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『エリンとみどり ジェンダーと新しい家族の形』カミングアウト、性別移行、同性婚……結婚21年目の日米の「婦婦(ふうふ)」が伝える新たな家族像

エリン マクレディさん&もりたみどりさん著『エリンとみどり ジェンダーと新しい家族の形』

エリン マクレディさん&もりたみどりさん著『エリンとみどり ジェンダーと新しい家族の形』

エリン マクレディさん&もりたみどりさん著『エリンとみどり ジェンダーと新しい家族の形』が天夢人より刊行されました。

 

本書の構成

トランスジェンダーのエリンさんは、出生時の性別のまま男性として生きてきました。日本人女性のみどりさんと結婚して、3人の子どもを授かりましたが、45歳のときにカミングアウト。国籍のある米国で性別と氏名を変更して、トランジション(性別移行)をしました。しかし、日本では同性婚が認められていません。

 
「LGBTQ」への適切な理解・受容、法律の整備には、依然、多くの課題が残っています。古い価値観から解き放たれて、ありのままの自分として生きていく。自分らしい生き方を見つけていくエリンさんとみどりさん、そして3人の子どもたちの新しい家族の形を紹介します。

 
巻頭グラビア(8ページ)

イラストのカバーをめくると、エリンさんとみどりさんがカラー写真になって登場します。巻頭グラビアの背景には、「トランスジェンダー・フラッグ」の3色を選びました。

第1章 ふたりの出会い

1998年に出会ったエリンさんとみどりさんは日本で婚姻届けを出して、ハワイ島で結婚式を挙げました。そのまま米国での生活が始まり、ふたりの子どもを授かるまでのエピソード。

第2章 ジェンダーを乗りこえる

子どものころから自分の性に違和感があったエリンさんは、45歳でついにカミングアウト。みどりさん、3人の子どもたちは、その告白をどのように受け入れたのでしょうか。

第3章 直面したさまざまな出来事

エリンさんはトランジションをしてから、ある大きな出来事を体験しました。その事件をきっかけに「WAIFU(ワイフ)」が発足し、現在のふたりの活動につながっています。

第4章 日本の法律の壁を知る

G7で唯一、日本では同性婚が認められていません。そのため、米国で性別移行をしたエリンさんは日本では手続きを終了することができず二重性別のまま、同性のみどりさんと結婚しているという初めてのケースです。ふたりは同性婚の問題を訴える裁判を起こし、世論に問いかけることにしました。

第5章 新しい家族の形を考える

家族に決まった形はありません。家族は自分たちでつくっていくものなのだということを、エリンさんとみどりさんが身をもって教えてくれました。自分らしく生きるために、これからもふたりの活動は続きます。

LGBTQに関する用語集

巻末には「LGBTQ用語集」を収録しています。法律上の性別、性自認、性的指向、性表現などの要素により、多様な用語が存在しています。

 

著者プロフィール

 
■エリン マクレディさん

米国オハイオ州生まれ、テキサス州オースティン育ち。青山学院大学文学部英米文学科教授。言語学者。専門は形式意味論、言語哲学で、社会問題に関係したプロジェクトを実施している。ファッションモデルとしても活躍。

1994年に早稲田大学に留学し、留学終了後も日本に残る。英語を教えたり、ロックなどの音楽シーンに関わったときに、ミドリさんと出会った。2000年にエリンさんが米国で博士課程を取得するために帰国する際、正式に籍を入れて2人で渡米。米国で長男・次男が誕生し、東京での就職が決まったために家族全員で日本へ移住。2018年に米国で氏名と性別を変更。

 
■もりた みどりさん

奈良県生まれ。アーティスト、イベントオーガナイザー。繊維素材を使ったファイバー・アーティストとして活動している。エリンさんと共にクラブイベント「WAIFU」やレイヴ「SLICK」を主催、アートコレクティブ「MOM」も結成。

 

エリンとみどり ジェンダーと新しい家族の形
エリン マクレディ もりた みどり (著)

トランスジェンダーの米国人女性エリンさんと、日本人女性のみどりさんは、結婚21年目の「婦婦」。2人の間には3人の子どももいます。
エリンさんは国籍のある米国で性別と氏名を変更した後、日本の役所に性別変更を申請しましたが、認められませんでした。
そこで2人はクラウドファンディングで資金を募り、2021年6月21日、法律婚しているにも関わらず、住民票に同性のまま婚姻関係が記載されないのは違法であるとして、国や目黒区、大田区を相手取り、損害賠償を求めて裁判を起こしたのです。世間でも大きな注目を集めています。
現在、「LGBTQ」は世の中に少しずつ受け入れられてきてはいますが、まだまだ知られていない存在です。 エリンさんとみどりさん、そして3人の子どもたちの新しい家族の形を紹介します。
そんな2人の生きざまは、多くのマイノリティに自信を与え、マジョリティにも一石を投じる一冊になるはず。

 


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