小森収さん初の本格ミステリ長編『明智卿死体検分』が刊行
およそ二百年、三世紀にわたる短編ミステリの歴史を彩る名作・傑作から厳選された作品を全6巻に集成し、評論を付した一大アンソロジー『短編ミステリの二百年』で第75回日本推理作家協会賞と第22回本格ミステリ大賞をW受賞した評論家・小森収さんによる、初めての本格ミステリ長編『明智卿死体検分』が東京創元社より刊行されました。
『短編ミステリの二百年』で第75回日本推理作家協会賞と第22回本格ミステリ大賞(ともに評論・研究部門)を受賞した稀代の才人・小森収さんが贈る初ミステリ長編!
物語の舞台は、科学ではなく陰陽道が発展した歴史改変世界の「日本」。捜査権を持つ権刑部卿・明智小壱郎光秀と、その補佐を務める陰陽師・安倍天晴が、雪でいっぱいの四阿から発見された死体の謎に挑みます。本格ミステリとしても、また特殊設定ミステリとしても非常に読み応えのある傑作に仕上がっています。
また、本作はアメリカの作家、ランドル・ギャレットの〈ダーシー卿〉シリーズ(『魔術師が多すぎる』『魔術師を探せ!』など)の世界観に着想を得て描かれており、同シリーズを既読の読者はより深く作品世界を堪能できると思われます(もちろん、同シリーズを未読の読者でも問題なく楽しめる作品です)。ほか、アイザック・アシモフの『銀河帝国の興亡』をはじめとする、古典的名作に基づくパロディ、囲碁やチェス用語から考案された魔術など、随所に遊び心がちりばめられています。しかし、最後に待ち受ける真相は、長年のマニアをも唸らせる“強烈”なものです。
刊行前から注目を集めていた今作には、さっそく絶賛コメントが続々とあがっています!
◎次々と登場する凝った設定からも作品世界の奥行きが感じられて心躍りました。
◎科学技術と魔術と前近代日本の文化が混淆し、随所に名作ミステリやSFのオマージュが。針迫弾(はりのせるだん)にはうけた。
◎予想以上に面白くてクリティカルヒットに好みの作品でした。
◎戦国~明治がごっちゃになった世界観の日本で、鋼の錬金術師と呪術廻戦を足して3で割って、ミステリ成分を足した感じ。
◎明智卿と天晴のコンビが好きすぎて続刊希望!
小森収さんの日本推理作家協会賞&本格ミステリ大賞受賞第一作であり、評論家・アンソロジストとしての知見が遺憾なく発揮された作品です。
【あらすじ】
その男は、四阿(あずまや)いっぱいの雪に埋もれて凍死していた。この異常な状況は、おそらく魔術によるものだ──それも上級魔術師の。事件関係者は、調略に長けた軍人、毒見役の陰陽師、そして“タレント”を持つ近衛将曹ら、一癖も二癖もある者ばかり。魔術を行使して人を殺めると、その証が術者の相貌に顕われるが、関係者にその気配はない。では、誰が、なぜ、そしてどうやって殺人を為し遂げたのか? 菊の御料所で発生した不可能犯罪を調査するのは、権刑部卿・明智小壱郎光秀(あけちこいちろうみつひで)と、陰陽師・安倍天晴(あべのてんせい)。
著者プロフィール
著者の小森収(こもり・おさむ)さんは、1958年生まれ、福岡県出身。大阪大学人間科学部卒業。編集者、評論家、作家。演劇評論家、文芸書の編集者として活動するほか書評・ミステリ評論の分野でも精力的に活躍する。
主な著書・編書に『小劇場が燃えていた』『はじめて話すけど…』『本の窓から』『都筑道夫 ポケミス全解説』、小説の著作に『終の棲家は海に臨んで』『土曜日の子ども』がある。2022年、三世紀にわたる短編ミステリの歴史を俯瞰したアンソロジー&評論書『短編ミステリの二百年』(全6巻)で第75回日本推理作家協会賞および第22回本格ミステリ大賞(ともに評論・研究部門)を受賞。
明智卿死体検分 小森 収 (著) 男は四阿いっぱいの雪の中で凍死していた。 『短編ミステリの二百年』で日本推理作家協会賞&本格ミステリ大賞を制した著者が、魔術が存在する“日(ひ)の本(もと)”を舞台に贈る傑作本格ミステリ。 装画:鈴木康士 |
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