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【訃報】芥川賞作家・新井満さんが死去 「千の風になって」の訳詞・作曲など

芥川賞作家で、「千の風になって」の訳詞・作曲でも知られる新井満(あらい・まん=本名:みつる)さんが12月3日、誤嚥性肺炎のため北海道函館市の病院で死去しました。75歳。新潟市出身。告別式は近親者で執り行われます。

 
新井満さんは、1946年生まれ。上智大学を卒業後、電通に入社し、チーフプロデューサーなどを務めました。勤務の傍ら執筆活動に取り組み、1987年「ヴェクサシオン」で野間文芸新人賞、1988年「尋ね人の時間」で芥川賞を受賞。1998年の長野冬季五輪では開閉会式の構成を担当するイメージ監督を務めました。

 
2003年に、米国に伝わる作者不詳の詩「Do not stand at my grave and weep」を翻訳し作曲。同曲は『千の風になって』としてCD、写真詩集となります。後にテノール歌手の秋川雅史さんがカバーし、ミリオンセラーとなり、2007年にはレコード大賞作曲賞を受賞。

 
著書に、『海辺の生活』『カフカの外套』『エッフェル塔の黒猫』『黒い傷のある部屋』『カメラマンと犬』『月子』『サンセット・ビーチ・ホテル』『環境ビデオの時代』『サティ紀行 ノルマンディー・パリ音楽の旅』『森敦 月に還った人』『そこはかとなく』『星になったサン=テグジュペリ』『死んだら風に生まれかわる』『死んだら星に生まれかわる』『子どもにおくる般若心経』『希望の木』『良寛さんの戒語』など。妻・新井紀子さんとの共著に『ハイジ紀行 ふたりで行く「アルプスの少女ハイジ」の旅』『木を植えた男を訪ねて ふたりで行く南仏プロヴァンスの旅』『ピーターラビット紀行 ふたりで行くイギリス湖水地方の旅』など。

 

千の風になって
新井 満 (翻訳)

大切な人をなくしたときに、悲しみをいやしてくれるのは、この詩かもしれない。
悲しみの中で読みつがれてきた、一篇の詩があった。

9.11米国、同時多発テロで、父親を亡くした11歳の少女が、一周忌に朗読した。
IRA(アイルランド共和軍)のテロで命を落とした24歳の青年が、“私が死んだときに開封してください”と両親に託した手紙の中に、この詩が入っていた。
女優マリリン・モンローの二十五回忌に朗読された。

朝日新聞『天声人語』が紹介し、大反響となった“死と再生の詩”作者不明の英語詩を、作家・新井満が日本語詩に。

尋ね人の時間 (文春文庫)
新井 満 (著)

第九十九回芥川賞受賞作。「ある日、気がつくと、自分の内部に昔はたしかにあった筈の主体としての<われ>が失われていたのだ。わが心のうちなる岡にのぼって、いくら自分の名を呼んでみても、いたずらにただ山彦がかえってくるばかり。<われ>に置き去りにされて抜け殻になった<われ>のがらんどうの中を、うそ寒い風が通り過ぎて行くばかり。そうは思いませんか。小説“尋ね人の時間”とは、自分捜しの物語なのかもしれない」(あとがきより)

DVD付き絵本 希望の木
新井 満 (著), 山本 二三 (イラスト)

[ 陸前高田市教育委員会推薦図書 ]
[ 瀬戸内寂聴氏推薦 ]
[ 第15回 ほんづくり大賞・大賞受賞 ]

東日本大震災を生き残った”奇跡の一本松”が、感動の絵本になりました。
~一本松はなぜ、生きのこったのか?~ ~いのちのバトン、てわたします。~
陸前高田市、高田松原の7万本の松の木の中で、災害時ただ1本生き残った「奇跡の一本松」。
その「奇跡の一本松」を擬人化した「少女レイラ」の物語は、命が過去・現在・未来と続いていくことを伝えていきます。

【本文より一部抜粋】
高田松原に生えていた7万本の松の木たちは、ひとりのこらず身をよじり、
両腕をいっぱいに広げてスクラムを組み、レイラを津波から守ろうとしてくれたのです。
「あの娘を、守れ───────! 」
「あの娘だけは、津波から守れ───────! 」

付録DVD内容
1陸前高田の過去・現在・未来
2奇跡の一本松と陸前高田を愛し、未来を創造する人々
3読み語り用映像(「いのちのバトン」ミュージックビデオを含む)
※本書は、DVDを使用して学校教育・防災教育の教材としても使用できます。

 


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