芥川賞&直木賞(2023年下半期)候補作が決定 初ノミネートは「芥川賞」川野芽生さん、「直木賞」嶋津輝さんと村木嵐さん
日本文学振興会は12月14日、第170回芥川龍之介賞(2023年下半期)および第170回直木三十五賞(2023年下半期)の候補作品を発表しました。
芥川龍之介賞、直木三十五賞ともに、2024年1月17日に都内で選考委員会が開催され、それぞれ受賞作品が決定します。
第170回芥川賞 候補作について
第170回芥川賞の候補作は以下の5作品です。
【第170回芥川賞 候補作】
◎安堂ホセ(あんどう・ほせ)さん「迷彩色の男」(『文藝』秋季号)
◎川野芽生(かわの・めぐみ)さん「Blue」(『すばる』8月号)
◎九段理江(くだん・りえ)さん「東京都同情塔」(『新潮』12月号)
◎小砂川チト(こさがわ・ちと)さん「猿の戴冠式」(『群像』12月号)
◎三木三奈(みき・みな)さん「アイスネルワイゼン」(『文學界』10月号)
今回、川野芽生さんが初ノミネート。安堂ホセさん、九段理江さん、小砂川チトさん、三木三奈さんは2度目のノミネートとなりました。
第170回直木賞 候補作について
第170回直木賞の候補作は以下の6作品です。
【第170回直木賞 候補作】
◎加藤シゲアキ(かとう・しげあき)さん『なれのはて』(講談社)
◎河﨑秋子(かわさき・あきこ)さん『ともぐい』(新潮社)
◎嶋津輝(しまづ・てる)さん『襷がけの二人』(文藝春秋)
◎万城目学(まきめ・まなぶ)さん『八月の御所グラウンド』(文藝春秋)
◎宮内悠介(みやうち・ゆうすけ)さん『ラウリ・クースクを探して』(朝日新聞出版)
◎村木嵐(むらき・らん)さん『まいまいつぶろ』(幻冬舎)
今回、嶋津輝さんと村木嵐さんが初ノミネート。加藤シゲアキさんと河﨑秋子さんが2度目、宮内悠介さんが4度目、万城目学さんは6度目のノミネートとなりました。
芥川賞と直木賞について
芥川賞と直木賞は、1935(昭和10)年に制定され、芥川賞は新聞・雑誌(同人雑誌を含む)に発表された純文学短編作品、直木賞は新聞・雑誌(同)・単行本として発表された短編および長編の大衆文芸作品の中から優れた作品に贈られます。
芥川賞は主に無名・新進作家が、直木賞は無名・新進・中堅作家が対象となります。受賞者には正賞として時計、副賞として賞金100万円が授与されます。
迷彩色の男 安堂 ホセ (著) ブラックボックス化した小さな事件がトリガーとなり、混沌を増す日常、醸成される屈折した怒り。快楽、恐怖、差別、暴力。折り重なる感情と衝動が色鮮やかに疾走する圧巻のクライム・スリラー。文藝賞受賞第一作。 **** 著者にしか生み出せない会話と、差別/ヘイトを逆手にとった痛み伴う”復讐劇”は、『ジャクソンひとり』に続き圧巻。 鮮やかで眩しいくらいの赤と青。光と闇。クルージングスポットの臭いと鉄臭が、物語の中へと一気に引き込んだ。 大田原牧さん静謐で美しく切ない青春小説。夢へ向かう航路のような物語に心地よい心の揺らめきが湧き起こる。 〈怒りは屈折する〉。――都内のクルージングスポットで26歳の男が暴行された姿で発見される。事件の背後に浮かびあがる”迷彩色の男”とは。デビュー作『ジャクソンひとり』が芥川賞候補となった、いま最注目の作家による、才気ほとばしる第二作。 |
東京都同情塔 九段 理江 (著) 日本人の欺瞞をユーモラスに描いた現代版「バベルの塔」 |
猿の戴冠式 小砂川 チト (著) いい子のかんむりは/ヒトにもらうものでなく/自分で/自分に/さずけるもの。 ある事件以降、引きこもっていたしふみはテレビ画面のなかに「おねえちゃん」を見つけ動植物園へ行くことになる。言葉を機械学習させられた過去のある類人猿ボノボ”シネノ”と邂逅し、魂をシンクロさせ交歓していく。 ”女がいますぐ剥ぎ取りたいと思っているものといえば、それは〈人間の女の皮〉にちがいなかった。女は人間の〈ふり〉をして、ガラスの向こう側にたっている” ”女とシネノは同じだった。シネノのほうはそのふるまいこそ完璧ではあったけれど、それでも猿の〈ふり〉をして、あるいは猿の〈姿をとって〉、こちら側にいる” ねえ、なにもかもがいやなかんじなんでしょう。ちがう? |
なれのはて 加藤 シゲアキ (著) 一枚の不思議な「絵」の謎を追い、令和から昭和、大正へ。 ある事件をきっかけに報道局からイベント事業部に異動することになったテレビ局員・守谷京斗(もりや・きょうと)は、異動先で出会った吾妻李久美(あづま・りくみ)から、祖母に譲り受けた作者不明の不思議な絵を使って「たった一枚の展覧会」を企画したいと相談を受ける。しかし、絵の裏には「ISAMU INOMATA」と署名があるだけで画家の素性は一切わからない。二人が謎の画家の正体を探り始めると、秋田のある一族が、暗い水の中に沈めた業に繋がっていた。 1945年8月15日未明の秋田・土崎空襲。 戦争、家族、仕事、芸術……すべてを詰め込んだ作家・加藤シゲアキ「第二章」のスタートを彩る集大成的作品。 「死んだら、なにかの熱になれる。すべての生き物のなれのはてだ」 |
ともぐい 河﨑 秋子 (著) 己は人間のなりをした何ものか――人と獣の理屈なき命の応酬の果てには |
襷がけの二人 嶋津 輝 (著) 裕福な家に嫁いだ千代と、その家の女中頭の初衣。 「千代。お前、山田の茂一郎君のとこへ行くんでいいね」 やがて戦火によって離れ離れになった二人だったが、 幸田文、有吉佐和子の流れを汲む、女の生き方を描いた感動作! |
八月の御所グラウンド 万城目 学 (著) 京都が生んだ、やさしい奇跡。 ホルモー・シリーズ以来16年ぶり 女子全国高校駅伝――都大路にピンチランナーとして挑む、絶望的に方向音痴な女子高校生。 今度のマキメは、じんわり優しく、少し切ない |
ラウリ・クースクを探して 宮内 悠介 (著) 1977年、エストニアに生まれたラウリ・クースク。コンピュータ・プログラミングの稀有な才能があった彼は、ソ連のサイバネティクス研究所で活躍することを目指す。だがソ連は崩壊し……。歴史に翻弄された一人の人物を描き出す、かけがえのない物語。 |
まいまいつぶろ 村木 嵐 (著) 第13回「本屋が選ぶ時代小説大賞」受賞 暗愚と疎まれた将軍の、比類なき深謀遠慮に迫る。 口がまわらず、誰にも言葉が届かない。 第九代将軍・徳川家重を描く落涙必至の傑作歴史小説。 |
【関連】
▼芥川龍之介賞|公益財団法人日本文学振興会
▼直木三十五賞|公益財団法人日本文学振興会
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