い分野で活躍。著書に『ORIGAO 折り顔』、『違和感ワンダーランド』『人は違和感が9割』など。

 
第4章 国谷裕子──権力に対峙するジャーナリズム
国谷裕子(くにや・ひろこ) 大阪府生まれ。東京藝術大学理事、自然エネルギー財団理事、FAO(国連食糧農業機関)日本担当親善大使。米国ブラウン大学卒業。1993年に開始したNHK総合「クローズアップ現代」のキャスターを、2016年3月まで23年間にわたって務める。現在は、SDGsの取材・啓発を中心に活動している。2002年に菊池寛賞、11年に日本記者クラブ賞、16年にギャラクシー賞特別賞などを受賞。著書に『クローズアップ藝大 国谷裕子+東京藝術大学』(河出新書)など。

 
第5章 指宿昭一──ウィシュマさんを殺害した国家の欺瞞
指宿昭一(いぶすき・しょういち) 1961年、神奈川県生まれ。弁護士。1985年に筑波大学第二学群比較文化学類を卒業、2007年弁護士登録。労働事件(労働者側)・外国人事件(入管事件)を専門とする。日本労働弁護団常任幹事、外国人技能実習生問題弁護士連絡会共同代表、外国人労働者弁護団代表、日本労働評議会顧問、全国一般東京ゼネラルユニオン顧問。2021年、米国務省が発表した世界各国の人身売買に関する報告書で、人身売買と闘うヒーローに選ばれた。著書に『使い捨て外国人─人権なき移民国家、日本』など。

 
第6章 奈倉有里──世界には決定的に文学が不足している
奈倉有里(なぐら・ゆり) 1982年、東京都生まれ。早稲田大学講師。専門はロシア詩、現代ロシア文学。2008年ロシア国立ゴーリキー文学大学で学士資格取得、東京大学大学院修士課程を経て博士課程満期退学。博士(文学)。21年に博士論文『アレクサンドル・ブローク 批評と詩学─焼身から世界の火災へ─』で東京大学而立賞を受賞。訳書にボリス・アクーニン『トルコ捨駒スパイ事件』、スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ『亜鉛の少年たち』、サーシャ・フィリペンコ『赤い十字』『理不尽ゲーム』など。

 
第7章 斎藤幸平──資本主義でない世界を徹底して考える
斎藤幸平(さいとう・こうへい) 1987年、東京都生まれ。哲学者。ベルリン・フンボルト大学哲学科博士課程修了。専門は経済思想、社会思想。東京大学大学院総合文化研究科准教授。Karl Marx’s Ecosocialism: Capital, Nature, and Unfinished Critique of Political Economy(Monthly Review Press/邦訳『大洪水の前に』堀之内出版)でドイッチャー記念賞を受賞。他の著書に『人新世の「資本論」』など。

 
第8章 栗原俊雄──戦後補償問題を報道=運動する
栗原俊雄(くりはら・としお) 1967年生まれ、東京都出身。毎日新聞記者。早稲田大学政治経済学部政治学科卒、同大学大学院修士課程修了(日本政治史)。2009年に疋田桂一郎賞、18年に平和・協同ジャーナリスト基金賞奨励賞を受賞。著書に『遺骨 戦没者三一〇万人の戦後史』、『20世紀遺跡 帝国の記憶を歩く』、『「昭和天皇実録」と戦争』、『特攻 戦争と日本人』、『戦後補償裁判 民間人たちの終わらない「戦争」』など。

 
第9章 金英丸──日韓関係において真の謝罪とは何か
金英丸(キム・ヨンファン) 1972年、韓国忠清北道忠州市生まれ。97年、北海道朱鞠内で開かれた強制連行・強制労働犠牲者遺骨発掘に始まった日韓共同ワークショップに参加。2002年?06年に高知県「平和資料館・草の家」で日本の平和運動を学びながら活動。14年より、民族問題研究所で、過去清算、日韓市民連帯およびアジアの人びとが国家と民族の壁を越え平和を実現するために連帯することを目指して活動している。

 

著者プロフィール

青木理(あおき・おさむ)さんは、1966年生まれ。共同通信記者を経て、フリーのジャーナリスト、ノンフィクション作家。

著書に、『日本の公安警察』『国策捜査』『絞首刑』『誘蛾灯──二つの連続不審死事件』『抵抗の拠点から──朝日新聞「慰安婦報道」の核心』『日本会議の正体』『安倍三代』『情報隠蔽国家』『暗黒のスキャンダル国家』『時代の抵抗者たち』『時代の異端者たち』『破壊者たちへ』『カルト権力──公安、軍事、宗教侵蝕の果てに』ほか。

 

時代の反逆者たち
青木 理 (著)

 


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