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【第39回石橋湛山賞】新井紀子さん『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』が受賞

石橋湛山記念財団が主宰する第39回(2018年度)石橋湛山賞の受賞作が発表されました。

 

第39回石橋湛山賞が決定!

第39回石橋湛山賞は、全国の有識者から推薦された40を超える著作の中から、次の通り決定しました。

 
■第39回石橋湛山賞
新井紀子(あらい・のりこ)さん
『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』(東洋経済新報社)

 
「東ロボ君」と名付けた人工知能(AI)を育ててきた新井紀子さんは、本書でAIの可能性と限界をリアルに解明し、「AIが人間の知力を上回るとき、いわゆる“シンギュラリティ”が到来する」という巷間に流布する説に対しては、数学者として、これを明確に否定します。

一方、AIが代替することのできない能力、“意味”を理解する「読解力」こそが重要であるとして、独自に基礎的読解力を診断するテスト(RST)を開発し、全国2万5000人に調査を行った結果、3人に1人が「簡単な文章が読めない」ことがわかったといいます。

本書はAIについて、わかりやすく説明する啓蒙書であると同時に、現在の日本の教育に警鐘を鳴らし、子どもたちに「教科書を読める能力」=読解力をつける教育実践を提起する教育書でもあります。

なお、授賞式は10月11日(木)、また記念講演(経済倶楽部主催)は11月30日(金)に東洋経済ビルで行われます。

 

新井紀子さん プロフィール

受賞者の新井紀子(あらい・のりこ)さんは、東京都出身。国立情報学研究所教授、同社会共有知研究センター長
一般社団法人「教育のための科学研究所」代表理事・所長。

一橋大学法学部およびイリノイ大学数学科卒業、イリノイ大学5年一貫制大学院数学研究科単位取得退学(ABD)。東京工業大学より博士(理学)を取得。専門は数理論理学。

2011年より人工知能プロジェクト「ロボットは東大に入れるか」プロジェクトディレクタを務める。
2016年より読解力を診断する「リーディングスキルテスト」の研究開発を主導する。

著書に『ハッピーになれる算数』『生き抜くための数学入門』(イースト・プレス)、『数学は言葉』(東京図書)、
『改訂新版 ロボットは東大に入れるか(よりみちパン!セ)』(新曜社)などがある。

 

石橋湛山賞について

石橋湛山賞は、石橋湛山記念財団が、東洋経済新報社の元主幹で内閣総理大臣も務めた石橋湛山(いしばし・たんざん)を記念して、1980年に創設。東洋経済新報社と経済倶楽部が後援。

政治経済・国際関係・社会・文化などの領域で、その年度に発表された論文・著書の中から、石橋湛山の自由主義・民主主義・国際平和主義の思想の継承・発展に、最も貢献したと考えられる著作に贈られてます。

政界・経済界・学界・マスコミ関係者から寄せられた推薦論文・著書をもとに、財団理事・評議員による選考委員会が授賞候補を数点に絞ります。この中から選考委員の奥村洋彦さん(学習院大学名誉教授)、叶芳和さん(経済評論家)、田中秀征さん(福山大学客員教授)、増田弘さん(立正大学法学部特任教授)、山縣裕一郎さん(東洋経済新報社 代表取締役社長) 各氏の合議を経て、最終選考委員会の場で決定します。

 

AI vs. 教科書が読めない子どもたち
東ロボくんは東大には入れなかった。AIの限界ーー。しかし、”彼”はMARCHクラスには楽勝で合格していた!これが意味することとはなにか? AIは何を得意とし、何を苦手とするのか? AI楽観論者は、人間とAIが補完し合い共存するシナリオを描く。しかし、東ロボくんの実験と同時に行なわれた全国2万5000人を対象にした読解力調査では恐るべき実態が判明する。AIの限界が示される一方で、これからの危機はむしろ人間側の教育にあることが示され、その行く着く先は最悪の恐慌だという。では、最悪のシナリオを避けるのはどうしたらいいのか? 最終章では教育に関する専門家でもある新井先生の提言が語られる。

 
【関連】
石橋湛山賞第39回 – 一般財団法人石橋湛山記念財団

 


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