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【第168回芥川賞&直木賞】芥川賞に井戸川射子さん「この世の喜びよ」と佐藤厚志さん「荒地の家族」、直木賞は小川哲さん『地図と拳』と千早茜さん『しろがねの葉』

第168回芥川賞&直木賞が決定!

第168回芥川賞&直木賞が決定!

第168回芥川龍之介賞および直木三十五賞の選考委員会が1月19日に東京都内で開催され、それぞれ受賞作が決定しました。

 

芥川賞は井戸川射子さんと佐藤厚志さんがともに初ノミネートでW受賞!

第168回芥川賞は、下記候補作の中から井戸川射子さんの「この世の喜びよ」(『群像』7月号)佐藤厚志さんの「荒地の家族」(『新潮』12月号)が受賞作に決定しました。

 
井戸川射子(いどがわ・いこ)さんは、1987年生まれ。関西学院大学社会学部卒業。国語教諭。兵庫県在住。2019年『する、されるユートピア』で第24回中原中也賞、2021年『ここはとても速い川』で第43回野間文芸新人賞を受賞。

佐藤厚志(さとう・あつし)さんは、1982年生まれ。東北学院大学文学部英文学科卒業。仙台市在住、書店勤務。2017年「蛇沼」で第49回新潮新人賞を受賞しデビュー。

 
選考委員は、小川洋子さん、奥泉光さん、川上弘美さん、島田雅彦さん、平野啓一郎さん、堀江敏幸さん、松浦寿輝さん、山田詠美さん、吉田修一さん。

 
【芥川賞 候補作】
◎安堂ホセさん「ジャクソンひとり」(『文藝』冬季号)
◎井戸川射子さん「この世の喜びよ」(『群像』7月号)
◎グレゴリー・ケズナジャットさん「開墾地」(『群像』11月号)
◎佐藤厚志さん「荒地の家族」(『新潮』12月号)
◎鈴木涼美さん「グレイスレス」(『文學界』11月号)

 

直木賞は小川哲さんと千早茜さんがW受賞! 小川さんは山田風太郎賞も受賞

第168回直木賞は、下記候補作の中から小川哲さんの『地図と拳』(集英社)千早茜さんの『しろがねの葉』(新潮社)が受賞作に決定しました。

 
小川哲(おがわ・さとし)さんは、1986年生まれ、千葉県出身。東京大学大学院総合文化研究科博士課程中退。2015年『ユートロニカのこちら側』で第3回ハヤカワSFコンテスト〈大賞〉を受賞しデビュー。2018年に『ゲームの王国』で第38回日本SF大賞第31回山本周五郎賞を受賞。2022年に今回の受賞作『地図と拳』で第13回山田風太郎賞も受賞

千早茜(ちはや・あかね)さんは、1979年生まれ、北海道出身。2008年『魚神』で第21回小説すばる新人賞を受賞し、作家デビュー。同作は2009年に第37回泉鏡花文学賞も受賞。2013年『あとかた』で第20回島清恋愛文学賞、2021年『透明な夜の香り』で第6回渡辺淳一文学賞を受賞。

 
選考委員は、浅田次郎さん、伊集院静さん、角田光代さん、北方謙三さん、桐野夏生さん、高村薫さん、林真理子さん、三浦しをんさん、宮部みゆきさん。

 
【直木賞 候補作】
◎一穂ミチさん『光のとこにいてね』(文藝春秋)
◎小川哲さん『地図と拳』(集英社)
◎雫井脩介さん『クロコダイル・ティアーズ』(文藝春秋)
◎千早茜さん『しろがねの葉』(新潮社)
◎凪良ゆうさん『汝、星のごとく』(講談社)

 

芥川賞と直木賞について

芥川賞と直木賞は、1935(昭和10)年に制定され、芥川賞は新聞・雑誌(同人雑誌を含む)に発表された純文学短編作品、直木賞は新聞・雑誌(同)・単行本として発表された短編および長編の大衆文芸作品の中から優れた作品に贈られます。

芥川賞は主に無名・新進作家が、直木賞は無名・新進・中堅作家が対象となります。受賞者には正賞として時計、副賞として賞金100万円が授与されます

 

この世の喜びよ
井戸川 射子 (著)

思い出すことは、世界に出会い直すこと。
最初の小説集『ここはとても速い川』が、キノベス!2022年10位、野間文芸新人賞受賞。注目の新鋭がはなつ、待望の第二小説集。

幼い娘たちとよく一緒に過ごしたショッピングセンター。喪服売り場で働く「あなた」は、フードコートの常連の少女と知り合う。言葉にならない感情を呼び覚ましていく表題作「この世の喜びよ」をはじめとした作品集。

ほかに、ハウスメーカーの建売住宅にひとり体験宿泊する主婦を描く「マイホーム」、父子連れのキャンプに叔父と参加した少年が主人公の「キャンプ」を収録。

二人の目にはきっと、あなたの知らない景色が広がっている。あなたは頷いた。こうして分からなかった言葉があっても、聞き返さないようになっていく。(本書より)

荒地の家族
佐藤 厚志 (著)

あの災厄から十年余り、男はその地を彷徨いつづけた。
元の生活に戻りたいと人が言う時の「元」とはいつの時点か――。40歳の植木職人・坂井祐治は、災厄の二年後に妻を病気で喪い、仕事道具もさらわれ苦しい日々を過ごす。地元の友人も、くすぶった境遇には変わりない。誰もが何かを失い、元の生活には決して戻らない。仙台在住の書店員作家が描く、被災地に生きる人々の止むことのない渇きと痛み。

地図と拳
小川 哲 (著)

「君は満洲という白紙の地図に、夢を書きこむ」
日本からの密偵に帯同し、通訳として満洲に渡った細川。ロシアの鉄道網拡大のために派遣された神父クラスニコフ。叔父にだまされ不毛の土地へと移住した孫悟空。地図に描かれた存在しない島を探し、海を渡った須野……。奉天の東にある〈李家鎮〉へと呼び寄せられた男たち。「燃える土」をめぐり、殺戮の半世紀を生きる。

ひとつの都市が現われ、そして消えた。
日露戦争前夜から第2次大戦までの半世紀、満洲の名もない都市で繰り広げられる知略と殺戮。日本SF界の新星が放つ、歴史×空想小説。

しろがねの葉
千早 茜 (著)

男たちは命を賭して穴を穿つ。
山に、私の躰の中に――

戦国末期、シルバーラッシュに沸く石見銀山。
天才山師・喜兵衛に拾われた少女ウメは、銀山の知識と未知の鉱脈のありかを授けられ、女だてらに坑道で働き出す。
しかし徳川の支配強化により喜兵衛は生気を失い、ウメは欲望と死の影渦巻く世界にひとり投げ出されて……。
生きることの官能を描き切った新境地にして渾身の大河長篇!

 
【関連】
芥川龍之介賞|公益財団法人日本文学振興会
直木三十五賞|公益財団法人日本文学振興会

 


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