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『ちょうどいい孤独』“孤独を癒す”のではなく、”孤独を楽しむ”――家族や集団のなかでこそ「ソロ精神」を発揮して人生100年時代を自分自身の力で幸福に生きる、鎌田實さんによる「個立有縁」のすすめ

鎌田實さん著『ちょうどいい孤独』

鎌田實さん著『ちょうどいい孤独』

鎌田實さん著『ちょうどいい孤独』が、かんき出版より刊行されました。

 

人生強者の孤独のすすめに騙されないために

新型コロナウィルスの世界的流行をきっかけに、私たちはできるだけ人と会わずひとりで過ごす生活を推奨されるようになりました。
大勢で集まることを避け、賑やかな食事やイベントから離れた静かな時間を積み上げる中で、多くの人が「親や子がいようと、配偶者や友達がいようと、私たちは結局みんな、ひとりで生まれて、ひとりで死ぬ」という孤独の本質を実感したはずです。

 
本書では「孤独」には「望まない孤独(消極的孤独)」と「自ら望んで得る孤独(積極的孤独)」があるとし、「自ら望んで得る孤独」を、「人と会えなくてさびしいけれど、その分、自由な時間ができたのでやりたいことがやれるようになった」と、好意的にとらえています。
そして、人との繋がりを持ちながらも、自分の気持ちやひとりで過ごす時間を大切にし、さまざまな角度から、「孤独」を楽しむ提案をしていきます。

 
本書は決して「孤高」をすすめるわけではありません。「孤高」は確かに孤独の理想に近づくもので、そういった著作も人気がありますが、誰しもが強い意志を持って孤独を貫けるわけではありません。普段は誰かとつながっていながら、「ひとりでいたいときにはひとりでいよう」と思える「ちょうどいい孤独」の楽しみを見つける知恵が詰まった一冊です。

 
また、どうしてもじっとして過ごしがちな“ひとり時間”が健康に悪影響を及ぼさないよう、医師という立場からの生活や運動、食事に関するアドバイスも必読。

ひとりで過ごす「孤独」な時間を有意義にすることで、「孤独」を尊重することは、自分自身をも尊重し、人生を豊かに変えていくものであると気付かせてくれる教えが満載です。

 

「孤独」は自分次第で幸福にも不幸にもなるもの

 
~「はじめに」より抜粋~

考えてみれば、自分ひとりの時間が持てるというのは、幸せなことです。人生一〇〇年時代を過ごす中で、誰もがひとりで過ごす時間が多くなるはずです。それは「孤独」を感じる時間が多くなることでもありますが、半面、孤独を楽しめる時間が長くなるということです。

家族や友人がいても、「孤独だ」を感じる時間は必ずあります。そこで、どうやって自分自身の時間をポジティブなものに転換していくか。極論すれば、その方法次第で、人生が幸福なものか、不幸のまま終わってしまうかが決まっていきます。孤独を積極的に楽しめる人と、孤独を否定的に感じる人とでは、「人生の密度」が大きく変わってくるように思います。

「孤独はラッキー」なのです。「自分だけの、自由に自分勝手に使える時間」、それが「ちょうどいい孤独」です。本書を手にとって、「孤独っていいものだな」という感覚を存分に味わっていただければと、願っています。

 

本書の構成

はじめに 人生一〇〇年時代の「ソロ立ち」のすすめ
「ちょうどいい孤独」を探す

第1章 「ちょうどいいひとり時間」は人生を変える
「ソロで生きる力」を磨く時代
高齢者の三割は友達がいない
人間は「ひとりでいたい」欲求を持つ存在
「孤独力」を磨けば「孤立」は招かない
孤独と孤立とひとり暮らしのリスク
孤独には魅力がいっぱい
執着を減らして「ソロ力」を上げる
孤独の醍醐味は個人の価値に気づくこと ……

第2章 群れない、束縛されない「ソロ活」のすすめ
子どもの頃から「ひとりでいたい」人間だった
「ブレない生き方」を追求する「ソロ立ち」
コロナ禍で「自分との付き合い方」を学ぶ
ソロ生活の孤独が、僕の土台を育てた
人生は思い通りにならない。だからこそ思い通りに生きればいい
青春の途上で「孤独」のあり方を考えた
誰にも「自分時間」を邪魔させない
人生という「ひとり芝居」がある
孤独と不安をごちゃ混ぜにするな
「ヤマアラシの哲学」に学ぶ
コロナ禍時代に「上手に距離を取る」七つのポイント ……

第3章 さびしいという孤独感を減らして「孤独力」を上げる
孤独は本物の伝染病
「望まない孤独」が急増している
人生強者の「孤独のすすめ」に騙されない
追い込まれ孤独は減らしたい
家族がいても孤独や孤立のリスクはつきまとう
まずは居場所づくりから
結婚しても孤独感はつきまとうこともある
孤独は健康に悪い?
「ひとりでいる力」は離婚を減らす
孤独を巧妙に手なずける考え方 ……

第4章 家族や集団の中でこそ「ソロ精神」を発揮しよう!
老いの孤独を遊ぶ
ひとり時間で人生の軌道修正
孤独は人間の本能
他人と比べなければ「さびしさ地獄」に落ちない
積極的孤独のための行動変容
「ひとり時間」の鍛え方
新しいことにチャレンジして自分を見つめる
誰かといたいときにだけ、誰かといればいいのだ
自分と向き合う技術を磨く ……

第5章 「老いの坂」を下りるスキルをどう身につけるか
孤独をしっかり生きている。でも「励まし」は欲しい
六五歳で家庭教師についた
「手抜きごはん」で悠々ソロ立ち
スキー場で老いのソロ活
ソロ立ちすると、凄みが出る
人生の最後の最後は「個人戦」
ちょっとだけ人のために動いてみる
「誰かといるのに孤独」なのは危険がいっぱい
誰でも「孤独名人」になれる
ひとり力を鍛える健康ソロ活
鎌田式一汁一菜瞑想法
いくつになっても潜在的な欲望がうごめく
老いの性は「生の本能」「死の本能」を目覚めさせる大切なもの
「PPH(ピンピンヒラリ)」は「ソロ立ち」の基本
死の怖さから早く自由になろう
心を許せる誰かがいれば、人間は生きていける ……

第6章 老いの「ソロ立ち」であなたも孤独名人になれる
集団の中でも孤独でいていい
孤独死は本当に不幸なのか
「孤独死」は悲劇ではなく尊重すべきもののはず
僕自身も、死ぬなら自宅がいい
小さな不便さえ我慢できれば「自立死」は簡単
美しい「自立死」
「納得死」がしたければ人生に締め切りを設けよう
死の間際、人はどんなことを後悔するのか
「個立有縁」……ここからが本番
死の準備は、自分の生き方の総決算
あの世への旅立ちは最高のソロ活
自分を貫き通して生きる

おわりに代えて カマタの老いのソロ立ち

 

著者プロフィール

著者の鎌田實(かまた・みのる)さんは、1948年生まれ。東京都出身。医師・作家・諏訪中央病院名誉院長。東京医科歯科大学医学部卒業。1988年に諏訪中央病院院長、2005年より名誉院長に就任。

地域一体型の医療に携わり、長野県を健康長寿県に導いた。日本チェルノブイリ連帯基金理事長、日本・イラク・メディカルネット代表。2006年、読売国際協力賞、2011年、日本放送協会放送文化賞を受賞。

近著に『ミッドライフ・クライシス』(青春出版社)、『医師が考える 楽しく人生を送るための簡単料理 鎌田式健康手抜きごはん』(集英社)、『鎌田實の人生図書館 あなたを変える本と映画と絵本たち400』(マガジンハウス)などがある。

 

ちょうどいい孤独
鎌田 實 (著)

家族や友人がいても、「孤独」だと感じる時間は必ずある。そこをどうやって自分自身の時間をポジティブなものに転換していくか。
その方法次第で、人生が幸福なものか、不幸なまま終わってしまうかが決まっていくなら……。孤独を積極的に楽しんで、「人生の密度」を高めていきませんか。
コロナ禍において提唱された新しい生活様式は、「個のすすめ」でした。買い物も散歩も外食も、原則としてひとり。人混みを避け、極力人に合わないことを強いられた日々。強烈に「ひとり」を実感されられた時間の中で、多くのひとはひとりで生まれて、ひとりで死ぬという「孤独」の本質を見たはずです。

本書は、孤独を癒すのではなく、孤独を楽しむことを提案しています。孤独“に”生きるのではなく、孤独“を”生きる。つまり「望んで得る孤独」のすすめです。
孤独を楽しめれば周囲の雑音に惑わされることなく、自分自身の本来の姿に立ち返ることができます。精神的な自立は、家族や友人との付き合い方も風通しのいいものに変わっていくでしょう。「孤高」を求めるのではなく、ゆるやかな孤独を楽しむ。そんな大人の生き方の提案です。

 


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