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文化人類学者たちが見聞きした怪異とは? 『世界ぐるぐる怪異紀行 どうして“わからないもの”はこわいの?』が刊行

呪術、精霊、悪魔、鬼……9名の文化人類学者が調査研究地で体験した様々な不思議を紹介する、奥野克巳さん監修『世界ぐるぐる怪異紀行 どうして“わからないもの”はこわいの?』(14歳の世渡り術シリーズ)が河出書房新社より刊行されました。

 

怪異の背景には何がある? わからないものを理解し、受け止めるための第一歩『世界ぐるぐる怪異紀行 どうして“わからないもの”はこわいの?』

本書では、9名の文化人類学者が世界各国地域の調査地で見聞きした怪異を紹介していきます。

わからないものの代表とも言える怪異に対する各国地域の人々の接し方はどのようなものでしょう。また、それら怪異の背景にはどのような意味があるのでしょう。自分とは異なる「わからないもの」をそれとして受け入れる態度、そして自分とは異なる価値観に歩み寄っていく方法を考えることは、今の社会の大きな課題の一つだと考えられます。

 
この本は、異文化への知的好奇心をくすぐり、自分の世界「だと思っていたもの」に変化が起きるような一冊を目指し、怪異の謎を紐解きながら、自分の常識がみるみるうちに変化していく恐ろしくも楽しい世界へ誘います。

 

本書の目次

はじめに

1 村津蘭「ベナンの妖術師」…ベナン

2 古川不可知「ヒマラヤの雪男イエティ」…ネパール(クンブ地方)

3 藤原潤子「どうして「呪われた」と思ってしまうの?──現代ロシアの呪術信仰」…ロシア

4 近藤宏「かもしれない、かもしれない……」…パナマ東部(中南米)

5 福井栄二郎「ヴァヌアツで魔女に取り憑かれる」…ヴァヌアツ(アネイチュム島)

6 平野智佳子「中央オーストラリアの人喰いマムー」…オーストラリア(中央部)

7 奥野克巳「幼児の死、呪詛と猫殺しと夢見」…ボルネオ島(東南アジア島しょ部)

8 川口幸大「鬼のいる世界」…中国(広東省)

9 イリナ・グリゴレ「映像によって怪異な他者と世界を共有する方法──ジャン・ルーシュの民族誌映画が啓く新しい道」…日本

おわりに

 

監修者プロフィール

奥野克巳(おくの・かつみ)さんは、1962年生まれ。文化人類学者。立教大学異文化コミュニケーション学部教授。

著作に『ありがとうもごめんなさいもいらない森の民と暮らして人類学者が考えたこと』ほか多数。

 

著者プロフィール

 
■川口幸大(かわぐち・ゆきひろ)さん
東北大学大学院文学研究科教授。文化人類学者。これまでは主に中国を中心とする東アジアの家族、親族、宗教、移動についての研究を続け、近年は食の研究にも取り組む。著書に『ようこそ文化人類学へ』ほか多数。

 
■イリナ・グリゴレさん
1984年生まれ、ルーマニア出身。2009年に国費留学生として来日し、2013年に東京大学大学院博士課程に入学。主な研究テーマは北東北の獅子舞、女性の身体、移民に関する映像人類学的研究。著作に『優しい地獄』(亜紀書房)。

 
■近藤宏(こんどう・ひろし)さん
1982年生まれ。文化人類学者。神奈川大学人間科学部准教授。ラテンアメリカ研究。共著書に『構造と自然』(勁草書房)、『マンガ版 マルチスピーシーズ人類学』(以文社)など。

 
■平野智佳子(ひらの・ちかこ)さん
国立民族学博物館准教授。文化人類学を専門として、オーストラリア中央砂漠を中心にアボリジニの飲酒、アートについて研究。著書に『酒狩りの民族誌─ポスト植民地状況を生きるアボリジニ』(御茶の水書房)など。

 
■福井栄二郎(ふくい・えいじろう)さん
1973年生まれ、兵庫県出身。島根大学法文学部准教授。社会人類学、オセアニア地域研究。主な著書に『共在する人格』、共著に『現代日本の「看取り文化」を構想する』ほか多数。

 
■藤原潤子(ふじわら・じゅんこ)さん
神戸市外国語大学准教授、かけはし出版代表。ロシアをフィールドとして文化人類学的な研究を行いつつ、絵本の翻訳・出版にもたずさわる。著書に『呪われたナターシャ:現代ロシアにおける呪術の民族誌』ほか多数。

 
■古川不可知(ふるかわ・ふちか)さん
1982年生まれ。専門は文化人類学とヒマラヤ地域研究。2010年からヒマラヤでシェルパと山岳観光の研究を続け、近年は日本の登山やキャンプも研究する。著書に『「シェルパ」と道の人類学 』など。

 
■村津蘭(むらつ・らん)さん
1983年生まれ。文化人類学、マルチモーダル・映像人類学、アフリカ地域研究。著書に『ギニア湾の悪魔―キリスト教系新宗教をめぐる情動と憑依の民族誌』(世界思想社)など。

 

世界ぐるぐる怪異紀行: どうして”わからないもの”はこわいの? (14歳の世渡り術)
奥野 克巳 (監修), 川口 幸大 (著), イリナ・グリゴレ (著), 近藤 宏 (著), 平野 智佳子 (著)

「わからない」ものはどうしてこわいのか。文化人類学者たちが世界各国の怪異をどのように受け取り、紐解くのか。自分の常識がみるみるうちに変化していく、恐ろしくも楽しい世界へご案内。

装丁:高木善彦
装画:いとう瞳

 


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