復讐の連鎖を止めるには? 八重野統摩さん『ナイフを胸に抱きしめて』が刊行
八重野統摩さん著『ナイフを胸に抱きしめて』が新潮社より刊行されました。
人類永遠のテーマを前に、安易な希望や諦めに逃げず、真摯に向き合った書き下ろし
やられたらやり返す。仇を討つ。そういった感情は誰にでもあるものですが、どこかで断ち切らなければ、それは永遠に続きます。当事者がいなくなっても、いや、いなくなったからこそ、近親者や志を受け継ぐ者によって、復讐は繰り返されていきます。
では、どうすればいいのか? そんな答えの出ない根源的な問いが、この作品の大きなテーマです。
といっても、大仰な話ではありません。身近にありそうな出来事を通して、この問題が語られます。
ピンと来ないときは、復讐したい人を思い浮かべてもらうのがいいかもしれません。
その人を、許すことができますか? 法に触れずに復讐できるとしたら、どうしたいですか?
【あらすじ】
父は、私たち姉妹が子供の頃、外に女を作って家を出た。
女手一つで私たちを育てた母は、過労がたたって、数年前に亡くなった。
私は成人して教員になり、妹は受験生として頑張っている。
すべて忘れて過ごしていたはずなのに、小学校の授業参観の日、唐突にあの女が現れた。可愛らしい女の子の母親として。なぜ今になって……。
私はあの女を許さない。
私たち姉妹から家族を奪って、自分だけ幸せになるなんて!
少女の叫びが胸をうつ、慟哭の最終章。
読み終わったとき、タイトルの本当の意味が立ち上がる!
戦慄と感動の読書体験をあなたに。
八重野統摩さんより
どうしても許せない相手がいて、
その相手を、もしも誰にも知られることなく
死に追いやることができるとしたら……
あなたなら、どうしますか。
著者プロフィール
著者の八重野統摩(やえの・とうま)さんは、1988年生まれ、北海道出身。立命館大学卒業。2011年「電撃小説大賞」に投稿した作品が編集部員の目にとまり、翌2012年『還りの会で言ってやる』(メディアワークス文庫)でデビュー。
2019年『ペンギンは空を見上げる』(東京創元社)で第34回坪田譲治文学賞を受賞。他著に、『プリズム少女 ~四季には絵を描いて~』『終わりの志穂さんは優しすぎるから』(メディアワークス文庫)などがある。
ナイフを胸に抱きしめて 八重野 統摩 (著) 『ペンギンは空を見上げる』から、4年 |
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