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『論争 関ヶ原合戦』日本史上最大の野戦「関ヶ原の戦い」をめぐる通説・新説・俗説・珍説を徹底検証!

笠谷和比古さん著『論争 関ヶ原合戦』

笠谷和比古さん著『論争 関ヶ原合戦』

日本史上最大の野戦「関ヶ原の戦い」をめぐる通説・新説・俗説・珍説を徹底検証した、笠谷和比古さん著『論争 関ヶ原合戦』(新潮選書)が新潮社より刊行されました。

 

来年の大河ドラマ「どうする家康」の最大の山場!? 「一足先に予習をしたい」という人に最適の一冊

「淀殿や三奉行は三成派」「直江状は偽書」「小山評定は後世の創作」「戦はあっという間に終わった」「関ヶ原は戦場ではない」「問い鉄砲はなかった」など、これまで語られてきた通説や、最近注目されている新説は本当なのでしょうか? 

 
あたかも百花繚乱の観を呈している「関ヶ原合戦」についての議論を、この分野における第一人者である笠谷和比古さんがひとつひとつ吟味しながら、戦いの総合的な歴史像を構築します。

 
【本書の概要】

関ヶ原合戦研究の第一者が、通説・新説・俗説・珍説を徹底検証し、合戦の実相を描く。

【新説1】豊臣系武将が家康に一挙になびいたとされる「小山評定」はなかった。
→【判定×】複数の当時の書状から事実だとわかる。

【新説2】増田・長束・前田ら三奉行や淀殿は当初から三成派だった。
→【判定×】安国寺恵瓊の素早い根回しで家康側から転向。

【新説3】合戦は「関ヶ原」では行われなかった。
→【判定×】一次史料偏重から導かれた誤り。地形などから、やはり戦場は関ヶ原。

【新説4】関ヶ原合戦はあっという間に終わった。
→【判定×】一次史料を文面通り解釈する誤り。合戦時間のセオリーを考えると通説が正しい。

【新説5】合戦開始と同時に小早川秀秋は裏切った。「問い鉄砲」はなかった。
→【判定×】小早川の裏切りは開戦からおよそ3時間後。「問い鉄砲」もあった。

17世紀の軍学者・山鹿素行による関ヶ原合戦布陣図(『武家事紀』)

17世紀の軍学者・山鹿素行による関ヶ原合戦布陣図(『武家事紀』)

 

本書の構成

まえがき

第一章 秀吉の死――豊臣政権の内部矛盾
1 慶長三年八月一八日、秀吉他界
2 文禄・慶長の役
3 関白秀次事件
4 北政所と淀殿
5 五大老と五奉行

第二章 関ヶ原前夜の政治抗争
1 秀吉死後の政治情勢
2 家康の私婚問題
3 家康暗殺の計画
4 豊臣七将の石田三成襲撃事件
【論点1 三成襲撃事件の実態】
5 加賀征伐計画

第三章 会津征伐
1 上杉景勝と直江状
【論点2 直江状の真贋】
2 徳川軍団の構成

第四章 三成の挙兵と小山の評定
1 石田三成と直江兼続
【論点3 三成と兼続の事前通謀説】
2 大谷吉継の動向
3 内府ちがひの条々――西軍蹶起の二段階性
4 小山の評定
5 小山の誓約の陥穽――東軍の混迷と家康の江戸滞留
【論点4 小山の評定の存否について】

第五章 西軍の展開と全国各地の戦い
1 西軍の形勢
2 毛利輝元の上坂
【論点5 毛利輝元の西軍参加事情】
【論点6 豊臣三奉行の転回の契機】
3 西軍の軍事的展開
4 全国各地の戦い
a 丹後田辺の籠城戦
b 大津城の戦い
c 上杉領国付近での戦闘
d 九州の戦い

第六章 東軍の展開と家康の戦略
1 家康、江戸を動かず
2 徳川秀忠部隊の動向
3 岐阜合戦と家康の出陣

第七章 関ヶ原合戦
1 合戦への経緯
【論点7 関ヶ原を決戦場として選んだのは誰か】
2 関ヶ原の布陣
【論点8 戦場は「山中」の地とする説】
【論点9 家康軍の軍事的構成――秀忠軍との比較】
3 開戦
【論点10 関ヶ原合戦は瞬時に終わったとする説】
4 小早川軍の動向
【論点11 小早川軍は開戦早々に裏切り出撃したとする説と、いわゆる問い鉄砲】
5 終戦

第八章 合戦後の国制
1 戦後処理と論功行賞――豊臣系武将の処遇
2 戦後全国の領地配置
3 豊臣家と秀頼の政治的位置

結び
後注・参考文献

 

著者プロフィール

著者の笠谷和比古(かさや・かずひこ)さんは、1949年生まれ、神戸出身。京都大学文学部卒業。同大学院博士課程修了。博士(文学)。国際日本文化研究センター名誉教授。専門は歴史学、武家社会論。

著書に『主君「押込」の構造』(サントリー学芸賞受賞)、『関ヶ原合戦』『徳川吉宗』『江戸御留守居役』『武士道と日本型能力主義』『関ヶ原合戦と大坂の陣』『武士道 侍社会の文化と倫理』、『豊臣大坂城』(黒田慶一さんとの共著)、『徳川家康』『信長の自己神格化と本能寺の変』など多数。

 

論争 関ヶ原合戦 (新潮選書)
笠谷 和比古 (著)

通説・俗説・珍説を徹底論破! 「天下分け目の戦い」の真相を解明する。「淀殿や三奉行は三成派」「直江状は偽書」「小山の評定は後世の創作」「戦は一瞬で終わった」「関ヶ原は戦場ではない」「問い鉄砲はなかった」……。四百年を経た今も日本史上最大の野戦について激しい論戦が繰り広げられている。そのうち、注目を集めた新知見を、第一人者である著者が吟味し、総合的な歴史像を構築する。

 


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