本のページ

SINCE 1991

「赤ちゃんは火ぶくれでゴム人形のようになって飛んできて、私の足にぶつかった」東京大空襲・戦災資料センター図録『いのちと平和のバトンを』刊行

『東京大空襲・戦災資料センター図録:いのちと平和のバトンを』(監修:吉田裕さん)

『東京大空襲・戦災資料センター図録:いのちと平和のバトンを』(監修:吉田裕さん)

『東京大空襲・戦災資料センター図録:いのちと平和のバトンを』が合同出版より刊行されました。

 

世界の空襲の歴史、現代にまでつながる時間の中に東京大空襲をとらえ直し、豊富な資料と証言とともに読み解くガイドブックが発売

【1945年3月10日0時8分】279機のB29爆撃機は東京上空から、おびただしい数の焼夷弾を投下。焼夷弾は空中でバラバラになり、木造住宅の密集する東京は、一気に炎の海となり、朝まで燃え続けました。

 
猛火の中にあったいのちの記録を、現在そして未来につなげていかなくてはならない――多角的な手法で戦争体験の継承に取り組む、若手研究員・学芸員や体験者らによる展示リニューアルに則して構成された図録です。

 
飛行機が誕生するやいなや始まり、現代まで続く世界の空襲の歴史。その中に東京大空襲をとらえ、空襲の全体像と多様な個人の体験を映し出すモノ・写真・資料・記録・記憶によって、「空襲の前」「空襲の時」「空襲の後」が結びつき、新しい実相が浮かび上がります。

 
悲しくも、ロシアがウクライナへの空爆を行ない、未だ終止符の見えない世界的な課題であることが浮き彫りとなりました。

 
開館20周年となる東京大空襲・戦災資料センター(東京・江東区)の所蔵資料と関連資料200点超は、充実の解説付き。今、「空襲」を考えるための、中学生から読める入門的な資料集としても使える一冊です。

 
吉田裕さん(センター館長、一橋大学名誉教授)監修、前館長の早乙女勝元さんによる巻末寄稿を収録。

 
「火と煙で何も見えず、友の姿も見えない」

炎の中逃げ惑った記憶を描いた連作画「硝煙の大島町」(抄)の作者・坂井輝松さんの書き付けより

「赤ちゃんは火ぶくれでゴム人形のようになって飛んできて、私の足にぶつかった。そしてまた後ろに飛び去っていった。」

亀戸駅近くの女子校の教師だった山下盛子さんは、宿直勤務中に空襲にあいました。山下さんが体験画に寄せた文章より(提供=すみだ郷土文化資料館)

米軍は、1944年11月24日から幾度も東京への空襲を行ないました(P.12~13より)。3月10日までの期間にも4~5月の大規模な空襲でも、多くの市井の人が亡くなったり、けがをしています

東京大空襲・戦災資料センターに所蔵されている被災品の一部(P.52~53より)。本書カバーにも掲載されている赤い着物は、蔵前に住んでいた鎌田さんがおんぶしていた生後7カ月の娘・早苗ちゃんが“その時に”着ていたものです。必死に逃げて朝を迎え、鎌田さんは、眠っていると思っていた早苗ちゃんが亡くなっていることを知ります。

 

本書の構成

もくじ
この本を読むみなさまへ 吉田 裕

第1章
世界の空襲の歴史 / 東京空襲の概要 / 東京空襲被災地図 /空襲体験を伝える――体験画 / 空襲体験を受け継ぐ
【コラム】井上有一と「噫横川国民学校」

第2章
帝都復興と大東京 / 防空体制 / 灯火管制・防空活動 /砂町の暮らし / 国民学校と学徒勤労動員 / 学童疎開
【コラム】防空壕

第3章
B29爆撃機 / アメリカ軍の戦略と兵器 / 焼夷弾
【コラム】空襲時の日本の防空体制
初空襲 / 初期空襲 / 1945年3月10日の東京大空襲 /朝鮮人の空襲被害 / 焼き尽くされる東京 4月・5月 /多摩地域(東京西部)への空襲
【コラム】伝単
名前と顔写真の壁 / 展示映像シリーズ モノ+カタリ /証言映像作品 体験を語る人たち 経験を見る私たち /東京大空襲証言映像マップ / 東京大空襲 いのちの被災地図

第4章
仮埋葬 / 霊名簿 / 戦災孤児 / 戦争による食糧難 /敗戦から占領へ / 補償運動 / 空襲記録運動 /東京大空襲・戦災資料センターのあゆみと平和へのメッセージ
【コラム】世界の子どもの平和像

◎寄稿 継承する一人ひとりに
おわりに

 

著者プロフィール

 
■監修:吉田裕(よしだ・ゆたか)さん

東京大空襲・戦災資料センター館長、一橋大学名誉教授。
1954年生まれ。一橋大学大学院社会学研究科教授などを経て、2018年定年退職し、現職。
専門は日本近現代史。『日本軍兵士――アジア・太平洋戦争の現実』(中公新書、2017年)で、2018年に「第30回アジア・太平洋賞」特別賞2019年に「新書大賞2019」を受賞。

 
■編:東京大空襲・戦災資料センター

東京大空襲の惨状を未来に語り継ぎ、平和の研究と学習に役立つことを願って、市民の募金で2002年3月9日に開館した民立・民営の平和博物館(東京・江東区)。「戦争・空襲の惨禍を繰り返すまじ」の決意で、平和を願う人たちの交流の場となっている。

2022年4月24日(日)まで特別展「東京大空襲・戦災資料センターの開館とそれを支えた人たち」を開催中(https://tokyo-sensai.net/)。

 

東京大空襲・戦災資料センター図録 いのちと平和のバトンを
吉田裕 (監修), 東京大空襲・戦災資料センター (監修)

東京大空襲――その猛火の中にあったいのちがモノ・写真・記録・記憶によって、私たちの現在〈いま〉、そして未来へとつながる

空襲にまつわる歴史と実態を、今こそ次世代へ伝えたい。
豊富な資料や証言で読み解く、中学生から読める必携ガイドブック。

 


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。