斎藤幸平さん『人新世の「資本論」』が「アジア・ブックアワード 2021」最優秀図書賞を受賞
経済思想家・斎藤幸平さん著『人新世の「資本論」』(集英社新書)が、「アジア・ブックアワード 2021」の年間最優秀図書賞(一般書部門)を受賞しました。
「アジア・ブックアワード」について
「アジア・ブックアワード」(Asia Book Awards)は、アジア各国の出版人が手を取り合い、アジア地域の出版文化をより豊かにしていくことを目的に、スタートした事業です。
現代社会の変化を鋭く捉える一般書部門と、アジアをテーマにした人文学術書部門があり、各部門で2作品が「年間最優秀図書」(Best Asian Books of the Year) として選ばれます。
第一回にあたる本年は、『人新世の「資本論」』のほか中国、香港、台湾の各1作品が「年間最優秀図書賞」に輝きました。
本賞の主催は韓国の487出版社でつくる「韓国出版人会議」で、日本、中国、韓国、香港、台湾から10名の出版人が選考委員として最終選考会に参加し、受賞作を決定。今回の贈賞式は、コロナ禍を考慮して中止となりましたが、公式サイトにて受賞者の所感と選考理由を見ることができます。
★Asia Book Awards 2021 公式英語サイト:http://asiabookaward.org/
<大阪市立大学准教授・斎藤幸平さん コメント>
「アジアのブック・オブ・ザ・イヤーという高い評価をいただいたことに感謝しています。気候変動という人類共通の課題に立ち向かわなくてはならない今、現状のシステムをどう変えていくのかの議論を深めていくことが非常に重要ですので、この受賞が、そのきっかけになることを願っています」
なお集英社に授与される賞金500万ウォン(約50万円)は、本書の趣旨を鑑みて、認定NPO法人「気候ネットワーク」に寄付されます。
『人新世の「資本論」』は、日本国内で40万部を突破し、本年10月に韓国語版が刊行されていますが、この後もアジアをはじめ、世界各国の言語で翻訳刊行される予定です。
『人新世の「資本論」』について
【内容紹介】
人類の経済活動が地球を破壊する「人新世」=環境危機の時代。
気候変動を放置すれば、この社会は野蛮状態に陥るだろう。
それを阻止するには資本主義の際限なき利潤追求を止めなければならないが、資本主義を捨てた文明に繁栄などありうるのか。いや、危機の解決策はある。
ヒントは、著者が発掘した晩期マルクスの思想の中に眠っていた。
世界的に注目を浴びる俊英が、豊かな未来社会への道筋を具体的に描きだす!
<著者プロフィール>
1987年生まれ。大阪市立大学大学院経済学研究科准教授。
ベルリン・フンボルト大学哲学科博士課程修了。博士(哲学)。専門は経済思想、社会思想。
「Karl Marx’s Ecosocialism: Capital, Nature, and the Unfinished Critique of Political Economy」 (邦訳『大洪水の前に』/堀之内出版)によって権威ある「ドイッチャー記念賞」を日本人初、歴代最年少で受賞。同書は世界六カ国で翻訳刊行されている。
日本国内では、晩期マルクスをめぐる先験的な研究に対して学術振興会賞受賞。NHK『100分de名著』の『資本論』シリーズの解説役でも話題を呼んだ。マルクス・ガブリエル、マイケル・ハートらとの対談集『未来への大分岐』(集英社新書)などもベストセラーに。
今回の受賞作は今年2月に「新書大賞2021」も受賞。
人新世の「資本論」 (集英社新書) 斎藤 幸平 (著) |
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