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『本当に大切なことを気づかせてくれる「ディズニー」 魔法の知恵』仏哲学者が解説する、ディズニーの名作アニメと哲学の関係とは

マリアンヌ・シャイヤンさん著『本当に大切なことを気づかせてくれる「ディズニー」 魔法の知恵』(監訳:小川仁志さん/訳:永田千奈さん)

マリアンヌ・シャイヤンさん著『本当に大切なことを気づかせてくれる「ディズニー」 魔法の知恵』(監訳:小川仁志さん/訳:永田千奈さん)

マリアンヌ・シャイヤンさん著『本当に大切なことを気づかせてくれる「ディズニー」 魔法の知恵』(監訳:小川仁志さん/訳:永田千奈さん)が、かんき出版より刊行されました。

 

ディズニーアニメには生きるうえでのヒントが満載

“哲学”と聞くと、「なんだか難しそう……」と感じますか?

ですが、哲学とは、人生や日常生活に密着した、身近な考え方です。この視点を身につければ、人生はより豊かなものになるでしょう。

 
とはいえ、哲学という学問をはじめようと思っても、最初は堅苦しかったりとっつきにくいかもしれません。そんなビギナーの私たちを楽しく哲学の世界へ導いてくれるのが本書です。

フランスで人気の哲学者、コラムニストである著者が、ディズニーアニメの中から22の物語をピックアップし、そのストーリーに込められたメッセージを哲学の観点から解き明かしていきます。

 
本書では、まず『ライオン・キング』のティモンとプンバァが、ストイシズムを紹介します。『ジャングル・ブック』のバルーは「幸せに必要なのは少しだけ」と歌いながら、エピクロスについて説明してくれるでしょう。

『ヘラクレス』のハデスと『ノートルダムの鐘』のフロローは、ニーチェに迫ります。

『美女と野獣』は、プラトンの目指した聡明さへとあなたを導いてくれるでしょう。クルエラは動物倫理についての問いかけです。

『ポカホンタス』は、モンテーニュと同じ理論で「未開人」の意味を考えさせます。

『ウォーリー』は、テクノロジーの進化と新しいモラルについて疑問を投げかけています。

『ライオン・キング』では、王になる宿命を背負って生まれたシンバが自分の人生を生きる自由を模索します。魔法使いに何をお願いするのか。ロビン・フッドは悪い泥棒なのか正義の人なのか、そんな問いかけもあります。

ほかにも『白雪姫』『ズートピア』『リトル・マーメイド』『アナと雪の女王』……、古典的作品から最近の作品までディズニー映画の数々から、哲学の種を拾っていきましょう。

 

アニメの解説書であり哲学書である一冊

(監修者・小川仁志さんの解説より)

名作アニメにはいずれも人生にとって大事なメッセージが込められています。単に面白いだけでなく、とても役に立つのです。

ただ作品を観ただけでは、そう簡単に理解できないメッセージもあります。あるいは、作者も気づいていないような深いメッセージが隠されていることもあります。

 
そうしたメッセージを解説したり、発掘して意味を考えたりするには、何か道具が必要なのです。そこで役立つのが哲学だというわけです。

歴史上の哲学者たちが残してくれた知の結晶は、よく誤解されているように難解で役に立たないどころか、本当は物事の隠れた本質を暴き出すのにとても有用なのです。

 
哲学者たちが書いていることは、長年の吟味に耐えてきた信頼のおけるものです。

本書で語られる、時にシニカルで、時にユーモアたっぷりのアドバイスもまた、信頼のおけるものだといっていいでしょう。

もちろん、哲学は物事を疑って自分の頭で考える営みですから、いったん自分の頭で吟味するプロセスを持つことができれば、なお素晴らしいでしょう。その哲学のやり方も本書を読めばわかると思います。

 
アニメは二度人生の教師になります。

一度目は子どものときにわかりやすく生きるヒントを与えてくれる教師として。二度目は大人になってから深く考えさせられる人生のヒントを与えてくれる教師として。そして言うまでもなく、二度目にアニメをよりよい人生の教師にしてくれるのは、哲学の力にほかならないのです。
最後に著者が書いているように、学ぶときは楽しまなければなりません。

 

本書の目次

第1部 欲望と幸福「考えてみよう、幸せを」

第1章 恋の結晶作用 『アナと雪の女王』 欲求の対象を美化する王女
第2章 幸福な人生 『アラジン』 ジーニーに何をお願いするか
第3章 必要な欲求の育て方 『ジャングル・ブック』 クマのバルーはエピキュリアン
第4章 幸福という幻想 『リトル・マーメイド』 真の幸福を信じるアリエル
第5章 禁欲主義の呪文 『ライオン・キング』 ハクナ・マタタ「心配ないよ」

第2部 ディズニーの悪役たち「首を切っておしまいなさい」

第6章 悪意の根源 『ヘラクレス』 『ノートルダムの鐘』 他 ルサンチマンと禁欲主義
第7章 悲しみの受動連鎖 『眠れる森の美女』 他 暗い情熱に動かされた妖精
第8章 美しさへの固執 『白雪姫』 女王が自己愛を超えられないのは
第9章 有限の命 『塔の上のラプンツェル』 ゴーテルに見る永遠への憧れ

第3部 リアリティとフィクション「右からふたつめに輝く星」

第10章 見た目の価値観 『美女と野獣』 ベルが気づいた目に見えないもの
第11章 夢と現実の境目 『ピーター・パン』 ウェンディの体験を信じられる?
第12章 嘘から出た実 『アトランティス 失われた帝国』 神話は二者択一では判断できない

第4部 自然と生物と人間「風の絵の具で絵を描ける?」

第13章 野蛮人とは誰か 『ポカホンタス』 総督は自分の尺度でしか物事を見ない
第14章 動物に対する姿勢 『カールじいさんの空飛ぶ家』 ダグに思考は存在しないのか
第15章 動物倫理 『101匹わんちゃん』 子犬たちの命の大切さ
第16章 善と悪 『ロビン・フッド』 プリンス・ジョンから盗むのは罪か

第5部 機械と玩具と心「起きなさい。あなたに命を吹き込みましょう」

第17章 理性と感情 『インサイドヘッド』 感情がライリーの体を動かす
第18章 技術と責任 『ウォーリー』 アクシオム号はパラダイスではないのか
第19章 本物の人間 『ピノキオ』 人間になるために必要なもの

第6部 良心とアイデンティティと自由「どこへでも行けるはず」

第20章 なりたい自分 『ズートピア』 ジュディは自分を変えられるのか
第21章 芸術家と才能 『レミーのおいしいレストラン』 リングイニに必要なのはふたつだけ
第22章 自分を知る 『ライオン・キング』 シンバは自分の物語を書けるか

 

著者プロフィール

 
■著者:マリアンヌ・シャイヤンさん

フランスの哲学者、コラムニスト。ハリー・ポッターやアニメ番組を下敷きにした哲学の入門書で注目され、フランス国内で人気を博す。難解な哲学をポップに解説するのが特徴。本書が4作目となる著書。

 
■監訳:小川仁志(おがわ・ひとし)さん

哲学者、山口大学国際総合科学部教授。

1970年、京都府生まれ。京都大学法学部卒業後、伊藤忠商事入社。同社退職後、4年間のフリーター生活を経て名古屋市役所入庁。同市役所に勤務しながら、名古屋市立大学大学院にて博士号(人間文化)取得。徳山工業高等専門学校准教授、プリンストン大学客員研究員を経て、現職。専門は公共哲学。

NHK Eテレ『世界の哲学者に人生相談』の指南役や長年主宰している「哲学カフェ」でも知られる。

著書に『哲学の最新キーワードを読む「私」と社会をつなぐ知』(講談社)、『AIに勝てるのは哲学だけだ』(祥伝社)、『これからの働き方を哲学する』(リベラル社)など多数。監訳書に『「正義」は決められるのか?』(かんき出版)がある。

 
■訳:永田千奈(ながた・ちな)さん

フランス語翻訳者。東京都生まれ。早稲田大学第一文学部フランス文学専修卒業。

訳書に、ペパン『考える人とおめでたい人はどちらが幸せか』(CCC メディアハウス)、ルソー『孤独な散歩者の夢想』(光文社古典新訳文庫)などがある。

 

本当に大切なことを気づかせてくれる「ディズニー」 魔法の知恵
マリアンヌ・シャイヤン (著), 小川 仁志 (その他), 永田 千奈 (翻訳)

ディズニーアニメが100倍楽しくなる22の物語

 


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