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『発達性トラウマ 「生きづらさ」の正体』あなたの生きづらさ、トラウマが原因かも

みきいちたろうさん著『発達性トラウマ 「生きづらさ」の正体』

みきいちたろうさん著『発達性トラウマ 「生きづらさ」の正体』

みきいちたろうさん著『発達性トラウマ 「生きづらさ」の正体』がディスカヴァー・トゥエンティワンより刊行されました。

 

あなたの「生きづらさ」はトラウマが原因かもしれない

生きづらさを感じている人が増えています。
あるアンケートによると、7割以上の人が生きづらさを感じていると回答しており、その理由はさまざまです。

 
そんな生きづらさを説明するキーワードには流行り廃りがあり、「パーソナリティ障害」や「HSP」などは少し前、あるいは最近注目された概念です。実は、「生きづらさ」という言葉自体もある種の新語で、2000年代に入ってから広く用いられるようになった言葉です。

 
そうしたキーワードの一つが「発達障害」です。
「発達障害」とは、何らかの理由によって生じた、社会的な適応に問題を引き起こす脳や神経系の障害を指します。

「発達障害」についての理解がすすんだことで、
・人間関係がうまくいかない
・ミスや不注意が多い
・「自分が悪い」と思いがち
・いつも何かしていないと落ち着かない
・音や光、匂いが過剰に気になる
などのような症状を覚えると、「自分は発達障害なのではないか」と思う人も増えたのではないでしょうか。

 
しかし、これらの症状は、「発達障害」ではなく、「トラウマ」が原因でも引き起こされることがわかってきました。

 

発達障害の”急増“と違和感

発達障害という概念が普及し、診察できる医療機関も増えると、発達障害と診断される件数が急増します。
例えば、2019年に国公私立の小・中・高等学校において通級による指導を受けている児童生徒数を調べた文部科学省の調査によると、発達障害(ADHD、自閉症スペクトラム障害、学習障害)は、年々増加しており、10年で4.3倍となっています。こうした増加は、日本も含め先進国では共通した事象のようです。

 
そして、そんな急増について違和感や疑問が生じてきます。なぜなら、先天的なものとされてきた発達障害が、診断が広まったとはいえ、急激な上昇を続けることはさすがにおかしい、と考えられるからです。

 
その中でも特に子どもの虐待などを扱う医師たちは、虐待を受けた子どもと発達障害と診断される子どもとが重複すること、症状が酷似していることを目の当たりにします。

そこで、医師の杉山登志郎さんは、虐待によって発達障害のような症状となることは「第四の発達障害」という名称で問題提起を行いました。

しかしこれは、発達障害そのものではなく、トラウマに由来して発達障害のような症状を呈するということです。

 

「発達性トラウマ」とは

そんな「第四の発達障害」を引き起こす「発達性トラウマ(Developmental Trauma)」とは、複雑性PTSDの原因となる、子ども時代に負ったトラウマのことです。複雑性PTSDとは、繰り返し強いストレスにさらされることで心身に不調をきたすことを言います。家庭や学校などで負った慢性的なストレスがトラウマを生み、複雑性PTSDの原因となるのです。

 
「トラウマ」というと、深刻なものをイメージしがちかもしれませんが、日常のストレスもトラウマになりえます。虐待やいじめはもちろんですが、家族間の不和・不仲や親や家族が気まぐれで感情的など、ちょっとしたストレスでもトラウマになる場合があります。

 
本書の著者は、公認心理士のみき いちたろうさんです。雑誌、テレビなどのメディア掲載・出演も多く、たくさんの「生きづらさ」を抱える人の相談にのってきました。

本書では、そんな著者が、近年の知見や現場での経験、体験をもとに、読者が感じているかもしれない生きづらさを、トラウマ(発達性トラウマ)という視点から考えていきます。

今生きづらさを抱えているみなさんが「トラウマ」について理解し、克服法を知ることができる一冊です。

 

本書の構成

第1章 この「生きづらさ」はどこから来るのか?

第2章 トラウマをめぐる経糸と緯糸――“第四の発達障害”を生む発達性トラウマ

第3章 トラウマがもたらす“自己の喪失”と様々な症状

第4章 トラウマを理解する――ストレス障害、ハラスメントとしてのトラウマ

第5章 トラウマを克服する

 

著者プロフィール

著者のみきいちたろうさんは、公認心理師。大阪出身。大阪大学文学部卒業、大阪大学大学院文学研究科修士課程修了。在学時よりカウンセリングに携わる。大学院修了後、大手電機メーカー、応用社会心理学研究所、大阪心理教育センターを経て、ブリーフセラピーカウンセリング・センター(B.C.C.)を設立。トラウマ、愛着障害、吃音などのケアを専門にカウンセリングを提供している。

著書に『プロカウンセラーが教える 他人の言葉をスルーする技術』(フォレスト出版)がある。雑誌、テレビなどメディア掲載・出演も多く、テレビドラマの制作協力(医療監修)も行なっている。

 

発達性トラウマ 「生きづらさ」の正体 (ディスカヴァー携書)
みき いちたろう (著)

発達障害と似た症状は、“ストレス”が原因だった!
メディアで話題の専門家が教える、今からできる克服の方法

「発達性トラウマ(Developmental Trauma)」とは、複雑性PTSDの原因となる、子ども時代に負ったトラウマのことです。
家庭や学校などで負った慢性的な(反復性)ストレスがトラウマを生み、複雑性PTSDの原因となることがとても多いのです。
そのため、発達性トラウマは、私たちが抱える生きづらさの原因を明らかにするものとして近年注目されています。

「発達性トラウマ」あるいは「トラウマ」という概念から生きづらさを眺めてみると、
多くのことが了解でき、適切なケアにつながっていくことがわかります。
これまではトラウマというと、戦争や災害、レイプといった、ある限定された状況による症状(PTSD)というイメージでしたが、そうしたものとトラウマの全貌は異なります。

本書では、近年の知見や現場での経験、体験をもとに、読者が感じているかもしれない生きづらさを、
トラウマ(発達性トラウマ)という視点から照らしてみたいと思います。

トラウマの原因として、従来は劇的な出来事に焦点が当たり、
より身近な日常的にあるトラウマに苦しむ人たちには適切な知識やケアが届いていませんでした。
身近なトラウマも、それぞれに抱える生きづらさは深刻です。
そうした問題意識から、本書ではよくある身近なお困りごと、生きづらさを中心に取り上げています。
身近なトラウマがわかると、劇的な出来事も含むトラウマ全体についても見通しが付きやすくなります。

本書は、「発達性トラウマ」というタイトルですが、もちろん成人してから受けるストレスも含めた
トラウマ全体のものとしてもお読みいただけます。

トラウマとはストレス障害と捉えられます。決して特別な事象ではありません。
誰しも人生の中でストレスが重なってバランスを崩すことは生じます。

また、もう一つの特徴であるハラスメントについてもその仕組みが広く知られる必要があります。
そこには人間が持つ他人を巻き込んで実存を維持しようとする営みやコミュニケーションの構造が隠れています。
自己の不全感をかりそめに満たすために他者を支配しようとする働きを人は誰しも持っています。
ハラスメントの仕組みがわかると、互いの違いや多様性を尊重して関わり合うための大切な視点を得ることができます。

さらに、生きづらさの多くが本来は社会からもたらされるものです。
そんな生きづらさが過度に個人化されがちな現代にあって、それを被る側の内的なメカニズムが明らかになることで、生きづらさを切り分けてもう一度社会に押し返す力にもなり得ます。

 


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