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【訃報】詩人・財部鳥子さんが死去 元・日本現代詩人会会長、先達詩人

詩人の財部鳥子(たからべ・とりこ=本名:金山雅子)さんが5月14日、膵臓がんのため東京都清瀬市の自宅で死去しました。87歳。新潟県出身。葬儀は家族のみで執り行われました。喪主は夫の常吉さん。

 
財部鳥子さんは、1933年生まれ。生後すぐに父の任地・中国(満州)へ移住。1945年、日本の敗戦により土地と家財を失い、一年の難民生活で父と妹を亡くしたのち、1946年に帰国。1951年、新潟市役所に就職。1958年に退職して結婚上京。

1965年、第一詩集『わたしが子供だったころ』(私家版)を出版。1966年、同詩集に所収の「いつも見る死」で円卓賞、1984年『西游記』で地球賞、1992年『中庭幻灯片』で現代詩花椿賞、1998年『烏有の人』で萩原朔太郎賞、2003年『モノクロ・クロノス』で詩歌文学館賞、2016年『氷菓とカンタータ』で高見順賞を受賞。2017年日本現代詩人会より、過去には室生犀星、堀口大学、西条八十 、草野心平、井上靖などが対象となった「先達詩人」として顕彰されました。元「歴程」同人。2014年から2016年まで日本現代詩人会会長。

 
詩集に『腐蝕と凍結』『月と比喩』『枯草菌の男』『アーメッドの雨期』『衰耄する女詩人の日々』『胡桃を割る人』など、エッセイ集に『詩の贈りもの12カ月』(春夏編・秋冬編)、『無垢の光』『猫柳祭 犀星の満洲』、小説に『天府 冥府』、訳書に『陳東東短詩集』、『現代中国詩集・チャイナミスト』(共訳)など。

 

氷菓とカンタータ
財部 鳥子 (著)

第46回高見順賞受賞

美しい音楽にかさなって聞こえてくるもう一つの小さな響き―――細ることなく消えることもない記憶を拳に握りしめ、世界で一番さびしい少年が走る。大江の川波にむかって、「おーい」と叫んでいる。遠い未来が少しかすんで揺れる。

続・財部鳥子詩集 (現代詩文庫)
財部 鳥子 (著)

七月の空気は透明な裸 恥ずかしいから蓮池に隠れている 大きな葉のしたから蕾を高々と掲げて みんなに見せている (「七月」) 「無」へと豊かに広がる言葉 「財部鳥子の詩は傷を負った全ての生きものが、帰還をめざす領土だと思う」(小池昌代)。 満州体験にはじまる長い歳月を生き、人の生死を見据えて、年輪を経るごとにみずみずしくも馥郁たる世界をあらわした詩人の後期作品集成。 解説=那珂太郎、入沢康夫、佐々木幹朗、阿部日奈子、渡辺めぐみ

猫柳祭―犀星の満洲
財部 鳥子 (著)

若き詩人として萩原朔太郎らと抒情をきそった室生犀星。その後年の詩集に『哈爾浜(ハルビン)詩集』がある。黄砂をぬけて銀の猫柳ひかる四月のハルビンへ――詩と訣別したはずの犀星の詩心がよみがえる。旅の足跡と詩に託された揺れる心を追う。

 


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