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『2035年の中国 習近平路線は生き残るか』習近平体制は盤石か?

中国共産党と習近平総書記を最もよく知る元中国大使・宮本雄二さんの著書『2035年の中国 習近平路線は生き残るか』が新潮社より刊行されました。

GDP世界一、米中対立に勝利、台湾統一……先の党大会で絶対的な権力を手に入れた習近平にとって、これらは実現すべき壮大な目標ですが、簡単に果たされるものではありません。習近平総書記を最もよく知る元大使が、習近平を取り囲む厳しい現実を、冷徹に分析します。それは同時に「中国とは何か」「中国共産党とは何か」を理解することにもつながります。

 

GDP世界一、米中対立に勝利、台湾統一……壮大な「夢」と薄氷の「現実」

中国共産党の習近平総書記は、昨年秋の党大会で異例の3選を果たしました。党幹部には自らの腹心を配し、絶対的な権力を手に入れたと多くのメディアは報じ、中には独裁権力の危うさに警鐘を鳴らす報道もありました。

 
しかし、実は習近平体制はそれほど盤石ではありません。昨今のメディアが報道するイメージについて、著者の宮本雄二さんは「私の理解する中国と習近平政権は、このイメージとかなり違うのだ。」と記します。

実際、中国政府は、国民の反発を受けて、昨年12月にそれまで堅持してきた「ゼロ・コロナ政策」を撤回します。そもそも中国はすべての王朝が農民蜂起で倒された歴史を持ち、中国共産党も国民を恐れているのです。それは歴代王朝が一度も国民の力で倒されたことがないロシアと対照的です。

 
1969年に外務省に入省以来、対中国政策に関わり、2006年から10年まで在中国大使を務めた宮本さんは、実際に中国に相対してきた経験と知識から、中国の現状と未来を見通します。

中国大使時代の2007年3月と7月には、当時浙江省書紀から上海市書紀へと昇格した習近平と2度会食し、09年に習近平が国家副主席として日本を公式訪問した際にも全行程に同行した宮本さんの実績は、習近平政権を分析する上で、この上ない力となっています。

 
中国共産党は、建国100年を迎える2049年への折り返し点として2035年を格別な年として位置づけました。習近平が82歳を迎えるこの年に、中国はどうなっているのか。中国と中国共産党、習近平政権を最もよく知る元中国大使が、冷徹に分析します。

 
【本書の概要】
中国共産党総書記として異例の三期目に突入した習近平。幹部人事を意のままに行い盤石の体制に見えたが、コロナ対策では国民の反発で軌道修正を迫られ、一転、不安を感じさせる幕開けとなった。建国百年を迎える2049年への中間点とされる2035年に、彼は八十二歳。国内外の難問が山積する中国は、その時どうなっているのか? この国と中国共産党の本質を踏まえながら、第一人者が今後の行方を占う。

 

本書の構成

第1章 中国共産党は「国民」を恐れている

第2章 中国社会の中核をなす「義」とはいかなる価値観か

第3章 未完の「習近平思想」は党と国民に支持されるのか

第4章 人間・習近平の「思考様式」を生い立ちから読む

第5章 習近平は米国の本当の「怖い顔」を知っているか

第6章 「乱から統へ」中国のガバナンス移行は奏功するか

第7章 「権力集中」と「党内民主」のせめぎ合いの行方は

第8章 ウクライナ侵攻「ロシア」からどう距離をとるか

第9章 日本の国益を最大化する「したたかな対中外交」とは

第10章 それでも「江沢民の安定」は得られぬ習近平統治

第11章 国際社会を変える「瀬戸際外交」の行き着く先は

第12章 突然の「ゼロ・コロナ」破棄で生じた統治の陰りとは

第13章 「反腐敗」は毛沢東「延安整風」を超えられるか

第14章 共産党政権が抱える永遠の矛盾「民主」と「集中」とは

第15章 「台湾問題」で米中ガラスの了解事項は守られるのか

第16章 習近平は「鄧小平の老練」を手にできるか

終章 2035年の中国
(1)「中華民族の偉大な復興」で国民を引っ張っていけるのか
(2)軍事大国化路線は持続可能か
(3)対外関係の修復は可能か
(4)2035年の中国はどうなっているのだろうか

 

著者プロフィール

著者の宮本雄二(みやもと・ゆうじ)さんは、1946(昭和21)年生まれ、福岡県出身。宮本アジア研究所代表。

1969年京都大学法学部卒業後、外務省入省。1990年アジア局中国課長、2006年在中華人民共和国日本国大使館特命全権大使。2010年退官。

著書に『習近平の中国』『強硬外交を反省する中国』など。

 

2035年の中国 (新潮新書)
宮本 雄二 (著)

中国共産党総書記として異例の三期目に突入した習近平氏。幹部人事を意のままに行い盤石の体制に見えたが、コロナ対策では国民の反発で軌道修正を迫られ、一転、不安を感じさせる幕開けとなった。建国百年を迎える二〇四九年への中間点とされる二〇三五年に、習氏は八十二歳。国内外の難問が山積する中国は、その時どうなっているのか? この国と中国共産党の本質を踏まえながら、第一人者が今後の行方を占う。

 


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