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なぜプーチンはウクライナ侵攻という暴挙に走ったのか? 仏「両世界評論賞」受賞『ウラジーミル・プーチンの頭のなか』が刊行

ミシェル・エルチャニノフさん著『ウラジーミル・プーチンの頭のなか』

ミシェル・エルチャニノフさん著『ウラジーミル・プーチンの頭のなか』

すばる舎は、ロシア思想を専門とする哲学者ミシェル・エルチャニノフさんがプーチンの持つ3つの危険思想を暴いた『ウラジーミル・プーチンの頭のなか』を刊行しました。本作は、現存するフランス語雑誌の中で最も古い歴史を持つ『両世界評論』(La Revue des Deux Mondes)が主催する「両世界評論賞」を受賞、5ヶ国で翻訳されている注目作です。

 

プーチン大統領の危険思想を「ソ連回帰」「ロシアの道」「ユーラシア主義」の3つに腑分け

クレムリンがどこに向かっているか、そしてそれが世界にとってどんな意味を持つのかを知りたい人々にとっての、必読の書だ。
──ロンドン・タイムズ

エルチャニノフはプーチンと関係の深い政治家や思想家のインタビューを数多く紹介しながら、〔プーチンの〕教養、そして〔プーチン自身を〕作り上げている思想を分かりやすく紹介してくれる。
──フィナンシャル・タイムズ

非常に興味深い。
──ニュー・ステイツマン

目を覚まさせてくれる本だ。
──ル・モンド・ディプロマティーク

この本が真に興味深い点は、プーチンの保守主義がどんな思想から生まれたのかを、実に詳細に分析しているところにある。非常に丁寧な考察がしてあり、ロシアのリーダーの思想の源流を知りたい人々にとって必読の書だ。不安を掻き立てられるとともに、面白い本である。
──ル・フィガロ

 
ロシア思想を専門とする哲学者、ミシェル・エルチャニノフさんが、ウラジーミル・プーチンの膨大な演説録、読書歴からその思想を解剖・分析し「頭のなか」を明らかに!

出版されたフランスでは「両世界評論賞」を受賞し、イギリス、ドイツ、スペイン、ギリシャで翻訳されている話題作。プーチンのウクライナ侵攻の理由について、日本では「体調不良説」も出ていますが、本書では彼が持つ危険思想を「ソ連回帰」「ロシアの道」「ユーラシア主義」の3つに腑分けし、明快に解説してみせます。

あらゆるメディアを信じず、机の上の「赤いファイル」だけを頼りに国の舵をとる69歳の孤独な独裁者は、どのような論理で蛮行を決断したのか…日本人の目を開く一冊です。

 

本書の構成

第1章 何よりもまずソビエトを

第2章 カント、ピョートル大帝、柔道の哲学

第3章 傾倒する哲学者 イワン・イリイン

第4章 許しがたい世界の潮流

第5章 特別な国、聖なるロシア

第6章 ユーラシア主義の夢

第7章 偽りの友、ドストエフスキー

第8章 新しい帝国

第9章 野望の行く着く果て

第10章 ウクライナ侵攻への伏線

 

著者プロフィール

 
■著者:Michel Eltchaninoff(ミシェル・エルチャニノフ)さん

哲学の教授資格と博士号を持つ。『死のテレビ実験――人はそこまで服従するのか』(共著・河出書房新社)、『レーニンは月を歩いた――ロシアの宇宙主義者とトランスヒューマニストたちの狂気の歴史』(未邦訳)などの著書がある。2015年、本作にて「両世界評論賞」を受賞。現在、『フィロゾフィー・マガジン』の編集長を務めている。

 
■訳者:小林重裕(こばやし・しげひろ)さん

1979年生まれ。國學院大學文学部哲学科卒業。フランス語翻訳家。

訳書にナタリー・サルトゥー=ラジュ『借りの哲学』(共訳・太田出版)、ジャン=ガブリエル・ガナシア『虚妄のAI神話「シンギュラリティ」を葬り去る』(共訳・早川書房)、オリヴィエ・レイ『統計の歴史』(共訳・原書房)がある。

 

ウラジーミル・プーチンの頭のなか
ミシェル・エルチャニノフ (著), 小林 重裕 (翻訳)

2014年1月の初め、ロシアの政府高官、地方政府の知事、与党「統一ロシア」の幹部たちはクレムリン(大統領府)、つまりウラジーミル・プーチン大統領より奇妙な新年のプレゼントを受け取った。
なんとそれは、哲学書であった。
イワン・イリイン著『我々の使命』、ニコライ・ベルジャーエフ著『不平等の哲学』、ウラジーミル・ソロヴィヨフ著『善の弁明』といった、19世紀、20世紀のロシアの思想家たちの本である。
こうして日頃、高級レストランに入りびたり、高級車を乗り回している人たちが、急に難解な哲学書に取り組む羽目に陥ったのである。これらの本を読むために、これから毎晩、頭を悩まさなければならない。作家ニコライ・ゴーゴリが生きていたら、喜劇作品の格好の題材にしていただろう。
「大統領は、最近の演説でこれらの思想家を取り上げていた。大統領の考えを知るには、これらの本を読むしかない」。本を贈られた人々はこう考え、根気強く本を読んでいったのだろう。そこで彼らは、プーチンの演説の内容や最近の動向とぴったり符合する箇所を発見することとなる。
「本当の民主主義」、「民主主義の中で国家が先導役を務める必要性」や、「保守主義を貫く重要性」、「宗教に支えられたモラル」、「西側諸国の攻撃に対する抵抗」、「ロシア国民が歴史の中で背負っている使命」、こういったことがこれらの本で説かれていたのである。
(【はじめに】「プーチンからのプレゼント」より)

 


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