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【第38回TOPPOINT大賞】ビジネスリーダー1万人が選ぶ2023年上半期のベストビジネス書は斎藤幸平さん『ゼロからの『資本論』』

新刊ビジネス書情報誌『TOPPOINT(トップポイント)』を発行する株式会社パーソナルブレーンは、1万名以上の定期購読者を対象とした定例の読者アンケートを行い、第38回(2023年上半期)「TOPPOINT大賞」を決定しました。

 

ビジネスリーダー1万人が選ぶ<2023年上半期>のベストビジネス書が決定!

今回、「TOPPOINT大賞」に選ばれたのは、斎藤幸平さん著『ゼロからの『資本論』』(NHK出版)です。

ドイツの経済学者カール・マルクスの主著『資本論』は、1867年に初版が刊行されて以来、世界的な名著として知られています。その一方、難解で大部なため、読み通すのが困難なことでも有名です。

『ゼロからの『資本論』』は、この大著のエッセンスをわかりやすく解説したものです。マルクス経済学の専門家である斎藤幸平さんが、従来にない視点から読み直し、マルクスの真意に迫ります。本書は表題の通り、“ゼロから”『資本論』がわかる入門書となっています。

 
第2位は、多摩大学大学院名誉教授で工学博士の田坂広志さんが人類を待つ未来を語った『田坂広志 人類の未来を語る 未来を予見する「12の洞察」』。複雑性を増す社会、民主主義の今後といった12のテーマを取り上げ、「弁証法」の思想を基に、明快に読み解いています。

 
そして第3位には『解像度を上げる 曖昧な思考を明晰にする「深さ・広さ・構造・時間」の4視点と行動法』が選ばれました。東京大学が運営するスタートアップ支援プログラム「FoundX」のディレクター・馬田隆明さんが、曖昧な思考をクリアにし、意思決定の質を高め、効果的に業務を行うための方法論をわかりやすく示します。

 
今回ベスト10冊にランクインした書籍を見ると、新型コロナウイルスの脅威が一服したこともあってか、人生やビジネスの“未来”を考える上で参考になる書籍が多く選ばれています。不確実な環境下で、日本、そして世界は今後どうなっていくのか。その中で企業や個人はどのように備え、行動していくべきか ―― 。こうした悩みを解決するための、新たな物事の見方を示した書籍が、経営者・管理職を中心としたビジネスパーソンの支持を集めたことがうかがえます。

 

2023年上半期「TOPPOINT大賞」およびベスト10冊〔敬称略〕

【大賞】『ゼロからの『資本論』』 斎藤幸平 著/NHK出版

2位『田坂広志 人類の未来を語る 未来を予見する「12の洞察」』 田坂広志 著/光文社

3位『解像度を上げる 曖昧な思考を明晰にする「深さ・広さ・構造・時間」の4視点と行動法』 馬田隆明 著/英治出版

4位『半導体戦争 ――世界最重要テクノロジーをめぐる国家間の攻防』 クリス・ミラー 著/ダイヤモンド社

5位『2040年の日本』 野口悠紀雄 著/幻冬舎

6位『「変化を嫌う人」を動かす ――魅力的な提案が受け入れられない4つの理由』 ロレン・ノードグレン/デイヴィッド・ションタル 著/草思社

7位『人生後半の戦略書 ハーバード大教授が教える人生とキャリアを再構築する方法』 アーサー・C・ブルックス 著/SBクリエイティブ

8位『1位思考 ――後発でも圧倒的速さで成長できるシンプルな習慣』 猿渡 歩 著/ダイヤモンド社

9位『SECOND BRAIN 時間に追われない「知的生産術」』 ティアゴ・フォーテ 著/東洋経済新報社

10位『キーエンス 高付加価値経営の論理』 延岡健太郎 著/日経BP・日本経済新聞出版

 
★詳細:https://toppoint.jp/bestbook/announcement/23f

 

斎藤幸平さん 受賞コメント&プロフィール

 
【受賞コメント】

この度は素晴らしい賞をいただき、とても光栄です。投票してくださった読者の方々に心より感謝します。資本主義が行き詰まりをみせるなかで、中長期的に必要なのは、これまでの価値観を疑い、新しい価値観を作り出すことです。そのためにカール・マルクスの『資本論』は今でも多くのヒントを与えてくれます。とはいえ、非常に難解な本だし、さまざまな「誤解」にも晒されてきました。だからこそ、『ゼロからの『資本論』』は前提知識がなくても理解できるように、新しいマルクス像を描きました。働き方への不満や将来の不安など、今の社会のあり方に違和感を感じている方々に手にとっていただき、より良い社会の姿を共に考えるきっかけになってほしいと願っています。

 
<斎藤幸平(さいとう・こうへい)さん プロフィール>

1987年生まれ、東京都出身。ウェズリアン大学卒業、ベルリン自由大学哲学科修士課程・フンボルト大学哲学科博士課程修了。専門はマルクス経済学。2018年、『大洪水の前に』によって、マルクス研究における最高の賞「ドイッチャー記念賞」を日本人初・史上最年少で受賞。大阪市立大学准教授を経て現在、東京大学准教授。著書に『人新世の「資本論」』(集英社)、『ぼくはウーバーで捻挫し、山でシカと闘い、水俣で泣いた』(KADOKAWA)など。

 
〔参考〕『ゼロからの『資本論』』に投票した読者のコメント(抜粋)

・何でも商品化してビジネスにしよう、と日々頑張っているが、それでみんなが幸せになるのか?と問われた気がした。SDGsのこともあり、企業として視野を広げる必要がある。(40代・男性)

・資本論はこれまで興味の範疇外(なんとなく敬遠)でしたが、語られていることが、現在の世の中の本質を突いていることを知りました。(50代・男性)

・「コミュニズムが共産主義というのは誤訳」の意味が、この本のおかげで、腑に落ちることができた。(30代・男性)

・増殖する資本主義に飲み込まれないようにしたい、もしくは飲み込まれるとしても自覚して飲み込まれたい。(30代・女性)

・行き過ぎた資本主義への処方箋(男性)

・「資本論」を新たな視点から再解釈した面白い本です。(60代・男性)

 

「TOPPOINT大賞」決定に合わせた書店店頭フェアを開催!

本賞の決定に伴い、丸善ジュンク堂書店・文教堂・未来屋書店の主要大型店45店舗にて「TOPPOINT大賞受賞書籍フェア」が開催されます。

 
フェアでは、ベスト10冊に選ばれた各書籍を、その書籍の読みどころや読者のコメントを記したPOPと並べて展開。また、大賞を受賞した著者のコメントや本賞の概要を紹介した小冊子(無料)も配布します。

開催期間は、8月1日(火)より1ヶ月間の予定です。

 

「TOPPOINT大賞」とは

「TOPPOINT大賞」は、新刊ビジネス書情報誌『TOPPOINT』が読者アンケートによって半年ごとの「ベストビジネス書」を決定するものです。2004年より前身の「読者が選ぶベストブックアンケート」を開始し、今回で通算38回目の開催となります。

読者アンケートは、ビジネスリーダーを中心とする1万名以上の『TOPPOINT』読者を対象に、本誌が半年間で紹介した書籍60冊の中から「ベスト3」を選ぶ形式で実施。1位3点、2位2点、3位1点として集計し、総得点1位の書籍を「トップポイント大賞」として選定。併せて、得点順に上位10冊を選出します。

 
<新刊ビジネス書情報誌『TOPPOINT』について>

『TOPPOINT』は、毎月数多く出版されるビジネス関連の新刊書の中から、「一読の価値ある本」を厳選し、その概要を紹介する月刊誌です。

毎月、100冊前後のビジネス関連の新刊書を熟読、その中でも特に「内容が斬新」「アイデアに溢れた」10冊を厳選し、その概要を紹介します。1987年の創刊以来35年にわたり、第一線のビジネスリーダーを中心に購読されています。

★公式ホームページURL:https://www.toppoint.jp/

 

ゼロからの『資本論』 (NHK出版新書)
斎藤 幸平 (著)

コミュニズムが不可能だなんて誰が言った?

『資本論』は誰もがその存在を知りながら、難解・長大なためにほとんど誰もが読み通せない。
この状況を打破するのが斎藤幸平――新しい『資本論』解釈で世界を驚かせ、『人新世の「資本論」』で日本の読者を得た――、話題の俊英だ。
マルクスの手稿研究で見出した「物質代謝」という観点から、世界史的な名著『資本論』のエッセンスを、その現代的な意義とともにていねいに解説する。
大好評だった『NHK100分de名著 カール・マルクス『資本論』』に大量加筆し、新・マルクス=エンゲルス全集(MEGA)の編集経験を踏まえて、
“資本主義後”のユートピアの構想者としてマルクスを描き出す。最新の解説書にして究極の『資本論』入門書!

 
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