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最果タヒさん第12詩集『恋と誤解された夕焼け』が刊行

最果タヒさんの12作目となる詩集『恋と誤解された』が新潮社より刊行されました。

 

人間のあらゆる感情は美しい言葉となる――詩の沃野の最先端を疾走する最新詩集

『恋と誤解された』には、文芸誌「新潮」で3年間にわたって連載された詩を中心に、SNS発表作品を加えた43篇を収録。映画、写真、展覧会、街とのコラボレーションなど、詩の可能性を多方面で開花させてきた詩人が、斬新でロマンティックな世界観を最尖端のコトバで展開する最新詩集です。

 
<著者コメント>

生きるために必要のないもの、星の光とか、そういうものをまっすぐに信じている時だけ、まっすぐに歩める気もする。現実や生活と呼ばれる時間の中に、たくさんの夢や「信じなくては消えてしまうもの」はあって、たぶんそれは詩も同じだ。現実に根ざすわけではないけれど、現実の中で息をする一瞬一瞬に混ざっている、そんな光を形にすることが、言葉にはできる。言葉は曖昧で、そうして案外便利ではなく、いろんな繊細な気持ちを語るにはどうしても不十分なことが多いから、相手が受け取ってくれると信じてなんとか組み立てた言葉を差し出すしかなく、そうして受け取る時も相手の瞳の光が見えるような、そうしてその奥の気持ちがなんだかわかる気がする、と予感を胸に手を差し出すしかないことがある。たくさんの「確かではないこと」のために言葉はずっと息をしていて、私はだから言葉を書くのが好きで、言葉を読む人に、言葉を差し出す瞬間のことを、とても眩しくて、光に満ちたことだと信じている。夢を見ている。詩集が出ます。どこかの誰かが、この本を手に取って、不意に言葉がそこから読み取れる「意味」を超えた何かに見えた時、その人が言葉や自分の見ている世界を美しいと思えたら、私はそれが一番幸せです。

 

本書の目次

流れ星の詩
浜辺の詩
透明な水
大晦日の詩
天国は秋の季語
放課後婚
つらら
星座卿
赤色の詩
薔薇
讃美歌

紫陽花の花束
世界線
川じゃない
死なば諸共とろろ
戦争
生前の夏
氷の詩
窓際の詩
机上の体育
パール色
花束の詩
幽霊たち
地平線の詩
波紋の詩
ボランティア
川辺の詩
春一番の詩
爆撃機に乗って
2099
彗星の詩
花瓶の詩
教室
愛になる
さみしい子戦記
満ち潮の詩
薔薇滅
宝石の詩
翼をください
心臓売り
雪化粧の詩
薔薇の棘

あとがき
初出

 

著者プロフィール

最果タヒ(さいはて・たひ)さんは、詩人。1986年生まれ。2004年よりインターネット上で詩作をはじめ、翌年より「現代詩手帖」の新人作品欄に投稿をはじめる。

2006年、現代詩手帖賞を受賞。2007年、第一詩集『グッドモーニング』を刊行。同作で中原中也賞を受賞。以後の詩集に『空が分裂する』、『死んでしまう系のぼくらに』(現代詩花椿賞)、『夜空はいつでも最高密度の青色だ』(2017年、石井裕也監督により映画化)、『愛の縫い目はここ』、『天国と、とてつもない暇』、『恋人たちはせーので光る』、『夜景座生まれ』『さっきまでは薔薇だったぼく』『不死身のつもりの流れ星』『落雷はすべてキス』がある。

2017年に刊行した『千年後の百人一首』(清川あさみさんとの共著)では100首を詩の言葉で現代語訳した。2018年、案内エッセイ『百人一首という感情』刊行。小説作品に『星か獣になる季節』、『渦森今日子は宇宙に期待しない。』、『十代に共感する奴はみんな嘘つき』など、エッセイ集に『きみの言い訳は最高の芸術』、『「好き」の因数分解』、『コンプレックス・プリズム』、『恋できみが死なない理由』など、絵本に『ここは』(絵:及川賢治さん)、翻訳作品に『わたしの全てのわたしたち』(著:サラ・クロッサンさん/金原瑞人さんとの共訳)がある。

 

恋と誤解された夕焼け
最果 タヒ (著)

コトバの最尖端を疾走し続けてきた詩人は新たな沃野に向かった。《だから空がとても赤く燃えている。ぼくは愛されたい。》――今、ここにいる私たちの魂の秘密は、詩のコトバによってしか解き明かせない。《どこからなら、きみを連れ去る神様の手のひらがやってきても平気か、教えて。水平線か、地平線?》生命と世界の光と影をあますところなく照らし出す43篇。決定的な第12詩集。

 
【関連】
試し読み | 最果タヒ 『恋と誤解された夕焼け』 | 新潮社

 


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