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自分を自由にしてくれる「養老流」ものの見方・考え方とは? 養老孟司さん『ものがわかるということ』が刊行

養老孟司さんの最新刊『ものがわかるということ』が祥伝社より刊行されました。

 

「考えても答えは出ません。それでも考え続けます」

「わかる」とはどういうことなのか、それが「わからない」。じゃあ説明してみましょうか、ということでこの本が始まりました。それなら私が「わかるとはどういうことか」わかっているのかと言えば、「わかっていない」。「わかって」いなくても、説明ならできます。(本文より)

 
養老孟司さんは子供の頃から、一つのことについて意識的にずっと考える癖があり、次第に物事を考え理解する力を身につけてきたそうです。自然界や解剖の世界に触れ学んだこと、ものの見方や考え方について、脳と心の関係、意識の捉え方など、85歳になった養老さんがこれまで考え、著してきたことの集大成的な内容となっています。

 
◆「わかる」という誤解を知る

学ぶことは「わかる」の基礎になる、考えることが自分を育てると養老さんは言います。また、世界をわかろうとする努力は大切である、でもわかってしまってはいけないとも投げかけます。ベストセラーとなった『バカの壁』から20年。変化していく世界、社会の中で、自分の立ち位置を確認できる一冊です。

 

本書の構成

まえがき

第一章 ものがわかるということ

第二章 「自分がわかる」のウソ

第一章  世間や他人とどうつき合うか

第二章  常識やデータを疑ってみる

第三章  自然の中で育つ、自然と共鳴する

あとがき

 

著者プロフィール

撮影:津田聡

撮影:津田聡

著者の養老孟司(ようろう・たけし)さんは、1937年生まれ、神奈川県鎌倉市出身。東京大学名誉教授。医学博士。解剖学者。

1962年、東京大学医学部卒業後、解剖学教室に入る。1995年、東京大学医学部教授退官後は、北里大学教授、大正大学客員教授を歴任。京都国際マンガミュージアム名誉館長。1989年『からだの見方』(筑摩書房)でサントリー学芸賞受賞。2003年、毎日出版文化特別賞を受賞した『バカの壁』(新潮新書)は450万部を超えるベストセラーに。小堀鷗一郎さんとの共著『死を受け入れること 生と死をめぐる対話』(祥伝社)など著書、共著書多数。大の虫好きとして知られ、現在も昆虫採集・標本作成を続けている。

 

ものがわかるということ
養老 孟司 (著)

学ぶことは「わかる」の基礎になる
考えることが自分を育てる

ものがわかるとは、理解するとはどのような状態のことを指すのでしょうか。
養老先生は子供の頃から「考えること」について意識的で、一つのことについてずっと考える癖があったことで、次第に物事を考え理解する力を身につけてきたそうです。
養老先生が自然や解剖の世界に触れ学んだこと、ものの見方や考え方について、脳と心の関係、意識の捉え方について解説した一冊。

八十歳の半ばを超えるまで、私は自然と呼ばれる世界を理解したかった。
若いときから、そのままでいるだけですね。
トガリネズミもゾウムシも容易に「わかる」相手ではないと思います。
本当にわかるとすれば、共鳴しかないでしょうね。
今でもそう思います。(「あとがき」より)

(本書より)
・代数がわからない
・情報や記号で埋め尽くされた社会
・「比例」がわかるということ
・脳から考える「わかる」ということ
・体験して「わかる」こと、頭の中だけで「わかる」こと
・心は共通性を持っている
・通じないという前提から始める
・世間とどう折り合いをつけるのか
・感覚的に捉えるのが苦手な現代人
・人疲れしたときは「対物の世界」に
・「生物多様性」の言葉に感じる矛盾
・人間が機械に似てくる脳化社会
・都市化が進み、頭中心の社会になった
・自然の存在を認めることから
・「わかる」の根本にあるもの
・子どもの身体性を育てる

 


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