直木賞作家・白石一文さん〈構想二十年〉『松雪先生は空を飛んだ』が刊行
直木賞作家・白石一文さんの最新小説『松雪先生は空を飛んだ』上・下巻がKADOKAWAより刊行されました。
こんな小説、読んだことない! 物語の魔術師・白石一文さんが贈るワンダーランド『松雪先生は空を飛んだ』
自作への満足度は「どうしてこんなものが書けたのだろう?」の度合いが高いほど大きい。今作はその度数が非常に高いので、これが上梓できただけでもう充分だ。作者の意図を超えた「超絶技巧」の域にようやく達したと感じている。
――白石一文さん
『松雪先生は空を飛んだ』は実に構想二十年、著者の新たな到達点となる記念碑的作品です。ごくありふれた、しかしかけがえのない普通の人間の生活を描きつつ、その人生の岐路に見え隠れするのは空を飛ぶ人間の影。彼らにはある共通点があり――という、一度読み始めたらページをめくる手が止まらない傑作です。
一章一章に、長編一本分の材料を惜しげもなく注ぎ込み、しかも軽やかで読みやすい。そしてこの小説を最後まで読み終えたとき、思わず誰かと語り合いたくなる――そんな作品です。
【あらすじ】
「今日から、きみたちは自由に空を飛ぶことができる」
スーパー・パリットストアの総菜部新入社員、銚子太郎は窮地に立たされていた。発注ミスで野菜サラダのパックが100個も届いてしまったのだ。通常の10倍量のサラダを前に困り果てる銚子太郎だったが、ベテランパート久世さんの「サラダ記念日を絡めたPOPをつける」という名案に救われる。それをきっかけに久世さんと仲良くなった銚子太郎は、ある日木から降りられなくなった猫を助けるために、空中を飛行する久世さんを目撃してしまう――。
既婚者の子供を身ごもり、世をはかなむ糸杉綾音。セスナ機事故で九死に一生を得てから、人が変わってしまったスーパーヤオセーの会長・高岡泰成。描かれる複数の男女の生活と歴史、そして見え隠れする「空を飛ぶ人間」の存在。やがて、空を飛ぶ彼らには「私塾で松雪先生の最終講話を受けた」という共通点が浮かび上がってくる。時を経て、再び最終講話メンバーが集まった時、松雪先生の頭にあった計画とは――
著者プロフィール
白石一文(しらいし・かずふみ)さんは、1958年生まれ、福岡県出身。早稲田大学政治経済学部卒業。文藝春秋に勤務していた2000年に『一瞬の光』を刊行、鮮烈なデビューを飾る。
2009年『この胸に深々と突き刺さる矢を抜け』で山本周五郎賞、翌2010年に『ほかならぬ人へ』で直木賞を受賞。『我が産声を聞きに』『ファウンテンブルーの魔人たち』『道』など著作多数。
松雪先生は空を飛んだ 上 白石 一文 (著) 装丁:bookwall |
松雪先生は空を飛んだ 下 白石 一文 (著) |
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