本のページ

SINCE 1991

『負債と信用の人類学』刊行記念!小川さやかさん×松村圭一郎さん×佐久間寛さんオンライントークイベントを開催

文化人類学者デヴィッド・グレーバーの『負債論』で提起された経済や政治をめぐる思考を、さらに先へと推し広げていくべく編まれた論文集『負債と信用の人類学 ――人間経済の現在』(以文社)の刊行を記念して、丸善ジュンク堂書店にて本書の編者・著者によるオンライントークイベントが7月15日(土)に開催されます。

 

『負債と信用の人類学 ――人間経済の現在』について

 
【本書の概要】

2020年に急逝した文化人類学者デヴィッド・グレーバー。その思考の意義は、未だ汲み尽くされぬ魅力と価値に溢れている。日本でも『価値論』『負債論』『官僚制のユートピア』『アナーキスト人類学のための断章』(以文社)、『ブルシット・ジョブ』(岩波書店)などをはじめとするその著作は、現代社会を鋭く批評し、専門分野をこえてさまざまな議論がなされてきた。

とりわけ、2011年(日本語訳は2016年)に刊行された『負債論』は、貨幣と負債の秘密を5000年の人類史から読み解き、同時代の金融危機の記憶と影響とあいまって、人々に大きな衝撃をもたらす、世界的なベストセラーとなった。

 
本書は、グレーバーの「人間経済 human economy」の概念を手がかりに、『負債論』で提起された経済や政治をめぐる思考を、さらに先へと推し広げていくべく編まれた論文集である。
新型コロナウイルスの流行、ウクライナ危機と連動した世界的な不況が広がる今日、「他者を信じ、他者に追う」営みによって新たな社会関係と価値を創造する「人間経済」の可能性とは何か、文化人類学的視座から考察していく。

 
※本書は、2021年に開催された文化人類学公開シンポジウム「人類学からみる現代世界の信用と負債――「人間経済」に向けて」の成果に基づく登壇者による論考をまとめた第Ⅰ部、グレーバーの著作の翻訳を多く手掛ける酒井隆史さんによる特別寄稿論文、グレーバー本人の未翻訳論文、グレーバーが『負債論』執筆にあたって大きな影響を受けた経済人類学者キース・ハートによる、『負債論』の書評論文を追加収録した第II部、そして第Ⅰ部の執筆陣(シンポジウム登壇者)による本書の総括である座談会を掲載した第III部からなる。

 
<目次>

諸 言

第Ⅰ部
序 章 信用、負債、返済(佐久間 寛)
第一章 商業経済と絡まり合う人間経済のありか――ラオスのコーヒー産地における農家による金貸しからの逃避をめぐって(箕曲在弘)
第二章 時間を与えあう――商業経済と人間経済の連環を築く「負債」をめぐって(小川さやか)
第三章 暴力の貸しを取り返しに行く――東アフリカ牧畜社会における復讐/感染/代替の論理(佐川 徹)
第四章 負債と労働の関係――グレーバーの『負債論』と『ブルシット・ジョブ』をつなぐもの(松村圭一郎)

第II部
第五章 負債と約束―― 戦前大阪の都市下層社会における貸し借りの論理からみる(酒井隆史)
第六章 世界を生み出すのは価値である(デヴィッド・グレーバー/田口陽子訳)
第七章 負債、暴力、非人格的市場――ポランニー的省察(デヴィッド・グレーバー/佐久間寛訳)
第八章 デヴィッド・グレーバーと不平等世界の人類学(キース・ハート/林愛美訳)

第III部
第九章 『負債と信用の人類学』座談会(小川さやか/佐川徹/佐久間寛/松村圭一郎/箕曲在弘)

 

「小川さやか×松村圭一郎×佐久間寛『負債と信用の人類学――人間経済の現在』刊行記念トークイベント」開催概要

今回のイベントには、『負債と信用の人類学』の編者・佐久間寛さん、著者の小川さやかさんと松村圭一郎さんが登壇します。

 
■開催日時:2023年7月15日(土)19:30~21:00
※配信終了から1週間、アーカイブ配信あり

■開催場所:オンライン

■登壇者:小川さやかさん、松村圭一郎さん、佐久間寛さん

■チケット
◎視聴チケット:1,650円(税込)
◎視聴チケット+書籍:5,720円(税込、送料別)

■視聴チケット販売期間:2023年7月22日(土)12:00まで

★詳細&申込み:https://online.maruzenjunkudo.co.jp/products/j70019-230715

 

登壇者プロフィール

 
■小川さやか(おがわ・さやか)さん

1978年生まれ、愛知県尾張旭市出身。京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科博士課程指導認定退学。国立民族学博物館研究戦略センター機関研究員、同センター助教、立命館大学大学院先端総合学術研究科准教授を経て、現在、同研究科教授。専門は文化人類学、アフリカ研究。

2011年『都市を生きぬくための狡知』で第33回サントリー学芸賞、2020年『チョンキンマンションのボスは知っている』で第8回河合隼雄学芸賞第51回大宅壮一ノンフィクション賞を受賞。

その他の著書に『「その日暮らし」の人類学 もう一つの資本主義経済』など。

 
■松村圭一郎(まつむら・けいいちろう)さん

1975年生まれ、熊本出身。文化人類学者。岡山大学文学部准教授。エチオピアの農村や中東の都市でフィールドワークを続け、富の所有と分配、貧困や開発援助、海外出稼ぎなどについて研究。

著書に『所有と分配の人類学』『基本の30冊 文化人類学』『うしろめたさの人類学』『くらしのアナキズム』『小さき者たちの』など、共編著に『文化人類学の思考法』『働くことの人類学』などがある。

 
■佐久間寛(さくま・ゆたか)さん

明治大学政治経済学部准教授。専攻は文化人類学、アフリカ地域研究。

著書に「Presence Africaine: Index alphabetque par auteurs 1947-2016」、『ガーロコイレ――ニジェール西部農村社会をめぐるモラルと叛乱の民族誌』など、訳書にカール・ポランニー『経済と自由――文明の転換』(共訳)などがある。

 

※以下はAmazonへのリンクです。

負債と信用の人類学 人間経済の現在
佐久間 寛 (編集), 箕曲 在弘 (著), 小川 さやか (著), 佐川 徹 (著), 松村 圭一郎 (著), 酒井 隆史 (著), デヴィッド グレーバー (著), キース ハート (著), 田口 陽子 (翻訳), 林 愛美 (翻訳)

 
【関連】
7/15 小川さやか×松村圭一郎×佐久間寛『負債と信用の人類学――人間経済の現在』刊行記念トークイベント – 丸善ジュンク堂書店オンラインイベント

 


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です