【第77回日本推理作家協会賞】長編および連作短編集部門に青崎有吾さん『地雷グリコ』と荻堂顕さん『不夜島』
日本推理作家協会は5月13日、第77回日本推理作家協会賞の受賞作を発表しました。
第77回日本推理作家協会賞が決定!
第77回日本推理作家協会賞の各部門の受賞作は次の通りです。
<長編および連作短編集部門>
青崎有吾(あおさき・ゆうご)さん
『地雷グリコ』(KADOKAWA)
荻堂顕(おぎどう・あきら)さん
『不夜島(ナイトランド)』(祥伝社)
<短編部門>
坂崎かおる(さかさき・かおる)さん
「ベルを鳴らして」(「小説現代」7月号掲載)
宮内悠介(みやうち・ゆうすけ)さん
「ディオニソス計画」(「紙魚の手帖」vol.14掲載)
<評論・研究部門>
川出正樹(かわで・まさき)さん
『ミステリ・ライブラリ・インヴェスティゲーション 戦後翻訳ミステリ叢書探訪』(東京創元社)
中相作(なか・そうさく)さん編
『江戸川乱歩年譜集成』(藍峯舎)
<翻訳部門(試行)>
※2025年度から翻訳部門が新設される予定です。準備を兼ねて昨年より2年間賞の試行を執り行い、今回試行第2回の受賞作が発表されました。
著:ジョセフ・ノックスさん、訳:池田真紀子(いけだ・まきこ)さん
『トゥルー・クライム・ストーリー』(新潮社)
選考委員は、「長編および連作短編集部門」が芦辺拓さん、宇佐美まことさん、月村了衛さん、葉真中顕さん、喜国雅彦さん、「短編部門」および「評論・研究部門」が今野敏さん、柴田哲孝さん、恒川光太郎さん、湊かなえさん、柚月裕子さん、「翻訳部門」は阿津川辰海さん、斜線堂有紀さん、杉江松恋さん、三角和代さん、三橋曉さん。
なお、第77回日本推理作家協会賞の各部門の候補作品は以下通りです。
<長編および連作短編集部門>
◎青崎有吾さん『地雷グリコ』(KADOKAWA)
◎井上真偽さん『アリアドネの声』(幻冬舎)
◎伊吹亜門さん『焔と雪 京都探偵物語』(早川書房)
◎岩井圭也さん『楽園の犬』(角川春樹事務所)
◎荻堂顕さん『不夜島(ナイトランド)』(祥伝社)
<短編部門>
◎天祢涼さん「一七歳の目撃」(「別冊文藝春秋」3月号掲載)
◎太田愛さん「夏を刈る」(光文社『Jミステリー2023 FALL』収録)
◎織守きょうやさん「消えた花婿」(「オール讀物」7月号掲載)
◎坂崎かおるさん「ベルを鳴らして」(「小説現代」7月号掲載)
◎宮内悠介さん「ディオニソス計画」(「紙魚の手帖」vol.14掲載)
<評論・研究部門>
◎麻田実さん『舞台の上の殺人現場 「ミステリ×演劇」を見る』(鳥影社)
◎川出正樹さん『ミステリ・ライブラリ・インヴェスティゲーション 戦後翻訳ミステリ叢書探訪』(東京創元社)
◎中 相作さん編『江戸川乱歩年譜集成』(藍峯舎)
◎渡邉大輔さん『謎解きはどこにある 現代日本ミステリの思想』(南雲堂)
<翻訳部門(試行)>
◎孫沁文さん『厳冬之棺』(訳:阿井幸作さん/早川書房)
◎ジョセフ・ノックスさん『トゥルー・クライム・ストーリー』(訳:池田真紀子さん/新潮社)
◎S・A・コスビーさん『頰に哀しみを刻め』(訳:加賀山卓朗さん/ハーパーコリンズ・ジャパン)
◎アン・クリーヴスさん『哀惜』(訳:高山真由美さん/早川書房)
◎ダニヤ・クカフカさん『死刑執行のノート』(訳:鈴木美朋さん/集英社)
日本推理作家協会賞について
日本推理作家協会賞は、日本推理作家協会が主催する文学賞です。前年に発表された推理小説の中で最も優れた作品に授与されます。
受賞者には、正賞として名入り腕時計が、副賞として賞金50万円が贈られます。
![]() | 地雷グリコ 青崎 有吾 (著) ミステリ界の旗手が仕掛ける本格頭脳バトル小説! 射守矢真兎(いもりや・まと)。女子高生。勝負事に、やたらと強い。 |
![]() | 不夜島(ナイトランド) 荻堂顕 (著) 「ほんの一瞬だけなら何でも手に入れられる、俺の唯一の特技だ」 第二次世界大戦終結後、米軍占領下の琉球。その最西端の与那国島では、一本の煙草から最新鋭の義肢まで、ありとあらゆるものが売買される密貿易が行なわれていた!腕利きのサイボーグ密貿易人・武庭純は、ある日顔馴染みの警官からとんでもない話を耳にする。終戦とともに殺人鬼と化した元憲兵が島に上陸したというのだ。元憲兵探しに乗り出した武だったが、時を同じくして、謎のアメリカ人女性から 「姿も形も知れない “含光” なる代物を手に入れろ」という奇妙な依頼が舞い込んでくる。相棒の島人とともに奔走する武は、やがて、世界を巻き込む壮絶な陰謀に巻き込まれていく……。 琉球と台湾の史実をもとに描き出す、 サイバーパンク巨編! 一攫千金の夢が渦巻く欲望の“街”その男は、ただ魂を求めた―― |
![]() | ミステリ・ライブラリ・インヴェスティゲーション: 戦後翻訳ミステリ叢書探訪 (キイ・ライブラリー) 川出 正樹 (著) 叢書という宇宙を探索する。 卓抜した編纂のもと選び抜かれたラインナップと、現代性を反映したブック・デザイン――日本の翻訳ミステリ叢書は、戦後国内で勃興したミステリ・ブームの一翼を担った。植草甚一の編纂と花森安治の装釘による【クライム・クラブ】や瀬戸川猛資の編纂による【シリーズ 百年の物語】など、綺羅星のごとき光芒を残す数多の叢書は、日本推理小説史にどのような光跡を描いたか。書斎の迷宮に眠る叢書という小宇宙が、著者独自の調査を経てここに全貌をあらわす。翻訳ミステリのブックガイドであり、戦後から現代に至る翻訳ミステリ叢書の研究であり、果ては戦後日本における翻訳ミステリの受容史を概観する画期的大著。 装幀:クラフト・エヴィング商會[吉田篤弘・吉田浩美] |
![]() | トゥルー・クライム・ストーリー (新潮文庫) ジョセフ・ノックス (著), 池田 真紀子 (翻訳) 被害者も、家族も、友人も、作者も、 2011年末、マンチェスター大学の学生寮から、一人の女子学生が姿を消した。彼女の名はゾーイ。6年が経過するも行方はわからず、世間の記憶も薄れてきた頃、作家イヴリンはこの事件に関心を抱き、関係者への取材と原稿執筆を開始。作家仲間であるジョセフ・ノックスにアドバイスを仰いだ。2018年、ゾーイの双子の姉キムが初めてマスコミ取材に応じ、事件は再度注目を集めることになる。だが、取材と執筆を続行するようノックスから助言されていたイヴリンは、翌年、拉致犯人と思われる人物を特定する証拠を入手した直後に死亡。故人の遺志を継いだノックスが原稿の整理と追加取材を行って、『トゥルー・クライム・ストーリー(犯罪実話)』として彼女の遺稿を完成させるのだったが――。関係者へのインタビューを中心に、イヴリンとノックスとのメールでの対話、新聞記事の抜粋、Facebookの書き込みなどから浮かび上がる失踪事件の謎にくわえて、新たに殺人までが絡み、その複雑な人間関係には著者ノックス自らも加わっているという、特異な形式で描かれる野心作。〈マンチェスター市警 エイダン・ウェイツ〉シリーズの著者がはじめて挑む単発物で、被害者も関係者も作者すら誰ひとり信頼できる者のいない、かつてないほど斬新なサスペンス・ノワール。 |
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