「自殺」したのは誰なのか? 竹内康浩さん×朴舜起さん『謎ときサリンジャー』が刊行
竹内康浩さん・朴舜起さん著『謎ときサリンジャー ――「自殺」したのは誰なのか』(新潮選書)が、新潮社より刊行されました。
各界の読み巧者が唸った『謎ときサリンジャー ――「自殺」したのは誰なのか』
「これはすごい。
画期的という単語が陳腐に思えるほど、画期的。」
――恩田陸さん(作家)
「興奮した。
グラス家の物語に目を凝らせ (シー・モア・グラス)!
耳を澄ませ!」
――若島正さん(京都大学名誉教授)
「余人の追随を許さない探求ぶりに、ぞっとするような快感を覚えた。」
――阿部公彦さん(東京大学教授)
名だたる読み手も唸るはず。著者の竹内康浩 北海道大学教授は世界最高峰のミステリ賞〈エドガー賞〉の評論・評伝部門で日本人初の最終候補となったいわば「文学探偵」。今回弟子とともに挑むはサリンジャー作品の謎です。
本書の冒頭で著者は問います。
「それは本当に自殺だったのだろうか。その現場には、隣のベッドで寝ている妻の他にもう一人いたのではないか」
まず俎上に上るのは「バナナフィッシュにうってつけの日」。全世界で6500万部が読まれた『ライ麦畑でつかまえて』で知られる天才作家J・D・サリンジャーのあまりにも有名な短篇です。
バナナを食べ過ぎてバナナ穴から出られなくなり、バナナ熱にかかって死んでしまうバナナフィッシュ……バカンス先のビーチで青年シーモア・グラスはその奇怪な魚の話を行き会った少女にとくとくと語ります。なにより衝撃は結末です。この小説は主人公の唐突な拳銃自殺で終わるのです。
であるにもかかわらず――「文学探偵」は問います。「それは本当に自殺だったのだろうか」と。
いまだかつて、この有名作品に、こんな問いを発した者がいたでしょうか。
そんな問いを発するというなら、では死んだのはいったい誰なのか? 死の理由は?
問いは問いを呼び、謎が謎を呼びます。「文学探偵」の緻密なテキスト分析はやがて『ライ麦畑』にまで及び、サリンジャー作品世界全体までをも、この上もなく鮮やかに解き明かしていきます――。
ある小説誌元編集長は本書を読んでこう言いました。「ミステリファン必読! サリンジャーが、『本格ミステリ』的アプローチで、こんなにも鮮やかに読み解けるなんて」と。
サリンジャー作品を担当したことのある編集者はこう言っています。「本書が教えてくれるのは、〈サリンジャーの正しい読み方〉などという小さなものではなく、〈人生を豊かに眺める知恵〉でした」。
そして、ある現役文芸誌編集長のコメントはこうです。「本書の謎解きは間違いなく世界の読者を驚嘆させるでしょう。解かれたのは作品の謎だけではなく、〈因果律〉に囚われた人間のこころの秘密です」――そう、本書の刊行はまさに「事件」なのです。
サリンジャー文学の核までをも力強く明かす、画期的評論の登場です。
<内容紹介>
サリンジャーの名短篇「バナナフィッシュにうってつけの日」は主人公の拳銃自殺というラストで知られる。だがそれは「自殺」だったのか?
前代未聞の問いは問いを呼び、やがて『ライ麦畑』も含む作品世界を一変させる。世界最高峰のミステリ賞〈エドガー賞〉(評論・評伝部門)で日本人初の最終候補となった「文学探偵」が弟子と共に天才作家の謎を稠密なロジックで解き明かす。
著者プロフィール
■竹内康浩(たけうち・やすひろ)さん
1965年、愛知県生まれ。東京大学文学部卒業。アメリカ文学者。北海道大学大学院文学研究院教授。
サリンジャーの他、スコット・フィッツジェラルド、フラナリー・オコナー、マーク・トウェイン、エドガー・アラン・ポー等に関する論文を主にアメリカで発表している。
■朴舜起(ぼく・しゅんき)さん
1992年、兵庫県西宮市生まれ、鳥取県境港市出身。立教大学文学部英米文学専修を卒業後、サリンジャー研究を志し、北海道大学大学院に進学。現在、同文学院欧米文学研究室博士課程3年。
ハーマン・メルヴィルやワシントン・アーヴィングなど19世紀アメリカ文学からイアン・マキューアンをはじめとする現代イギリス文学まで幅広く研究中。
謎解きサリンジャー: 「自殺」したのは誰なのか (新潮選書) 竹内 康浩 (著), 朴 舜起 (著) あの名短編のラストが実は「事件」だった? 驚天動地、圧巻の評論登場。「バナナフィッシュにうってつけの日」のラストは主人公の自殺ではなかった!? 前代未聞の問いは天才作家の作品世界全体に及び、やがては『ライ麦畑』までが……。世界最高峰のミステリ賞〈エドガー賞〉の評論・評伝部門で日本人初の最終候補となった「文学探偵」が弟子と読み解く新たなサリンジャーの世界。 |
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