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芥川賞&直木賞(平成30年上半期)候補作が決定 松尾スズキさん、湊かなえさんら計11名

日本文学振興会は6月18日、第159回芥川龍之介賞(平成30年上半期)および第159回直木三十五賞(平成30年上半期)の候補作品を発表しました。

芥川龍之介賞、直木三十五賞ともに、平成30年7月18日(水)午後5時より築地・新喜楽で選考委員会が開催され、それぞれ受賞作品が決定します。

 

第159回芥川賞 候補作について

第159回芥川賞の候補作は以下の通りです。〔敬称略〕

 
【候補作】

古谷田奈月(こやた・なつき) 『風下の朱(あか)』(『早稲田文学』初夏号 掲載)

高橋弘希(たかはし・ひろき) 『送り火』(『文學界』5月号 掲載)

北条裕子(ほうじょう・ゆうこ)『美しい顔』(『群像』6月号 掲載)

町屋良平(まちや・りょうへい)『しき』(『文藝』夏号 掲載)

松尾スズキ(まつお・すずき) 『もう「はい」としか言えない』(『文學界』3月号 掲載)

 
【候補者 プロフィール】

古谷田奈月さんは、1981年千葉県我孫子市生まれ。2013年、『今年の贈り物』で日本ファンタジーノベル大賞を受賞し、同作(『星の民のクリスマス』と改題)でデビュー。2017年に『リリース』で織田作之助賞、2018年に「無限の玄」で三島由紀夫賞を受賞。

高橋弘希さんは、1979年青森県十和田市生まれ。2014年『指の骨』で新潮新人賞を受賞。同作で第152回芥川賞候補になって以降、今回で4回目のノミネートとなりました。2017年に『日曜日の人々(サンデー・ピープル』で野間文芸新人賞を受賞。

北条裕子さんは、1985年山梨県中巨摩郡白根町(現・南アルプス市)生まれ。青山学院大学卒業。2018年に今回の候補作である「美しい顔」で第61回群像新人文学賞を受賞。

町屋良平さんは、1983年東京都台東区生まれ。埼玉県立越ヶ谷高校卒業。2016年「青が破れる」で第53回文藝賞を受賞。

松尾スズキさんは、1962年福岡県北九州市生まれ。九州産業大学卒業。劇団「大人計画」を主宰。第134回候補の『クワイエットルームにようこそ』、第142回候補の『老人賭博』に続いて、今回で3度目のノミネート。

 

第159回直木賞 候補作について

第159回直木賞の候補作は以下の通りです。〔敬称略〕

 
【候補作】

上田早夕里(うえだ・さゆり) 『破滅の王』(双葉社)

木下昌輝(きのした・まさき) 『宇喜多の楽土』(文藝春秋)

窪美澄(くぼ・みすみ)    『じっと手を見る』(幻冬舎)

島本理生(しまもと・りお)  『ファーストラヴ』(文藝春秋)

本城雅人(ほんじょう・まさと)『傍流の記者』(新潮社)

湊かなえ(みなと・かなえ)  『未来』(双葉社)

 
【候補者 プロフィール】

上田早夕里さんは、1964年兵庫県神戸市生まれ。神戸海星女子学院卒業。2003年に「火星ダーク・バラード」で小松左京賞を受賞しデビュー。2011年に『華竜の宮』で日本SF大賞を受賞。

木下昌輝さんは、1974年大阪府大阪市生まれ。近畿大学卒業。2012年に「宇喜多の捨て嫁」でオール讀物新人賞を受賞。直木賞は、第152回候補の『宇喜多の捨て嫁』、第157回候補の『敵の名は、宮本武蔵』に続いて、今回で3度目のノミネート。

窪美澄さんは、1965年東京都稲城市生まれ。2009年に「ミクマリ」で「女による女のためのR-18文学賞」大賞を受賞しデビュー。2011年に同作を収録した『ふがいない僕は空を見た』で山本周五郎賞を受賞。2012年『晴天の迷いクジラ』で山田風太郎賞を受賞。

島本理生さんは、1983年東京都板橋区生まれ。2006年に立教大学文学部日本文学科中退。高校在学中の2001年に「シルエット」で群像新人文学賞の優秀作を受賞しデビュー。2003年に『リトル・バイ・リトル』で野間文芸新人賞を受賞。過去に芥川賞に4回、直木賞に1回ノミネートされており、今回は2度目の直木賞候補となりました。

本城雅人さんは、1965年神奈川県藤沢市生まれ。明治学院大学卒業。2009年『ノーバディノウズ』でサムライジャパン野球文学賞大賞、2017年『ミッドナイト・ジャーナル』で吉川英治文学新人賞を受賞。

湊かなえさんは、1973年広島県因島(現・尾道)市生まれ。武庫川女子大学家政学部卒業。2007年「聖職者」で小説推理新人賞を受賞。2009年『告白』で本屋大賞、2012年「望郷、海の星」で日本推理作家協会賞「短編部門」、2016年『ユートピア』で山本周五郎賞受賞を受賞。2009年に刊行された『贖罪』の英語版が2018年のエドガー賞(ベスト・ペーパーバック・オリジナル部門)の候補に。直木賞は、第149回候補の『望郷』、第155回候補の『ポイズンドーター・ホーリーマザー』に続いて、3回目のノミネート。

 

芥川賞と直木賞について

芥川賞と直木賞は、1935(昭和10)年に制定され、芥川賞は新聞・雑誌(同人雑誌を含む)に発表された純文学短編作品、直木賞は新聞・雑誌(同)・単行本として発表された短編および長編の大衆文芸作品の中から優れた作品に贈られます。

芥川賞は主に無名・新進作家が、直木賞は無名・新進・中堅作家が対象となります。受賞者には正賞として時計、副賞として賞金100万円が授与されます。

 

破滅の王
1943年、上海。かつては自治を認められた租界に、各国の領事館や銀行、さらには娼館やアヘン窟が立ち並び、「魔都」と呼ばれるほど繁栄を誇ったこの地も、太平洋戦争を境に日本軍に占領され、かつての輝きを失っていた。上海自然科学研究所で細菌学科の研究員として働く宮本は、日本総領事館から呼びだされ、総領事代理の菱科と、南京で大使館附武官補佐官を務める灰塚少佐から重要機密文書の精査を依頼される。その内容は驚くべきものであった。「キング」と暗号名で呼ばれる治療法皆無の細菌兵器の詳細であり、しかも論文は、途中で始まり途中で終わる不完全なものだった。宮本は治療薬の製造を任されるものの、それは取りも直さず、自らの手でその細菌兵器を完成させるということを意味していた―。

 
宇喜多の楽土
父・直家の跡を継ぎ豊臣政権の覇者となった秀家。関が原で壊滅し、八丈島で長い生涯を閉じるまでを描く傑作長編。

 
じっと手を見る
富士山を望む町で介護士として働く、かつて恋人同士だった日奈と海斗。老人の世話をし、ショッピングモールに出掛けることだけが息抜きの日奈の家に、東京に住む宮澤が庭の草刈りに通ってくるようになる。生まれ育った町以外に思いを馳せるようになる日奈。一方、海斗は、日奈への思いを断ち切れないまま、同僚の畑中との仲を深め、家族を支えるために町に縛りつけられていくが…。読むほどに打ちのめされる!忘れられない恋愛小説。

 
ファーストラヴ
夏の日の夕方、多摩川沿いを血まみれで歩いていた女子大生・聖山環菜が逮捕された。彼女は父親の勤務先である美術学校に立ち寄り、あらかじめ購入していた包丁で父親を刺殺した。環菜は就職活動の最中で、その面接の帰りに凶行に及んだのだった。環菜の美貌も相まって、この事件はマスコミで大きく取り上げられた。なぜ彼女は父親を殺さなければならなかったのか?
臨床心理士の真壁由紀は、この事件を題材としたノンフィクションの執筆を依頼され、環菜やその周辺の人々と面会を重ねることになる。そこから浮かび上がってくる、環菜の過去とは? 「家族」という名の迷宮を描く傑作長篇。

 
傍流の記者
優秀な記者ばかりがそろった黄金世代。しかし、社会部長になれるのはひとりだけだった。生き残っているのは得意分野が違う、四十歳をこえた五人の男。部下の転職や妻との関係、上司との軋轢に、本流との争い、苦悩の種に惑いながら出世レースが佳境を迎えたそのとき―。新聞社が倒れかねない大スキャンダルの火の粉が、ふりかかる。出世か、家族か。組織か、保身か。正義か、嘘か。自らの経験と更なる取材で、リアリティを極限までアップデート。火傷するほど熱い、記者たちの人生を賭けた闘いを見よ!

 
未来
「こんにちは、章子。わたしは20年後のあなたです」ある日、突然届いた一通の手紙。送り主は未来の自分だという……。
『告白』から10年、湊ワールドの集大成!待望の書き下ろし長編ミステリー!!

 
【関連】
芥川龍之介賞|公益財団法人日本文学振興会
直木三十五賞|公益財団法人日本文学振興会

 


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