本のページ

SINCE 1991

恋愛ばかりがそれほど重要なのでしょうか? 西原志保さん『恋愛しない私でも『源氏物語』は楽しめますか』が刊行

西原志保さん著『恋愛しない私でも『源氏物語』は楽しめますか』が春秋社より刊行されました。

 

古典文学には現代のセクシュアリティとアイデンティティの限界を乗り越えるヒントがある!

 
華々しい恋愛物語だけが『源氏物語』じゃない!!!

光源氏の妻でありながら、恋愛に消極的なことから「幼い」「空虚」な人物とされてきた女三の宮。しかし、アセクシュアル・アロマンティックなど様々な性のあり方があることからも分かるように、恋愛しないことが未熟や空虚であるということを意味しません。

現在でも、恋愛してないとプライベートが充実していないと見なされたり、恋愛から人間の内面を読み解こうとしたり、恋愛中心の人間観がいまだに浸透しています。

 
本書では、ヘテロセクシュアルの男女を前提とする近代の価値観を相対化し、『源氏物語』『紫式部日記』などの古典文学に加え、現代のドラマや漫画を読み直すことで、現代に生きる人々のセクシュアリティやアイデンティティ、仕事とプライヴェートの境界、家族・結婚や親密圏のあり方などの問題を解きほぐしていきます。

 

本書の目次

まえがき

はじめに セクシュアリティとアイデンティティ

第1章 仕事で恋愛をすること――現代におけるセクシュアリティとアイデンティティ

第2章 心と体で分けられた自己――『源氏物語』のアイデンティティ

第3章 融合する身体――宇治十帖のアイデンティティ①

第4章 浮舟の変身――宇治十帖のアイデンティティ②

第5章 セクシュアリティを自認しない世界――『源氏物語』のセクシュアリティ

第6章 作者と作品を結びつけること――紫式部のセクシュアリティ

おわりに

 

著者プロフィール

西原志保(にしむら・しほ)さんは、東北大学文学部・大学院文学研究科現代日本学専修助教。博士(文学)。

1980年生まれ、香川県出身。2009年3月、名古屋大学大学院文学研究科博士課程後期課程修了。名古屋大学高等教育研究センター研究員、国立国語研究所研究員、共愛学園前橋国際大学非常勤講師などを経て、2022年10月より現職。

単著に『『源氏物語』女三の宮の〈内面〉』(新典社新書、2017年)、近年の論考に「自然/人工と生殖:『源氏物語』における動物と人形」(『文学・語学』235号、2022年8月)、「『恋せぬふたり』におけるインターセクショナリティと「家族」」(『物語研究』24号、2024年3月)がある。

もともとの専門は平安文学だが、恋愛や生殖に忌避的な女性の感性に注目し、日本近現代文学・文化も対象とする。現在の研究テーマは、動物・植物・人形表象。

★X:https://x.com/nishihara1980

 

恋愛しない私でも『源氏物語』は楽しめますか
西原 志保 (著)

装画:カシワイ
装幀:高木達樹

 
【関連】
『恋愛しない私でも『源氏物語』は楽しめますか』(西原志保)編集後記|あらきさんの編集覚え書き

 


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です