受難(パシヨン)を越えて、求めよ、自由を――直木賞作家・川越宗一さんが「小西マンショ」を描く歴史長編『パシヨン』が刊行
直木賞作家・川越宗一さんが「禁教下における“最後の日本人司祭”」小西マンショを描く歴史小説『パシヨン』がPHP研究所より刊行されました。
著者初挑戦の新聞連載小説を書籍化
肥後南半のキリシタン大名・小西行長の孫で、禁教下での「最後の日本人司祭」となった小西マンショは、現存する記録が少ない謎の人物です。その知られざる生涯を、川越宗一さんが壮大なスケールで描きます。
川越宗一さんは、秀吉の東アジア侵攻と儒教を題材にした松本清張賞受賞作『天地に燦たり』でデビューし、2作目の『熱源』で直木賞を受賞するなど、いま最も勢いのある作家の一人です。
『パシヨン』は、2021年4月から2023年6月にわたって、河北新報・静岡新聞・南日本新聞・長崎新聞・琉球新報』などの各紙に順次掲載された、著者にとって初となる新聞小説を書籍化したものです。直木賞受賞直後に連載開始となった本作は注目を集め、SNSには「毎朝勇気をもらった」「(登場人物の)行動力や熱さは毎日のエネルギー」「クライマックスは読み返すたびに泣ける」といった読者の声が相次いで投稿されました。
「パシヨン」とは、キリストの受難を指す語です。本書は、迫害という厳しい現実に翻弄されながら生きるマンショと、キリシタン弾圧を取り仕切った幕府重臣の井上政重を軸とした歴史長編で、「人はなぜ争うのか」を現代人に問いかけます。
【あらすじ】
キリシタン大名・小西行長の孫で、対馬藩主・宗義智の子として生まれた彦七(のちの小西マンショ)の運命は、関ヶ原の戦さによって大きく変わった。離縁された母・マリヤとともに彦七は長崎へ。キリシタンへの迫害から逃れてきた、小西家の遺臣らの世話になりながら成長していく彦七だったが、彼には小西家再興の重圧がのしかかっていく。キリスト教が禁じられ、信徒たちの不安が高まるなか、彦七はある重大な決断を下すのだが……。
著者のことば
徳川氏に敗れた大名の孫であり、その幕府によって弾圧される信徒とともに生きた彼は、新しい時代に排除される側に在り続けた人といえるかもしれない。ただマンショについて残る記録は少ない。先人の多大な努力がありつつも事績は詳らかでなく、本作では私の想像が多くなる。
いっぽうで、新しい時代を作った側にも何らかの苦悩があったように思う。敵と味方、あるいは悪いやつと善いやつに二分できるほど、人間も社会も単純ではないはずだ。
そのため、井上政重という人物にも登場してもらうことにした。
(新聞連載開始時に配信[【寄稿】小説「パシヨン」連載にあたって]より)
著者プロフィール
著者の川越宗一(かわごえ・そういち)さんは、1978年、鹿児島県生まれ。大阪府出身。龍谷大学文学部史学科中退。2018年『天地に燦(さん)たり』で第25回松本清張賞で受賞しデビュー。
2019年刊行の『熱源』で第9回本屋が選ぶ時代小説大賞、第162回直木賞を受賞。その他の著書に、『海神の子』『見果てぬ王道』(以上、文藝春秋)がある。
パシヨン 川越 宗一 (著) 受難(パシヨン)を越えて、求めよ、自由を――。 キリシタン大名・小西行長の孫で、対馬藩主・宗義智の子として生まれた彦七(のちの小西マンショ)の運命は、関ヶ原の戦さによって大きく変わった。離縁された母・マリヤとともに彦七は長崎へ。キリシタンへの迫害から逃れてきた、小西家の遺臣らの世話になりながら成長していく彦七だったが、彼には小西家再興の重圧がのしかかっていく。キリスト教が禁じられ、信徒たちの不安が高まるなか、彦七はある重大な決断を下すのだが……。 |
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