【第13回山田風太郎賞】小川哲さん『地図と拳』が受賞
KADOKAWAは10月21日、過去一年間で最も「面白い」と評価されたエンタテインメント小説に贈る「第13回山田風太郎賞」の受賞作を発表しました。
第13回山田風太郎賞が決定!
第13回山田風太郎賞の選考会が10月21日に開催され、受賞作が次の通り決定しました。
<第13回山田風太郎賞 受賞作品>
小川哲(おがわ・さとし)さん
『地図と拳』(集英社)
選考委員は朝井まかてさん、恩田陸さん、貴志祐介さん、筒井康隆さん、夢枕獏さん(※下記写真左より/五十音順)。
第13回山田風太郎賞の選考会及び記者会見は、新型コロナウイルス感染症の情勢を考慮し、会見場への参加、テレビ会議システム「Zoom」での参加、双方に対応した形式にて実施されました。
代表して選評を述べた朝井まかてさんは、「満場一致で決まりました。選考委員が刺激を受けた・面白いと感じた所がそれぞれ異なっていたのも特徴的でした。」「壮大なる歴史小説、戦争文学として、非常に高度な成果を得た作品。日露戦争前夜から第二次世界大戦までの複雑な時代を舞台に、戦争の力学と人間を描き出していました。」とコメント。
また、受賞者の小川哲さんは記者会見で、「非常に光栄です。<山田風太郎>の名前を冠した賞をいただくという事は、小説を書く者として襟を正さねばという思いになります。」「読んでくださる方になるべく密度濃く、なるべく楽しんでもらえるように、頭をフルに使って汗をかいて書いていきたい。」と感謝の言葉ともに今後の執筆活動への意欲を語りました。
小川さんには、正賞として記念品(名入り万年筆)と副賞 100万円が贈られます。
なお、贈賞式および祝賀会は、新型コロナウイルス感染拡大の状況を考慮し、11月25日(金)に都内にて関係者のみで規模を縮小して開催される予定です。選評は『小説 野性時代 特別編集22年冬号』に掲載予定です。
【参考】第13回山田風太郎賞 候補作品
◎浅倉秋成さん 『俺ではない炎上』(双葉社)
◎小川哲さん 『地図と拳』(集英社)
◎砂原浩太朗さん『黛家の兄弟』(講談社)
◎蝉谷めぐ実さん『おんなの女房』(KADOKAWA)
◎早見和真さん 『八月の母』(KADOKAWA)
受賞作品あらすじ&受賞者プロフィール
【『地図と拳』あらすじ】
「君は満洲という白紙の地図に、夢を書きこむ」
日本からの密偵に帯同し、通訳として満洲に渡った細川。ロシアの鉄道網拡大のために派遣された神父クラスニコフ。叔父にだまされ不毛の土地へと移住した孫悟空。地図に描かれた存在しない島を探し、海を渡った須野……。奉天の東にある〈李家鎮〉へと呼び寄せられた男たち。「燃える土」をめぐり、殺戮の半世紀を生きる。
ひとつの都市が現われ、そして消えた。
日露戦争前夜から第2次大戦までの半世紀、満洲の名もない都市で繰り広げられる知略と殺戮。日本SF界の新星が放つ、歴史×空想小説。
<小川哲(おがわ・さとし)さん プロフィール>
1986年生まれ、千葉県出身。東京大学大学院総合文化研究科博士課程中退。2015年に『ユートロニカのこちら側』が第3回ハヤカワSFコンテスト〈大賞〉を受賞しデビュー。
2018年に『ゲームの王国』が第38回日本SF大賞受賞、第39回吉川英治文学新人賞候補、第31回山本周五郎賞受賞。2019年に『嘘と正典』が第162回直木三十五賞候補。ほかの著作に『君のクイズ』など。
山田風太郎賞について
山田風太郎賞は、戦後日本を代表する大衆小説作家・山田風太郎さんの独創的な作品群と、大衆性、ノンジャンル性、反骨精神など氏が貫いた作家的姿勢への敬意を礎に、有望な作家の作品を発掘顕彰するため、2010年にスタート(創設は2009年)された文学賞です。株式会社KADOKAWAと公益財団法人角川文化振興財団が主催。
毎年9月1日から翌年8月31日までに書籍として発表された長編および短編の文芸作品(ミステリ、時代、SFなどジャンルを問わない)の中より最も面白いと評価された日本の小説作品に贈られます。新人、新進、中堅作家の作品が対象となります。受賞者には、正賞として記念品、副賞として賞金100万円が贈られます。
地図と拳 小川 哲 (著) |
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