『これが日本の正体! 池上彰への42の質問』日本の常識、世界でどうなの?
池上彰さん著『これが日本の正体! 池上彰への42の質問』が、大和書房より刊行されました。
日本の常識って世界と比べてどうなの?
コロナ禍で価値観が大きく揺らいだ現代日本。
諸外国と比べて、日本はどのように国民を守ってくれるのか、かつてないほどに政治に注目が集まっている時代と言えます。
国の政策や、政治のリーダーシップの欠如、IT化の遅れなど、日本の劣っている部分も浮き彫りになりました。
本書は、池上彰さんが、現代の日本の常識は世界と比べてどうなのか、各分野からの質問に答えます。
世襲議員が多いのは日本だけ?
国会議員の半数近くが世襲議員で、安倍政権下では閣僚の6割が世襲議員である日本。
これって当たり前なのでしょうか?
実は先進国でもまれなケースであり、大半の国では世襲議員の割合は1割以下なのです。
日本で世襲議員が多い原因の一つが、後援会の存在です。大半の国会議員には後援会があり、特に保守系の議員には応援する地元の有力者がいます。応援する候補が当選すると、有力者はその議員を通して地元へ利益を誘導できるよう国に陳情します。その議員が引退したり亡くなったりすると、利益構造を守るために議員の子供や同姓の親族を担ぎ上げるのです。
利益構造を守りたい支持者は絶対に投票に行く。ですから、投票率が低ければ低いほど、彼らが応援する候補者が有利になります。
日本の年金は維持できる?
自分たちはどうせ年金をもらえないだろう。そう思っている若者は多いと思います。
しかし、年金が受け取れなくなるのは日本が破綻した時であり、そうならない限り国はこの制度を必死で守るでしょう。ただし、高齢化が進めば単純に考えれば財政はひっ迫します。
かつて年金は「積み立て方式」と呼ばれていましたが、インフレが襲い掛かり、現在の賦課方式がとられることになりました。
国民年金の半分は徴収される保険料で賄っていますが、もう半分は税金です。ですから、年金を払っていない人は、障害基礎年金や老齢年金を受け取れないばかりか、収めた税金の一部が他の人の年金に使われることになります。
国は高齢者が働いて保険料を納め、受給期間を短くして全体の支給額を減らすことで、高齢化社会を乗り越えようとしています。しかし、平均寿命が延びている今、結局受け取る期間は同じかもしれません。
本書「はじめに」より
物事を印象論で片付けてしまってはいけません。
きちんとしたデータを元に論じ、諸外国と比較しなければ、日本の「正体」は見えてきません。
そこで、この本は、
「政治」「制度」「教育」「女性」「働く」「経済」「グローバル」の7つの章に分け、日本社会の「正体」に迫っていくことにしました。
日本の総理大臣は、なぜ国民が直接選べないのか。
総理大臣の虚偽答弁がなぜ問題にされないのか。
世襲議員は海外にはいないのか。
日本人は長時間労働なのか。等々。
42項目の素朴な疑問に答えていく構成になっています。
この本が何かを考え、何かの行動を起こすきっかけになれば。
そう思いながら書きました。
本書の構成
第1章 政治
Q 公文書の破棄や改ざんは日本だけ?
Q 世襲議員が多いのは日本だけ?
第2章 制度
Q 日本の年金は維持できる?
Q 同性婚はなぜ認められない?
第3章 教育
Q 子供の学力は低下している?
Q 日本の基礎研究が危ない?
第4章 女性
Q 女性の議員はなぜ少ない?
Q 日本は母親の負担が大きい?
第5章 働く
Q 一斉就活は日本だけ?
Q 日本人は長時間労働?
第6章 経済
Q アベノミクスは成功した?
Q 日本の消費税、10%でいいの?
第7章 グローバル
Q なぜ日本は難民を受け入れない?
Q 日本はなぜ「核兵器禁止条約」に批准しない?
著者プロフィール
著者の池上彰(いけがみ・あきら)さんは、1950年生まれ。長野県出身。慶應義塾大学卒業。ジャーナリスト。
NHKで記者やキャスターを歴任、1994年より11年間「週刊こどもニュース」でお父さん役を務め、わかりやすい解説が人気を博する。2005年よりフリージャーナリストとして多方面で活躍中。現在、名城大学教授、東京工業大学特命教授。関西学院大学、愛知学院大学、立教大学、信州大学などでも講義を担当。
著書に『そうだったのか!現代史』シリーズ(集英社文庫)、『池上彰の世界の見方』シリーズ(小学館)、『知らないと恥をかく世界の大問題』シリーズ(角川新書)、『なぜ読解力が必要なのか?』(講談社+α新書)、『池上彰の君と考える戦争のない未来』(理論社)、『武器になる!世界の時事問題』(大和書房)他多数。
これが日本の正体! ~池上彰への42の質問 池上 彰 (著) ・日本の総理大臣はなぜ国民が直接選べないのか? 「政治」「制度」「教育」「女性」「働く」「経済」「グローバル」 |
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