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『山奥ビジネス』日本の田舎こそ成長のフロンティアだ!

藻谷ゆかりさん著『山奥ビジネス 一流の田舎を創造する』

藻谷ゆかりさん著『山奥ビジネス 一流の田舎を創造する』

藻谷ゆかりさん著『山奥ビジネス 一流の田舎を創造する』が新潮社より刊行されました。20年前に長野県の田舎に移住した「山奥ビジネス」の実践者である著者が、地方部で高付加価値の事業を営んでいる事例を訪ね歩きました。

 

日本には「山奥」という豊かなフロンティアがある!

本書の「山奥」とは、人が住んでいない山奥ではなくて、かつて銀山や炭鉱、林業などで栄えていた地域を指します。そのほとんどが、いわゆる「消滅可能性の高い自治体」です。本書は、人口が減少した地域において、どんなビジネスを呼び込み、どう地域を活性化していくかを示唆する内容となっています。

 
もちろん、人口減の中でもそこそこ頑張っている自治体やビジネスはたくさんあるわけですが、著者が重視したのは「ハイバリュー&ローインパクト」と「SLOC(Small,Local,Open,Connected)という側面です。前者は、価値が高い財・サービスを生み出しながら環境や土地への負荷を低くしていること、後者は文字通り「小さくて、ローカルで、オープンで、繋がっている」という要素です。そうした観点から、老舗の酒蔵が中心になって町を活性化させている熊本県山都町、世界一のジェラート職人が店を構える石川県能登町、職人やアーティストが集結して新しいムーブメントを起こそうとしている北海道岩見沢市美流渡地区、「写真の町」というコンセプトで交流人口を増やし続けている北海道東川町などの事例が紹介されていきます。

 
著者の藻谷さん自身は横浜出身ですが、MBA留学→会社勤め→起業を経て、20年前に長野県の山奥に移住しています。起業した会社(ネットによるインド紅茶の輸入販売業)は長野でも経営し続け、現在はすでに事業譲渡してしまいましたが、いまでも「経営エッセイスト」という肩書きで執筆、講演活動を続けられています。つまり、ご自身も「山奥ビジネス」の実践者でもあります。

 
本のタイトルからは、なんとなく「テレ朝の『人生の楽園』に出てくるようなセカンドライフを満喫している人」のイメージが浮かぶかも知れませんが、本書に登場する山奥ビジネスの当事者たちは皆、「高付加価値」という部分を意識している、ビジネスマインドの強い方です。本書も「現役のビジネスマン」にこそおススメの一冊です。オビには冨山和彦さんが推薦の言葉を寄せています。

<書籍内容>

人口減?地方消滅? 悲観する必要はない。日本には「山奥」という豊かなフロンティアがある。「なにもない田舎」も、地域資源を再発見し、角度を変えて眺めれば、宝の山なのだ。ハイバリュー・ローインパクト(高付加価値で環境負荷が低い)なビジネスを山奥で営む事例や、明快なコンセプトで若い世代やユニークな事業を呼び込んでいる自治体事例を紹介し、「一流の田舎」を創るストラテジーを提示する。

 

著者プロフィール

著者の藻谷ゆかり(もたに・ゆかり)さんは、東京大学経済学部卒業、米ハーバード・ビジネススクールMBA。会社員、起業を経て、経営エッセイスト。

2002年に家族5人で長野県に移住。著作に『衰退産業でも稼げます』『六方よし経営』など。

 

山奥ビジネス (新潮新書)
藻谷 ゆかり (著)

 


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