吉田修一さんが悪と欲望を描き尽くした〈極限の黙示録〉『湖の女たち』が文庫化&福士蒼汰さん、松本まりかさん主演で映画化

吉田修一さん著『湖の女たち』(新潮文庫)
新潮社は、2020年に発売された吉田修一さんの『湖の女たち』を文庫化し、新潮文庫より刊行しました。
本作は『週刊新潮』に連載された当時から、介護施設で起きた事件を捜査する刑事と施設で働く女が陥るインモラルな関係、そして事件の背後に見え隠れする現代社会の矛盾を抉り出すスケールの大きさが反響を呼びました。文庫版では画家の諏訪敦さんが解説を寄稿しています。
「お前、頭おかしいわ。ほんで、俺も頭おかしいわ」――ほの暗い欲望が妖しく輝き出す圧倒的メガノベル!
ほの暗い欲望と悪を描き尽くした「極限の黙示録」ともいえる本作は、福士蒼汰さん、松本まりかさん主演で映画化が決定しています。
メガホンをとるのは『さよなら渓谷』以来のタッグとなる大森立嗣さん。モスクワ国際映画祭を受賞し、主演の真木よう子さんが日本アカデミー賞最優秀主演女優賞などに輝いた傑作以来の組み合わせが実現します(2024年初夏全国公開予定)。
★映画「湖の女たち」公式サイト:https://thewomeninthelakes.jp/
【本書のあらすじ】
湖畔の老人介護施設「もみじ園」で、寝たきりの男性が人工呼吸器を外されて殺された。捜査にあたった刑事は施設で働く女性と出会うが、極限状態の取り調べの中で、二人はいつしかインモラルな関係に溺れていく。もっと最低なことをして、もっと汚してほしい……。
一方、事件を取材する週刊誌記者は、死亡した男性がかつて旧満州ハルビンで人体実験にかかわっていたことを突きとめる。やがて警察の腐敗も浮かび上がるが、編集幹部からは突然、取材の中止を命じられるのだった。一体誰が意識もまばらな寝たきりの老人を、あざ笑うかのように死なせたのか?
吸い寄せられるように湖に集まる男たち、女たち、そして――。圧倒的な自然が悪も善も美もすべて呑み込んでいく結末に、読後あなたは言葉を失う! 悪と欲望を描き尽くした極限の黙示録。
《諏訪敦さんが解説を寄稿》
本書には昨冬の大規模展覧会「眼窩裏の火事」(府中市美術館)も話題となった画家、諏訪敦さんが解説を寄稿しています。その一節を紹介します。
「犯罪とまで言えない咎で他人を吊るし上げるのも結構だが、インモラルな行為に埋没できる者たちだからこそ手にできる生の充実だってあるはずだ。二人から放たれる生命のつややかさはどうだ。そして佳代の幻視を描写する、著者の生き生きとした書きっぷりは。性愛に没頭する姿というものは、本来的に他者から見れば浅ましく滑稽なものだ。しかし自滅的で愚かであるからこそ底光りする生だって在り得るし、唾棄されようと少なくともそこには世間への忖度や、偽善の薄汚さはない。」
<本書に寄せられた賛辞>
サディスティックな筆致に陶然とさせられた。
――中野信子さん(脳科学者、医学博士)
胸の奥が疼いている。ものすごい小説を吉田修一は書いた。
――大森立嗣さん(映画監督)
覚悟して読んでほしい。すごいめにあうから。
――ジュンク堂書店滋賀草津店・山中真理さん
著者プロフィール

撮影:新潮社写真部
著者の吉田修一(よしだ・しゅういち)さんは、1968年生まれ、長崎県出身。法政大学卒業。1997年「最後の息子」で文學界新人賞を受賞し、デビュー。
2002年『パレード』で山本周五郎賞、同年発表の「パーク・ライフ」で芥川賞、2007年『悪人』で大佛次郎賞、毎日出版文化賞、2010年『横道世之介』で柴田錬三郎賞、2019年『国宝』で「芸術選奨」文部科学大臣賞と中央公論文芸賞を受賞。
ほかに『長崎乱楽坂』『橋を渡る』『犯罪小説集』『逃亡小説集』など著書多数。2016年より芥川賞選考委員を務める。
映像化された作品も多く、『東京湾景』『女たちは二度遊ぶ』『7月24日通り』『悪人』『横道世之介』『さよなら渓谷』『怒り』『楽園』『路』『太陽は動かない』に続いて『湖の女たち』が映画化され、2023年11月全国公開予定。
湖の女たち 吉田 修一 (著) そこは、憎悪が沈澱する場所――。吉田修一が悪を描き尽くしたメガノベル! |
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