文学賞の受賞も、映像化も新聞書評の掲載もないけど「本所おけら長屋シリーズ」が6年かけて100万部突破 「調子にのって」LINEスタンプ販売開始
畠山健二さん著『本所おけら長屋(十三)』が8月2日、PHP研究所より刊行されました。この13巻で、シリーズ累計発行部数は100万部を突破。出版不況のなか、メディアで大きな話題になることもなく、6年かけて地道に読者を増やし、ミリオンセラーのシリーズに成長を遂げました。
全国のべ500店余の書店員に会ってきた「書店巡回」をスタート
2013年7月に初版1万部でスタートした『本所おけら長屋』。お江戸は本所亀沢町にある「おけら長屋」の個性豊かな住人が巻き起こす珍騒動を、下町の演芸作家出身の著者が笑いと涙につつんで描く書き下ろし連作時代小説です。
まったく無名だった畠山健二さんは、本シリーズが時代小説初挑戦でしたが、当初から「作品の質」と「書店回り」には徹底してこだわりました。
「小説の質を荒らさないように」と刊行は年2冊まで。新刊が出ると、自前の法被や御用聞き前掛けを着用して全国の書店を巡回します。まず書店員の方々に作品と著者のファンになってもらうことで、シリーズの応援団は読者にも広がりました。畠山さんは6年がかりで、のべ500店余を訪問しました。
「特別フルカバー帯」に、女性読者が飛びついた! 次の目標は、累計150万部!
書店店頭での展開も功を奏し、6巻刊行時(2016年3月)には18万部を突破した「本所おけら長屋シリーズ」は、女性書店員の声をヒントに、三木謙次さんがイラストを描き下ろした「特別フルカバー帯」でイメージチェンジ。
時代小説らしからぬかわいらしさに、売り場で足を止める女性客が急増し、「おけら推し」の書店員を獲得。手書きPOPや長屋ジオラマ作成など、店頭PRが強化されました。その結果、このたびの100万部に結実しました。
文学賞の受賞もなく、映像化もなく、新聞書評の掲載も一度もなし。ないないづくしで6年がかりでのミリオン達成に、畠山さんは喜びつつも「次は150万部」と、新たな目標を見据えています。
<担当者が分析>「笑って、泣ける」長屋ものが、支持された背景
(PHP研究所 広報部 根本騎兄さん コメント)
「落語みたい」とよくいわれる『本所おけら長屋』ですが、その成功は、長年の落語人気に後押しされた部分が大きいと思います。いまのブームを支えるのは30~40代の女性。本シリーズの読者は「女性が6割」ですが、まさにファン層が重なっています。
また昨今、若い世代を中心に、「シェアする社会」が進展しているとメディアを賑わしています。所有するより共有する、ない人は持っている人から借りればいい。おけら長屋の住人たちの世界と通じています。「つながり」「きずな」「共感」「共有」……現代日本に広がり始めた時代の空気に、「本所おけら長屋シリーズ」の作品世界は見事にはまったのはないでしょうか。
調子にのってLINEスタンプ販売開始
今回のミリオンセラー達成を記念し、「本所おけら長屋」のLINEスタンプが発売されました。粋な江戸弁で友だちにメッセージできます。
◆スタンプ名称:本所おけら長屋
◆販売開始日:2019年7月26日(金)
◆販売価格:1セット(24個)につき120円(税込)または50LINEコイン
★販売ページ:https://line.me/S/sticker/8257415
◆コピーライト:Kenji Miki/PHP Institute,Inc
『本所おけら長屋(十三)』について
最新巻(十三)の裏テーマは「恋のゆくえ」。
ばかばかしくも騒がしい「おけら長屋」の日常にも、男女をめぐる交情や事件はつきもので……。
◇おけら長屋の騒動仕掛け人万造の喧嘩友達、栄太郎の嫁さがしをめぐる顛末とは(「とりもち」)
◇男女のゴシップを書き、世間を騒がす「読売」を出す春助の重すぎる過去(「よみうり」)
◇大家の徳兵衛と隠居の与兵衛は、おいらくの淡い期待を抱いて吉原へ(「おいらく」)
◇兄の死で、故郷に帰るよう説得される万造の相棒・松吉。彼が下した答えとは(「ゆうぐれ」)
――男と女の思いのゆくえを、笑いと人情に包んでテンポよく描いた4編を収録。
畠山健二さん プロフィール
著者の畠山健二(はたけやま・けんじ)さんは、1957年生まれ。東京都目黒区出身。墨田区本所育ち。演芸の台本執筆や演出、新聞・週刊誌のコラム連載、ものかき塾講師まで精力的に活動する。
2012年、『スプラッシュ マンション』(PHP研究所)で小説家デビュー。翌年、初の文庫書き下ろし時代小説『本所おけら長屋』(PHP文芸文庫)が大好評、ロングシリーズとなる。
その他の著書に、『下町呑んだくれグルメ道』(河出文庫)、『超入門! 江戸を楽しむ古典落語』(PHP文庫)、『粋と野暮』(廣済堂出版、2019/8/1発売)などがある。
台東区、墨田区の東京下町エリアで活躍する様々な人々を紹介するインタビュー番組、J:COM「東京下町人図鑑」のレギュラー司会を務める。
★畠山健二さん公式サイト「OKERA NOTE」:http://okeranote.com/
本所おけら長屋(十三) (PHP文芸文庫) 畠山 健二 (著) おかげさまでシリーズ累計100万部突破! あの2人に衝撃の展開が……? 江戸は本所にある貧乏長屋には、万造、松吉の「万松」コンビを筆頭に、左官の八五郎・お里夫婦や後家のお染、 浪人の島田鉄斎ら個性豊かな面々が住んでいて……。 |
■シリーズ第1作
本所おけら長屋 (PHP文芸文庫)
本所亀沢町にある「おけら長屋」は、大家の徳兵衛、米屋奉公人の八五郎、後家女のお染など、ひと癖ある店子が入り乱れて毎日がお祭り騒ぎ。それもそのはず、お金はないけど人情に厚く、かっとくるけど涙もろい。自分より他人のことが気になって仕方がない。こうした面々が、12世帯も軒を並べているのだ。そんなある日、わけあり浪人・島田鉄斎がやってきた。津軽の某藩を辞去し、江戸へ流れてきたのだ。剣の腕がたち、冷静に物事に対処できる鉄斎は、おけら長屋の連中が頼りにする心強い「旦那」。鉄斎を迎えて、何かと騒がしい長屋の面々が遭遇する事件とは……。著者は、本所育ちで演芸の台本などで複数の受賞歴を誇る手練の書き手。今回は満を持して、文庫書き下ろし時代小説に初挑戦。2013年本屋大賞作家・百田尚樹氏も「この小説には、やられた!」と太鼓判の出来ばえ。江戸落語さながらの笑いと人情にあふれる作品世界をとくとご堪能あれ!
【関連】
▼畠山健二「本所おけら長屋シリーズ」|PHP文芸文庫|PHP研究所
◆「本所おけら長屋」畠山健二さん×「食堂のおばちゃん」山口恵以子さんエッセイ集『猿と猿回し』が刊行 | 本のページ
◆畠山健二さん「本所おけら長屋」シリーズが150万部を突破! オンラインイベント、山口恵以子さんとのトークショー&サイン会など続々開催 | 本のページ
◆「本所おけら長屋」シリーズが最新15巻刊行&累計117万部突破 畠山健二さん「人と人とのつながりを描き続ける」 | 本のページ
◆PHP文芸文庫が創刊10周年キャンペーンを展開! 読者プレゼントや強力執筆陣の新刊&既刊ヒット作を展開 | 本のページ