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【第73回H氏賞・第41回現代詩人賞】H氏賞に小野絵里華さん『エリカについて』 現代詩人賞は河津聖恵さん『綵歌』

第73回H氏賞および第41回現代詩人賞が決定!

第73回H氏賞および第41回現代詩人賞が決定!

日本現代詩人会は、新人の優れた詩集に贈る第73回H氏賞および、中堅以上の詩人の優れた詩集に贈る第41回現代詩人賞の受賞作を発表しました。

 

第73回H氏賞および第41回現代詩人賞が決定!

第73回H氏賞および第41回現代詩人賞の選考会が3月4日に開催され、次の通り受賞作が決定しました。

 
<第73回H氏賞 受賞作品>

小野絵里華(おの・えりか)さん
『エリカについて』(左右社)

〔選考委員〕 広瀬大志さん(選考委員長)、坂多瑩子さん、清野裕子さん、照井良平さん、中田紀子さん、山本純子さん、若宮明彦さん

 
<第42回現代詩人賞 受賞作品>

河津聖恵(かわづ・きよえ)さん
『綵歌』(ふらんす堂)

〔選考委員〕 朝倉宏哉さん(選考委員長)、伊藤悠子さん、斎藤恵子さん、高貝弘也さん、中井ひさ子さん、橋浦洋志さん、龍秀美さん

 
H氏賞を受賞した小野絵里華さんは、1984年生まれ、東京都出身。東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了。2010年「ユリイカの新人」に選出。2022年、エルスール財団新人賞を受賞。

現代詩人賞を受賞した河津聖恵さんは、1961年生まれ、東京都出身。京都大学文学部独文学科卒業。1985年に第23回現代詩手帖賞受賞。1998年『夏の終わり』で第9回歴程新鋭賞、2003年『アリア、この夜の裸体のために』で第53回H氏賞、2013年に新藤凉子さん・三角みづ紀さんとの連詩集『連詩 悪母島の魔術師』で第51回藤村記念歴程賞、2021年『「毒虫」詩論序説』で第21回日本詩人クラブ詩界賞を受賞。

小野さんと河津さんには、それぞれ賞金50万円と記念品が贈られます。授賞式は2023年6月4日、「日本の詩祭2023」(アルカディア市ヶ谷)にて実施される予定です。

 

H氏賞および現代詩人賞について

H氏賞は、実業家の平澤貞二郎さんが1950年、詩を目指す新人のために私財を投じて基金を創設し、日本現代詩人会が主催する文学賞です。新人の優れた現代詩の詩集に贈られます。

なお、賞の名称は、平澤さんが自身の名前を公表する事を固辞したことから、ご本人のイニシャルをとって定められたものです。

選考は毎春、前年1月1日から12月31日の間に発行された新人の全詩集が対象となり、日本現代詩人会会員投票と選考委員の推薦により決定されます。

 
また1983年には、中堅以上の詩人を対象とし、優れた日本の現代詩集に贈られる現代詩人賞が創設されました。

 

エリカについて
小野 絵里華 (著)

エリカ! 12年待っていた。読みたかった。やっと出た。──伊藤比呂美
私たちの、新しい詩集登場。小野絵里華待望の第一詩集刊行!
身を任せる。揺られる。
そこで持ち続けるべきは自分の信念などではなく、言葉で作られた世界をどこまでも漂おうという、純粋な好奇心。
だと思う。──玉城ティナ
地球上の生活がぜんぶエリカで、エリカが詩だった──伊藤比呂美

朝がくるたび、 わたしたちは生まれる。
苦しみを抱えながら、ただ静かに呼吸している。
生まれてくることは しんどいことだ。
それでも朝焼けがきて、 わたしたちはやわらかな光に包まれている。
今日もせかいは、透明なかなしみがきらめいている。

不確かで、それでも透明でキラキラした朝を私たちは待ってる──
ユリイカ新人賞で鮮烈にデビューした小野絵里華、注目の第一詩集!

夜になると、わたしは言葉をひとつずつ殺していくことに夢中になる。本当には殺さない。睡眠薬を投与していくのだ。ゆるり、骨をなくして。輪郭をなくして。 彼らはどこかに帰っていく。もとあった場所に収まる。せかいの表面はさざ波だ。そんな時、わたしはいつもひとりだ。
「あとがき 喋りすぎた朝」より

綵歌
河津聖恵 (著)

◆伊藤若冲を紡ぐ詩集!
い火種となることを選んだ、若冲。
詩人もまた、21世紀の闇の世界に「熱い火種」たらんと言葉を放つ。

若冲の生きた18世紀と私の生きる21世紀が浸透し合うような、不思議な時空の感覚。それらをそのまま詩の言葉によって生捕りにしたい…。これまで知らなかった詩の欲望です。(あとがき)

◆本文より
偽りの世にみずから盲い
軍鶏の生命にまなこを見ひらき
世の闇に生きる痛みをおしのべた
絵師のまなざしが
今いきものからあふれる光の辰砂に埋められてゆく

 
【関連】
日本現代詩人会

 


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