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「本所おけら長屋」シリーズが最新15巻刊行&累計117万部突破 畠山健二さん「人と人とのつながりを描き続ける」

著者の畠山健二さん

著者の畠山健二さん

PHP研究所は、畠山健二さん著『本所おけら長屋(十五)』を9月25日に刊行します。コロナ禍で外出自粛が本格化し始めた時期に刊行した前作14巻(3月25日発売)は、発売初日にamazon歴史・時代ジャンルで1位を記録。最新15巻で、シリーズ累計発行部数は117万部を突破しました。

最新刊は「3密回避」の日常にあって、長屋暮らしの登場人物たちによる人と人とのふれあいが心にせまる作品です。

 

外出自粛のなか、読者が手に取った14巻

3月25日に発売された『本所おけら長屋(十四)』は、4月7日の政府の「緊急事態宣言」発出後に休業する書店も続出するなか、平常時を上回る読者の支持を得ました。

新刊刊行時の恒例だったトークイベントやサイン会はすべて中止になったものの、紀伊國屋パブライン(チェーン全店実売データ)の文庫ジャンルでは、11日連続でトップテン入りを果たしています(3/25~4/4)。さらに同データで、2週間の実売数も初めて1000冊を超え、1巻から巻を追うごとにコツコツと部数を伸ばしてきた本シリーズは、この状況下でも多くの読者に購入されています。

 

畠山健二さんが伝えたい「分断より共感」

「本所おけら長屋」の舞台である東京都墨田区在住の畠山健二さんは、外出自粛中、とにかく仕事場に籠って『本所おけら長屋(十五)』の執筆に専念したそうです。

当初は、仕事疲れの合間に「オンライン飲み会」なども試したそうですが、「もうすっかりやらなくなりましたね」と話します。

 
外出自粛要請下にもかかわらず、前巻『本所おけら長屋(十四)』が好調であった理由を、著者自身はこう分析します。

「生身の人間関係に“距離”を求められたとき、せめて小説のなかでも『人と人との密な触れ合い』を読者が求めたのではないでしょうか。おけら長屋のような人間関係は、実際にあったら鬱陶しい。しかし人と人が実際に会って感じる“肌感覚”みたいなものは、オンラインでは満たされない。最近よく『分断』という言葉を聞きますが、そうならないためには人と人との『共感』が大切なんです」

 
7年にわたり書き継いできたシリーズが、「今だからこそおけら長屋」といえる社会状況になっているのではないかと指摘します。

 

著者プロフィール

著者の畠山健二(はたけやま・けんじ)さんは、1957年、東京都目黒区生まれ。墨田区本所育ち。演芸の台本執筆や演出、新聞・週刊誌のコラム連載、ものかき塾講師まで精力的に活動する。

2012年、『スプラッシュ マンション』(PHP研究所)で小説家デビュー。翌年、初の文庫書き下ろし時代小説『本所おけら長屋』(PHP文芸文庫)が好評、ロングシリーズとなる。

その他の著書に、『下町呑んだくれグルメ道』(河出文庫)、『超入門! 江戸を楽しむ古典落語』(PHP文庫)、『粋と野暮 おけら的人生』(廣済堂出版)などがある。

台東区、墨田区の東京下町エリアで活躍する様々な人々を紹介するインタビュー番組、J:COM「東京下町人図鑑」のレギュラー司会を務める。

 

新刊発売に合わせ、他社から「副読本!?」発売

9月15日、旅行読売臨時増刊『東京スッタモンダ』が旅行読売出版社から全国発売されました。

当雑誌は、畠山健二さんの『月刊 旅行読売』の連載エッセイを収録しつつ、畠山健二さん責任編集で、「本所おけら長屋シリーズ」の副読本にもなっています。

 
小説の登場人物紹介や本所界隈ゆかりの地散歩、島田鉄斎がかつて過ごした津軽黒石への旅など、ファン垂涎の内容が満載。「おけら長屋人気」は、版元の枠を超えて広がり始めています。

 

『本所おけら長屋(十五)』について

『本所おけら長屋(十五)』書影

『本所おけら長屋(十五)』書影

■最新15巻の裏テーマは「人生の“春夏秋冬”」

『本所おけら長屋(十五)』では、収録4篇の表題それぞれに「はつ・なつ・あき・ふゆ」の言葉が入っています。四季が巡るように、様々な顔をみせて人生は移ろっていきますが、「冬が終われば春が来る」。4篇全体を通じて、悲喜こもごもの人生の場面で読者が前を向く心を持てるように、との著者の思いが詰まっています。

おけら長屋お得意の「笑い」の部分を控えめに、「生きること」の深さ、素晴らしさを描いた著者新境地の最新刊です。

 
◇「はるざれ」:幼くして身売りされ、千住の岡場所にいる黒石出身のお葉を身請けしようと、藩士・尾形清八郎はおけら長屋の面々の助力を得る。

◇「なつぜみ」:お咲を訪ねてきたお喜代には、少女時代から想いを抱いてきた嘉助の存在があった。ほとんど手掛かりがない嘉助さがしの?末は?

◇「あきなす」:万造が奉公する石川屋で嫁姑問題が勃発。激しい女の意地の応酬のなかで、やがて心が通い合うときが訪れる。 

◇「ふゆどり」:津軽から来た若き剣客・鳥居涼介は、島田鉄斎にしつこく真剣での立ち合いを挑もうとする。それは鉄斎の黒石藩士時代の苦い過去につながっていた。

 

本所おけら長屋(十五) (PHP文芸文庫)
畠山 健二 (著)

万造が嫁姑問題を解決?
鉄斎が剣客に真剣勝負を挑まれる!?
江戸の四季を背景に、笑って泣ける人情話が詰まった大人気シリーズ最新巻!

 


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