【訃報】瀬戸内寂聴さんが死去
作家で僧侶の瀬戸内寂聴(せとうち・じゃくちょう=俗名:瀬戸内晴美)さんが11月9日、心不全のため京都市内の病院で死去しました。99歳。徳島県出身。葬儀は近親者のみで執り行います。
公式サイトおよびInstagramでは、訃報を伝えるとともに、「先月より体調不良のため、入院、加療」していたことが報告されています。
瀬戸内寂聴さんは、1922年生まれ。東京女子大学卒業。大学在学中に大学教師と結婚するも、夫の元教え子と不倫・出奔し、京都で出版社などに勤務。1950年に離婚。その後、上京。
1955年、「瀬戸内晴美」名義で初の小説「痛い靴」を発表。1957年「女子大生・曲愛玲(チュイアイリン)」で新潮社同人雑誌賞、1961年『田村俊子』で田村俊子賞、1963年『夏の終り』で女流文学賞を受賞。1973年に平泉中尊寺で得度、法名・寂聴となります。1974年、京都・嵯峨野に「寂庵」を結び、法話の会を開催。
1992年『花に問え』で谷崎潤一郎賞、1996年『白道(びゃくどう)』で芸術選奨文部大臣賞、2001年『場所』で野間文芸賞、2011年『風景』で泉鏡花文学賞を受賞。1997年、文化功労者に選出。70歳を過ぎてから取り組んだ『瀬戸内寂聴現代語訳 源氏物語』(全10巻)を1998年に完結。2006年に文化勲章を受章。2018年に朝日賞を受賞。
著書は『かの子撩乱』『美は乱調にあり』『青鞜』『比叡』『手毬』『いよよ華やぐ』『釈迦』『秘花』『奇縁まんだら』『月の輪草子』『わかれ』『老いも病も受け入れよう』『求愛』など多数。400冊以上。2017年に最後の長編小説『いのち』、初の句集『ひとり』を刊行。
夏の終り (新潮文庫) 瀬戸内 寂聴 (著) 女の業を新鮮な感覚と大胆な手法で描き出す、著者の原点となった私小説集。女流文学賞受賞。 妻子ある不遇な作家との八年に及ぶ愛の生活に疲れ果て、年下の男との激しい愛欲にも満たされぬ女、知子……彼女は泥沼のような生活にあえぎ、女の業に苦悩しながら、一途に独自の愛を生きてゆく。新鮮な感覚と大胆な手法を駆使した、女流文学賞受賞作の「夏の終り」をはじめとする「あふれるもの」「みれん」「花冷え」「雉子」の連作5篇を収録。著者の原点となった私小説集である。 |
源氏物語 巻一 (講談社文庫) 瀬戸内 寂聴 (著) 誰もが憧れる源氏物語の世界を、気品あふれる現代語に訳した「瀬戸内源氏」。文学史に残る不朽の名訳で読む華麗なる王朝絵巻。巻一では、光源氏の誕生から、夕顔とのはかない逢瀬、若紫との出会いまでを収録。すべての恋する人に贈る最高のラブストーリー。 文化勲章受章記念 あの名訳がついに文庫化スタート! 誰もが憧れる源氏物語の世界を、気品あふれる現代語に訳した「瀬戸内源氏」。文学史に残る不朽の名訳で読む華麗なる王朝絵巻。巻一では、光源氏の誕生から、夕顔とのはかない逢瀬、若紫との出会いまでを収録。すべての恋する人に贈る最高のラブストーリー。 |
死に支度 (講談社文庫) 瀬戸内 寂聴 (著) 91歳の誕生日を目前にして、長年付き添ってくれた寂庵のベテランスタッフたちが一斉に辞めることになった。最年少、24歳のモナを除いて。好きな仕事に専念してほしいとの心遣いからだった。卒寿を機に「春の革命」ともいうべき、出家以来40年ぶりの寂庵の大改革を行い、モナと二人きりの新しい生活に入る。これまでの人生を振り返り、出会ってきた人々や出家者たちの死を想い、自らの死に方について考えてゆく。「毎日が死に支度」と思い定め、最後のつもりでこの小説の連載も開始した……。 |
愛に始まり、愛に終わる 瀬戸内寂聴108の言葉 瀬戸内 寂聴 (著) 「人は愛するために生れてきたのです。」 瀬戸内寂聴さん、もうすぐ、御年99歳。 愛とは、 本書では、「愛」のほか、「生」「業」「無常」「老」「死」などをテーマに、新聞や雑誌での連載やインタビュー、法話から、胸に響く言葉を厳選。 柔らかな笑顔で人々を励まし、救ってきた寂聴さんの人生哲学が詰まった、108点のメッセージを掲載しています。 悩みたくなければ、愛さなければいい。 しんどいとき、さびしいとき、前を向けないとき――。 |
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