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『幕末からコロナ禍まで 病気の日本近代史』新たな疫病が猛威を振るう今こそ知るべき「闘病と克服の日本史」 日本人はかつて「未知の病」といかに闘ってきたか?

秦郁彦さん著『幕末からコロナ禍まで 病気の日本近代史』

秦郁彦さん著『幕末からコロナ禍まで 病気の日本近代史』

秦郁彦さん著『幕末からコロナ禍まで 病気の日本近代史』(小学館新書)が、小学館より刊行されました。

※本書は、同名単行本(2011年刊)に新型コロナに関する新章などを大幅加筆したものです。

 

新型コロナ克服のヒントは「歴史」にあり! 現代史家の労作を新書化!

明治天皇や陸海軍兵士たちが悩まされた脚気から、軍民に蔓延したスペイン風邪などの伝染病、「亡国病」と恐れられた結核やマラリア、患者が増える中で治療法の模索が続いてきた精神疾患、現在死因トップのがんまで、日本人は多くの病気に悩まされてきました。

 
そして今また、「新型コロナウイルス」という未知の病が襲来しています。果たして、この新たな感染症といかに向き合うべきなのでしょうか。

≪人類の歴史は、一面では感染症(伝染病)との戦いの歴史でもあった。だが戦うと言っても、一方的な防戦と敗北の連続で、十四世紀のペスト流行では欧州大陸の住人の半分近くが倒れ、人々は絶滅の恐怖におののいた。
ようやく勝機が訪れたのは、病原である細菌やウイルスの正体が見え始めた、たかだか二百年前からである。〈中略〉

だが戦いが終ったわけではない。≫
(「第八章 新型コロナ禍の春秋」より)

 
<本書の内容(一部)>

◎盲腸炎――切るか? 散らすか?
◎庶民から天皇までなぜ日本人は脚気に悩まされたのか?
◎あばたもえくぼの”あばた”とは?
◎昭和18年の死因第1位(17万人余)は?
◎戦死より戦病死が多かった?
◎明暗を分けた日米マラリア戦
◎精神障害歴を報じられた著名人
◎受動喫煙と肺がんの関連性に疑問符
◎コロナとの戦いのなかで見えてきた争点

 
本書は、医師や医療専門家ではなく、政治史や軍事史を中心に研究・執筆を重ねてきた現代史家の手になる医学史です。そのため、医学の研究書とは異なり、歴史家の視点から「難病の制圧をめざす国家的な総力戦」の過程を検証しつつ、「人間の生死をめぐって運と不運、喜びと悲しみが交錯するドラマ」を描きだしています。

≪日本における近代医療の歴史は各種の病気、とくに脚気、伝染病、結核、がんなど難病の制圧をめざす国家的な総力戦の過程でもあった。
それは人間の生死をめぐって運と不運、喜びと悲しみが交錯するドラマでもあったから、文学の感性を借用しないと、全容は描きにくい。≫
(本書「あとがき」より)

 

本書の構成

第一章 黎明期の外科手術

第二章 脚気論争と森鴎外

第三章 伝染病との戦い

第四章 結核との長期戦

第五章 戦病の大量死とマラリア

第六章 狂聖たちの列伝

第七章 肺がんとタバコ

第八章 新型コロナ禍の春秋

巻末付表

あとがき
新書版あとがき

 

著者プロフィール

著者の秦郁彦(はた・いくひこ)さんは、1932年生まれ。山口県出身。歴史学者(日本近現代史・軍事史)。

1956年東京大学法学部卒業。同年大蔵省入省後、ハーバード大学、コロンビア大学留学、防衛研修所教官、大蔵省財政史室長、プリンストン大学客員教授、拓殖大学教授、千葉大学教授、日本大学教授を歴任。法学博士。

1993年に第41回菊池寛賞、2014年に第68回毎日文化賞、第30回正論大賞を受賞。

 

病気の日本近代史: 幕末からコロナ禍まで (小学館新書)
秦 郁彦 (著)

【編集担当からのおすすめ情報】
本書は、もともと著者の秦氏自身が盲腸(虫垂炎)の手術を受けた際に読んだ医学史の面白さに引き込まれ、歴史家の手法で近代日本の医学史に取り組んでみようと考えたことがきっかけでまとめられたものです。

今回、7章立てとなっていた同名の単行本(2011年刊)に、新型コロナウイルスに関する新章などを大幅に書き下ろし、さらに統計データなどを最新のものに更新して新書化しました。

結果的に500ページ近い大著となりましたが、著者が集めた闘病にまつわる秘話や難病克服のエピソードがたくさん盛り込まれており、医学の専門的な知識がなくても、近現代の日本人の“苦闘”の足跡を学ぶことができる読み物となっています。

まさに今この時期だからこそ読みたい貴重な史実が満載で、一度読み始めたらページをめくる手が止まらなくなる一冊です。

 


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