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古稀の手習いの、冷や汗とおもしろさと――エッセイスト・群ようこさん『老いてお茶を習う』が刊行

68歳にしてお茶を習うことになった、群ようこさんのエッセイ『老いてお茶を習う』がKADOKAWAより刊行されました。

 

老いてなお、新しいことを学ぶおもしろさを綴るエッセイ

恥ずかしい失敗ばかり、でも古稀の手習いは、楽しい。

齢六十八にして、お茶を習うことになった。果てがない稽古が始まった。初めてのお茶のお稽古。お手本を見ても、「はああ?」というしかない。「何度もやっていれば、そのうち慣れるから、大丈夫ですよ」と声をかけてくださったが、前期高齢者の脳で、本当にあんなにうまくできるようになるのだろうか。教えてもらっては忘れ、忘れては覚え直し。そうしていつの間にか季節は巡っていく――。

 

そもそも、なぜお茶を習うことに?

齢六十八にして、お茶を習うことになった。事のはじまりは、今から二十年以上遡るのだが、当時、私の担当編集者の女性と、還暦を過ぎたとき、自分たちはどうしているかといった話をしていた。私は、

「いつまで仕事をいただけるかわからないけれど、仕事があればずっと続けていると思いますけどね」
といった。私よりも二歳年上の彼女は、
「私はお茶の先生ができればいいなと考えているのですけれど」
というので、
「そうなったら、私もお弟子になる」
といったのである。

 
そしてそれから年月は経ち、おかげさまで私は仕事を続けられ、彼女も六十代後半で勤めを終え、茶室を披くことになったとご連絡をいただいた。彼女の茶道の師匠が教室を閉じることになり、お道具類の一部を譲り受けてのことという話だった。当然、私はお弟子になるといったのを反古にすることができなかった。やる気まんまんだったのだが、一緒に暮らしていた超高齢ネコの健康のことや、引っ越しの予定などが重なり、すぐにはお稽古にうかがえなかった。その後、老ネコを見送り、引っ越しも済ませ、仕事の段取りもつけて、やっと二〇二三年から、今は我が師匠となった彼女のところで、お稽古ができるようになったのだ。

(本文より)

 

本書の目次

第一章 古稀の手習い
人生で二回しか触れたことのないお茶/この方に茶道を習いたい/初めてのお稽古/炭手前を拝見する/お道具を拝見する/御菓子をいただく/帛紗を捌く

第二章 やる気はあるが、座るのが難しい
足の痛みに効く道具を探す/持参する道具を揃える/軽やかに動く?

第三章 ひと通りやってみる
準備を整えて、お茶室に入る/割り稽古をする/干菓子をいただく/薄茶をいただく/濃茶をいただく/どんな着物を着るのか/「実践」とはなんぞや/言われるがままのお点前/姉弟子・兄弟子のお点前/YouTubeで復習をする/またまた「実践」である/自分で自分がわからない

第四章 何もかも、うまくできない
釣り釜が揺れる/見立ての問答で焦る/右手と左手の鉄則/水を差す/嘘を教えてしまう、大失敗をする/

第五章 違いを超えていく
人前で恥をかく/流派が違う/お稽古着の試行錯誤/茶道の着物の着方/長襦袢をどうするか

第六章 「道」どころではない
同じ動作が記憶からこぼれ落ちる/銘を考える/また違う棚が出てくる/仕覆を引っ掛ける/「精神性」が遠い

第七章 お茶がおいしく点てられない
初風炉におたおたする/末席のお役目/何度やっても忘れる/自服の味/許状をいただく

第八章 薄茶と濃茶の二本立て
いきなり濃茶がきた/お濃茶の拝見/抹茶茶碗を買う/次々新手が現れる ほか

 

著者プロフィール

群ようこ(むれ・ようこ)さんは、1954年生まれ、東京都出身。日本大学芸術学部卒業。数回の転職を経て、1978年、本の雑誌社に入社。デビュー作『午前零時の玄米パン』が評判となって、作家専業に。

『無印良女』をはじめとする「無印」シリーズで人気を博す。『かもめ食堂』『れんげ荘』『三人暮らし』『老いとお金』など著書多数。

 

老いてお茶を習う
群 ようこ (著)

齢六十八にして、お茶を習うことになった。果てがない稽古が始まった。

 


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