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【第74回H氏賞・第42回現代詩人賞】H氏賞に尾久守侑さん『Uncovered Therapy』 現代詩人賞は粕谷栄市さん『楽園』

日本現代詩人会は、新人の優れた詩集に贈る第74回H氏賞および、中堅以上の詩人の優れた詩集に贈る第42回現代詩人賞の受賞作を発表しました。

 

第74回H氏賞および第42回現代詩人賞が決定!

第74回H氏賞および第42回現代詩人賞の選考会が3月2日に開催され、次の通り受賞作が決定しました。

 
<第74回H氏賞 受賞作品>

尾久守侑(おぎゅう・かみゆ)さん
『Uncovered Therapy』(思潮社)

〔選考委員〕 上手宰さん(選考委員長)、富沢智さん、峯澤典子さん、中本道代さん、池田順子さん、藤田晴央さん、青木由弥子さん(理事)

 
<第42回現代詩人賞 受賞作品>

粕谷栄市(かすや・えいいち)さん
『楽園』(思潮社)

〔選考委員〕 田村雅之さん(選考委員長)、岡野絵里子さん、廿楽順治さん、石田瑞穂さん、小林弘明さん、鈴木東海子さん、春木節子さん(理事)

 
H氏賞を受賞した尾久守侑さんは、1989年生まれ、東京都出身。横浜市立大学医学部卒業。慶應義塾大学大学院医学研究科博士課程修了。精神科医。

2016年の第1詩集『 国境とJK』が中原中也賞最終候補に、2018年の第2詩集『 ASAPさみしくないよ』がH氏賞最終候補に。2020年に第9回エルスール財団新人賞を受賞

現代詩人賞を受賞した粕谷栄市さんは、1934年生まれ、茨城県古河市出身。早稲田大学商学部卒業。1971年『世界の構造』で第2回高見順賞、1989年『悪霊』で第27回藤村記念歴程賞、1999年『化体』で第15回詩歌文学館賞、2005年『鄙唄』『轉落』で芸術選奨文部科学大臣賞、2011年『遠い川』で第6回三好達治賞を受賞。「森羅」同人。

 
尾久さんと粕谷さんには、それぞれ賞金50万円と記念品が贈られます。授賞式は6月2日(日)、「日本の詩祭2024」(アルカディア市ヶ谷)にて実施される予定です。

 

H氏賞および現代詩人賞について

H氏賞は、実業家の平澤貞二郎さんが1950年、詩を目指す新人のために私財を投じて基金を創設し、日本現代詩人会が主催する文学賞です。新人の優れた現代詩の詩集に贈られます。

なお、賞の名称は、平澤さんが自身の名前を公表する事を固辞したことから、ご本人のイニシャルをとって定められたものです。

選考は毎春、前年1月1日から12月31日の間に発行された新人の全詩集が対象となり、日本現代詩人会会員投票と選考委員の推薦により決定されます。

 
また1983年には、中堅以上の詩人を対象とし、優れた日本の現代詩集に贈られる現代詩人賞が創設されました。

 

Uncovered Therapy
尾久守侑 (著)

鼻をつまんだ高校生が
朝の交差点を駆けてくる
道の途中でいなくなって
不登校になる

忘れられた距たり、奪われた空気。
わたしが消えた―
見当識をなくした時代に捧ぐ、変幻自在な〈距離の治療〉。

楽園
粕谷栄市 (著)

世間の人々は、笑うかもしれない。かぎりなく幼稚な愚かな夢だ、と。
しかし、たとえば、瀕死の病床にあって、薄明の時間を過ごす者にとっては、そうではない。
それは、直接の、そして、切実な現実である。
(「楽園」)
私は、幻の一匹の犬であったか――。
現実と異郷のはざまから、遥かな啓示の光が射しこむ。10年ぶりの新詩集。
装幀=奥定泰之

 
【関連】
日本現代詩人会

 


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