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芥川賞&直木賞(平成29年下半期) 候補作が決定 セカオワ藤崎彩織さん初、宮内悠介さん両賞通算5度目

日本文学振興会は12月20日、第158回芥川龍之介賞(平成29年下半期)および第158回直木三十五賞(平成29年下半期)の候補作品を発表しました。

芥川龍之介賞、直木三十五賞ともに、平成30年1月16日(火)午後5時より築地・新喜楽で選考委員会が開催され、それぞれ受賞作品が決定します。

 

第158回芥川賞 候補作について

候補作は以下の通りです。〔敬称略〕

石井遊佳(いしい・ゆうか)  『百年泥』(『新潮』11月号 掲載)
木村紅美(きむら・くみ)   『雪子さんの足音』(『群像』9月号 掲載)
前田司郎(まえだ・しろう)  『愛が挟み撃ち』(『文學界』12月号 掲載)
宮内悠介(みやうち・ゆうすけ)『ディレイ・エフェクト』(『たべるのがおそい』vol.4 掲載)
若竹千佐子(わかたけ・ちさこ)『おらおらでひとりいぐも』(『文藝』冬号)

 
【選考委員】※敬称略
小川洋子、奥泉光、川上弘美、島田雅彦、高樹のぶ子、堀江敏幸、宮本輝、村上龍、山田詠美、吉田修一

 
【候補者 プロフィール】

石井遊佳さんは、大阪府枚方市生まれ。東京大学大学院人文社会系研究科インド哲学仏教学博士課程満期退学。日本語教師。インド在住。今年、『百年泥』で第49回新潮新人賞を受賞しています。

 
木村紅美さんは、1976年兵庫県生まれ。仙台向山高校、明治学院大学文学部芸術学科卒業。2006年に『風化する女』で第102回文學界新人賞を受賞しデビュー。『月食の日』が第139回芥川賞候補に。
著書に、『イギリス海岸 イーハトーヴ短篇集』『島の夜』『見知らぬ人へ、おめでとう』『春待ち海岸カルナヴァル』『夜の隅のアトリエ』『まっぷたつの先生』など。

 
前田司郎さんは、1977年東京都品川区生まれ。1997年に劇団「五反田団」を旗揚げし、劇作・演出を担当。2005年に『愛でもない青春でもない旅立たない』で小説家デビュー。『夏の水の半魚人』で第22回三島由紀夫賞を受賞。『グレート生活アドベンチャー』で第137回芥川賞候補に。

 
宮内悠介さんは、1979年東京都生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。2010年に『盤上の夜』で第1回創元SF短編賞山田正紀賞を受賞、2012年に同作収録の『盤上の夜』で単行本デビュー。『盤上の夜』は第147回直木賞候補にもなっており、また第33回日本SF大賞も受賞。『ヨハネスブルグの天使たち』で第149回直木賞候補。『アメリカ最後の実験』で第29回山本周五郎賞候補。『カブールの園』(2016年『文學界』10月号掲載)で第156回芥川賞候補。『カブールの園』は2017年に単行本化され、第30回三島由紀夫賞を受賞。『あとは野となれ大和撫子』で第157回直木賞候補に。直木賞候補3回、芥川賞候補は今回で2回目となります。

 
若竹千佐子さんは、1954年岩手県遠野市生まれ。岩手大学教育学部卒業。今年、『おらおらでひとりいぐも』で第54回文藝賞を受賞し、デビュー。

 

第158回直木賞 候補作について

候補作は以下の通りです。〔敬称略〕

彩瀬まる(あやせ・まる)『くちなし』(文藝春秋)
伊吹有喜(いぶき・ゆき)『彼方の友へ』(実業之日本社)
門井慶喜(かどい・よしのぶ)『銀河鉄道の父』(講談社)
澤田瞳子(さわだ・とうこ)『火定(かじょう)』(PHP研究所)
藤崎彩織(ふじさき・さおり)『ふたご』(文藝春秋)

 
【選考委員】※敬称略
浅田次郎、伊集院静、北方謙三、桐野夏生、高村薫、林真理子、東野圭吾、宮城谷昌光、宮部みゆき

 
【候補者 プロフィール】

彩瀬まるさんは、1986年千葉県千葉市生まれ。上智大学文学部卒業。2010年『花に眩む』で第9回女による女のためのR-18文学賞読者賞を受賞。
著書に『暗い夜、星を数えて 3・11被災鉄道からの脱出』『あのひとは蜘蛛を潰せない』『神様のケーキを頬ばるまで』『桜の下で待っている』『やがて海へと届く』『朝が来るまでそばにいる』『眠れない夜は体を脱いで』『骨を彩る』『くちなし』など。

 
伊吹有喜さんは、1969年三重県生まれ。中央大学法学部卒業。出版社勤務を経て、フリーランスのライターに。2008年『風待ちのひと』(「夏の終わりのトラヴィアータ」より改題)でデビュー。『風待ちのひと』で第3回ポプラ社小説大賞・特別賞を受賞。『ミッドナイト・バス』で第151回直木賞候補に。
著書に、『四十九日のレシピ』『今はちょっと、ついてないだけ』『カンパニー』『彼方の友へ』、「なでし子物語」シリーズ、「BAR追分」シリーズ、など。

 
門井慶喜さんは、1971年群馬県桐生市生まれ。同志社大学文学部文化学科卒業。2003年に『キッドナッパーズ』で第42回オール讀物推理小説新人賞を、『マジカル・ヒストリー・ツアー ミステリと美術で読む近代』で第69回日本推理作家協会賞(評論その他の部門)を受賞。『東京帝大叡古教授』と『家康、江戸を建てる』が、それぞれで第153回と第155回の直木賞候補に。
著書に『天才たちの値段』『人形の部屋』『パラドックス実践 雄弁学園の教師たち』『竹島』『シュンスケ!』『かまさん』『注文の多い美術館 美術探偵・神永美有』など。

 
澤田瞳子さんは、1977年京都府京都市生まれ。同志社大学大学院文学研究科博士課程前期修了。2010年『孤鷹の天』でデビュー。同作で第17回中山義秀文学賞を受賞。『満つる月の如し 仏師・定朝』で第2回本屋が選ぶ時代小説大賞および第32回新田次郎文学賞を受賞。『若冲』で第9回親鸞賞および第5回歴史時代作家クラブ賞を受賞。同作は第153回直木賞候補にも。
著書に『腐れ梅』『夢も定かに』『秋萩の散る』など。

 
藤崎彩織さんは、1986年大阪府吹田市生まれ。洗足学園音楽大学卒業。2017年10月『ふたご』で小説家デビュー。人気ロックバンド「SEKAI NO OWARI」のメンバー。

 

芥川賞と直木賞について

芥川賞と直木賞は、1935(昭和10)年に制定され、芥川賞は新聞・雑誌(同人雑誌を含む)に発表された純文学短編作品、直木賞は新聞・雑誌(同)・単行本として発表された短編および長編の大衆文芸作品の中から優れた作品に贈られます。

芥川賞は主に無名・新進作家が、直木賞は無名・新進・中堅作家が対象となります。受賞者には正賞として時計、副賞として賞金100万円が授与されます。

 

おらおらでひとりいぐも
74歳、ひとり暮らしの桃子さん。夫に死なれ、子どもとは疎遠。新たな「老いの境地」を描いた感動作!圧倒的自由!賑やかな孤独!63歳・史上最年長受賞、渾身のデビュー作!第54回文藝賞受賞作。

 
くちなし
別れた不倫相手の左腕と暮す「くちなし」、運命で結ばれた恋人に会うと体に花が咲く「花虫」など繊細に紡がれる傑作短編集。

 
彼方の友へ
実業之日本社創業120周年記念作品。
「友よ、最上のものを」戦中の東京、雑誌づくりに夢と情熱を抱いて――
平成の老人施設でひとりまどろむ佐倉波津子に、赤いリボンで結ばれた小さな箱が手渡された。「乙女の友・昭和十三年 新年号附録 長谷川純司 作」。そう印刷された可憐な箱は、70余年の歳月をかけて届けられたものだった――
戦前、戦中、戦後という激動の時代に、情熱を胸に生きる波津子とそのまわりの人々を、あたたかく、生き生きとした筆致で描く、著者の圧倒的飛躍作。

 
銀河鉄道の父
明治29年(1896年)、岩手県花巻に生まれた宮沢賢治は、昭和8年(1933年)に亡くなるまで、主に東京と花巻を行き来しながら多数の詩や童話を創作した。
賢治の生家は祖父の代から富裕な質屋であり、長男である彼は本来なら家を継ぐ立場だが、賢治は学問の道を進み、後には教師や技師として地元に貢献しながら、創作に情熱を注ぎ続けた。
地元の名士であり、熱心な浄土真宗信者でもあった賢治の父・政次郎は、このユニークな息子をいかに育て上げたのか。
父の信念とは異なる信仰への目覚めや最愛の妹トシとの死別など、決して長くはないが紆余曲折に満ちた宮沢賢治の生涯を、父・政次郎の視点から描く、気鋭作家の意欲作。

 
火定
パンデミックによって浮かび上がる、人間の光と闇。これほどの絶望に、人は立ち向かえるのか。

時は天平。藤原四兄弟をはじめ、寧楽の人々を死に至らしめた天然痘。疫病の蔓延を食い止めようとする医師たちと、偽りの神を祀り上げて混乱に乗じる者たち―。生と死の狭間で繰り広げられる壮大な人間絵巻。

 
ふたご
大切な人を大切にすることが、こんなに苦しいなんて–。

彼は私の人生の破壊者であり想造者だった。異彩の少年に導かれた少女。その苦悩の先に見つけた確かな光。
執筆に5年の月日を費やした、SEKAI NO OWARI Saoriによる初小説、ついに刊行!

 
【関連】
芥川龍之介賞|公益財団法人日本文学振興会
直木三十五賞|公益財団法人日本文学振興会

 


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