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【訃報】直木賞作家・山本文緒さんが死去 『プラナリア』『自転しながら公転する』など

作家の山本文緒(やまもと・ふみお=本名:大村暁美)さんが10月13日、膵臓がんのため死去しました。58歳。神奈川県出身。葬儀は近親者で行われました。後日、お別れの会を都内で開く予定。

 
山本文緒さんは、1962年生まれ。神奈川大学経済学部卒業。OL生活を経て、1987年「プレミアム・プールの日々」でコバルト・ノベル大賞佳作入選し作家デビュー。以降、1988年に初の著書『きらきら星をあげよう』を刊行するなど少女小説を数多く手掛けますが、1992年の『パイナップルの彼方』から一般文芸に転じます。

 
1999年『恋愛中毒』で吉川英治文学新人賞、2001年『プラナリア』で直木賞を受賞。昨年9月に刊行された7年ぶりの新作長編『自転しながら公転する』で今年5月に島清恋愛文学賞、8月に中央公論文芸賞を受賞。なお、10月22日には中央公論文芸賞の贈呈式が予定されていました。

 
著書に『あなたには帰る家がある』『眠れるラプンツェル』『ブルーもしくはブルー』『絶対泣かない』『ブラック・ティー』『群青の夜の羽毛布』『落花流水』『そして私は一人になった』『ファースト・プライオリティー』『再婚生活』『アカペラ』『なぎさ』など。先月、短編集『ばにらさま』を刊行。

 

プラナリア (文春文庫)
山本 文緒 (著)

どうして私はこんなにひねくれているんだろう―。乳がんの手術以来、何もかも面倒くさく「社会復帰」に興味が持てない25歳の春香。恋人の神経を逆撫でし、親に八つ当たりをし、バイトを無断欠勤する自分に疲れ果てるが、出口は見えない。現代の“無職”をめぐる心模様を描いて共感を呼んだベストセラー短編集。直木賞受賞作品。

恋愛中毒 (角川文庫)
山本 文緒 (著)

もう神様にお願いするのはやめよう。―どうか、どうか、私。これから先の人生、他人を愛しすぎないように。他人を愛するぐらいなら、自分自身を愛するように。哀しい祈りを貫きとおそうとする水無月。彼女の堅く閉ざされた心に、小説家創路は強引に踏み込んできた。人を愛することがなければこれほど苦しむ事もなかったのに。世界の一部にすぎないはずの恋が私のすべてをしばりつけるのはどうしてなんだろう。吉川英治文学新人賞を受賞した恋愛小説の最高傑作。

自転しながら公転する
山本 文緒 (著)

結婚、仕事、親の介護、全部やらなきゃダメですか
共感と絶賛の声続々! あたたかなエールが届く共感度100%小説!

東京で働いていた32歳の都は実家に戻り、地元のモールで店員として働き始めるが…。
恋愛、家族の世話、そのうえ仕事もがんばるなんて、そんなの無理!
答えのない問いを生きる私たちをやさしく包む物語。
7年ぶり、待望の長篇小説

ばにらさま
山本 文緒 (著)

冴えない僕の初めての恋人は、バニラアイスみたいに白くて冷たい

日常の風景が一転! 思わず二度読み!
痛くて、切なくて、引きずり込まれる……。
6つの物語が照らしだす光と闇

島清恋愛文学賞、本屋大賞ノミネート『自転しながら公転する』の山本文緒最新作!
伝説の直木賞受賞作『プラナリア』に匹敵るす吸引力! これぞ短編の醍醐味!

ばにらさま 僕の初めての恋人は、バニラアイスみたいに白くて冷たい……。
わたしは大丈夫 夫と娘とともに爪に火をともすような倹約生活を送る私。
菓子苑 舞子は、浮き沈みの激しい胡桃に翻弄されるも、彼女を放って置けない。
バヨリン心中 余命短い祖母が語る、ヴァイオリンとポーランド人の青年をめぐる若き日の恋。
20×20 主婦から作家となった私。仕事場のマンションの隣人たちとの日々。
子供おばさん 中学の同級生の葬儀に出席した夕子。遺族から形見として託されたのは。

<著者コメント>
久しぶりの短編集です。
表題作「ばにらさま」を書こうと思ったきっかけは、閉店間際の駅ビルを無目的な白い顔でふらふらと歩いていた美人さんを見かけた時でした。
洋服を次々と物色していてもその目には何も映っていないように見えて、彼女はどんな人なのだろう、どんな時に心から笑うのだろう……と興味を持ちました。
ステレオタイプと呼ばれる女の子達にも、内面にはその人しか持つことのない叫びや希望があるはず。そんなことをテーマにこの小説集を作りました。
どの作品にも「え?!」と驚いて頂けるような仕掛けを用意しましたので、きっと楽しんで頂けると自負しております。
よろしくお願い申し上げます。
山本文緒

 


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