矢樹純さん〈戦慄の家族図鑑〉『血腐れ』が刊行
矢樹純さんによるホラー・ミステリー短編集『血腐れ』が新潮文庫より刊行されました。
イヤミス×ホラー、衝撃の二重奏
2020年に日本推理作家協会賞短編部門を受賞した『夫の骨』が大きな話題を集め、その後も話題作を次々と発表してきた矢樹純さんが満を持して放つのは、イヤミス×ホラーの短編集。家族・親族の不幸から始まる物語は亡霊の出現や一族に伝わる呪いなど超自然的な現象へと繋がってゆき、最後にミステリとして見事な着地を見せる、前人未踏の作品集です。
兄さん──つまり私の亡夫に唇を触られたと語り出した義理の妹(「魂疫」)。
怨霊である崇徳天皇を祀るという縁切り神社で行われた、血なまぐさい“儀式”(「血腐れ」)。
《地獄に墜ちた者》の骨、母の秘められた過去(「骨煤」)。
妹がアイドルを辞めた理由とは(「爪穢し」)。
忌まわしき伝承を持つ祖父の寺の鐘が鳴るとき(「声失せ」)。
原因不明の熱に苦しむ息子に付き添う私に優しく近づいてきた女(「影祓え」)。
その場に立ち会っているかのような臨場感を醸しだす類まれな描写力で、誰もが感じてきた家族・親族の鬱屈がまず浮き彫りにされます。日常から非日常へと移行する狭間から超自然の怪異が顔を出します。読者はそこまでで二度震えることでしょう。最後に、ミステリとしての解が示され、読者は三度目の震撼を覚えることになります。
【あらすじ】
亡き夫に唇を触られたと語り出した義妹(「魂疫」)。縁切り神社で行われる“儀式”(表題作)。忌まわしき伝承を持つ鐘が鳴るとき(「声失せ」)。原因不明の熱に苦しむ息子に付き添う私に近づいてきた女(「影祓え」)。身近な者の災難や死が切り裂いた日常。煉獄の扉を開くのは、無念を抱く冷たい死者か、あなたの傍らで熱を放つ家族か。禁忌を踏みこえた先に見える真相。戦慄のホラー・ミステリー短編集。
解説=杉江松恋
本書の収録作品
魂疫(たまえやみ)
血腐れ(ちぐされ)
骨煤(ほねずす)
爪穢し(つめけがし)
声失せ(こわうせ)
影祓え(かげはらえ)
解説 杉江松恋
著者プロフィール
矢樹純(やぎ・じゅん)さんは、小説家、漫画原作者。1976年生まれ、青森県出身。実妹とコンビを組み、加藤山羊の合同ペンネームで、2002年、「ビッグコミックスピリッツ増刊号」にてデビューする。『あいの結婚相談所』『バカレイドッグス』などの原作を担う。
2012年、「このミステリーがすごい!」大賞に応募した『Sのための覚え書き かごめ荘連続殺人事件』で小説家としてデビュー。2019年に上梓した短編集『夫の骨』が注目を集め、2020(令和2)年に表題作で日本推理作家協会賞短編部門を受賞する。
他の小説作品に『がらくた少女と人喰い煙突』『妻は忘れない』『マザー・マーダー』『残星を抱く』『不知火判事の比類なき被告人質問』、『幸せの国殺人事件』などがある。
がある。
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血腐れ (新潮文庫) 矢樹 純 (著) 悪夢のようで怖い。真相を知ったら、なお怖い。 |
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