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伊吹有喜さんが娘の結婚を目前に揺れる家族を描く『娘が巣立つ朝』が刊行

伊吹有喜さんの3年半ぶりとなる新作『娘が巣立つ朝』が文藝春秋より刊行されました。

 

娘がセレブな婚約者を家に連れてきた!

伊吹有喜さんはポプラ社小説大賞特別賞を受賞して2009年にデビュー。これまで『ミッドナイト・バス』『彼方の友へ』『雲を紡ぐ』で直木賞候補3度(『雲を紡ぐ』は第8回高校生直木賞を受賞)。数々の映像化作品もあり、今作は2021年に本屋大賞第3位に選ばれた『犬がいた季節』以来3年半ぶりの新作となります。

 
【あらすじ】

高梨家の一人娘・真奈が実家に連れて来た婚約者・渡辺優吾は爽やかな好青年だが、今ひとつ会話が噛み合わず、一抹の不安を抱える父親の健一と母親の智子。

彼らにもそれぞれ悩みがあり、健一は会社で役職定年が近づく一方、週末は介護施設の母親を見舞い、着付け教室の講師である智子は家で不機嫌な夫の健一に辟易としていた。介護施設での出会いをきっかけに、かつての趣味だったギター演奏にのめり込む健一だが、その外出の頻度に智子は浮気を疑い始める。

また、真奈の結婚話が進むにつれ、相手の家との生活レベルや価値観の違いが徐々に明らかとなり、不穏な空気が漂って――。

 
娘の結婚を目前に揺れる家族をテーマに描いた、現代版「東京物語」とも言える一冊。物語の熱量に引き込まれ、一気読み間違いなしです。

 
<一足先に原稿を読んだ書店員さんより、熱い共感の声が続々!>

「娘を嫁がせる、そんなほのぼのとしたお話かと思いきや、良い意味で見事に裏切られました。夫婦って、結構、難しい。改めて考えさせられました。」
――本の王国知多イトーヨーカドー店 莨谷俊幸さん

「子どもを想う親の気持ち、親を想う子どもの気持ち、相手を想う夫婦の気持ちがありありと描かれていて、優しさともどかしさで胸がいっぱいです。読みやすくて共感だらけの一冊でした!」
――TSUTAYAサンリブ宗像店 渡部知華さん

「身につまされることこの上なく、私だったらどうするだろう、そんなことを考えながら一気に読んでしまいました。」
――須原屋コルソ店 大瀧裕子さん

「物語の中で直面する問題が現実的で、登場人物たちが悩み、考え、決断していく様が自分のことのように感じられ、身につまされる思いがしました。家族や夫婦のあり方…今後の人生を生きていく上で、自分にとって大切なものは何かを深く考えさせられました。」
――紀伊國屋書店久留米店 池尻真由美さん

 

著者コメント

自分らしく生きていくためには「自分は自分、人は人」あるいは「ヨソはヨソ、ウチはウチ」という気構えが大事と言われます。ところがその気構えが通用しないのが「結婚と婚礼」です。それは「自分と人」、「ヨソとウチ」が融合して、新しい家庭を作り出そうとする時間だからです。

 
『娘が巣立つ朝』はその時を迎えた家族の物語です。

 
一人娘の婚約を機に高梨家の両親は夫婦の問題、老後や婚礼の資金の多寡に直面し、さらには娘とともに婚約者の家庭の価値観と経済格差に悩みます。そして平穏そうに見えたすべての関係に嵐が吹き荒れます。

 
高梨家の人々はどのようにして荒れる風雨を鎮め、巣立ちの朝を迎えるのでしょうか。それぞれの朝を見届けてください。

 

著者プロフィール

伊吹有喜(いぶき・ゆき)さんは、1969年生まれ、三重県出身。中央大学法学部卒業。出版社勤務を経て、2008年『風待ちのひと』(「夏の終わりのトラヴィアータ」より改題)で第三回ポプラ社小説大賞特別賞を受賞し、デビュー。

2010年に二作目『四十九日のレシピ』を刊行。同作は2011年にNHKにてドラマ化、2013年に映画化。
2014年刊行の『ミッドナイト・バス』は第27回山本周五郎賞候補、第151回直木賞候補に。同作は2018年に映画化。2017年刊行の『カンパニー』は2018年に宝塚歌劇月組にて舞台化。2021年にNHK BSプレミアムドラマにてドラマ化。
同じく2017年刊行の『彼方の友へ』は第158回直木賞候補、第39回吉川英治新人文学賞候補。名古屋の書店を中心にした全国有志の書店員による「乙女の友大賞」を受賞。2020年刊行の『犬がいた季節』は2021年本屋大賞3位、第34回山本周五郎賞候補に。同年刊行の『雲を紡ぐ」は第163回直木賞候補。埼玉県の高校図書館司書が選んだ2020年のイチオシ本第一位。2021年5月に第8回高校生直木賞を受賞。2022年『今はちょっと、ついてないだけ』が玉山鉄二さん主演で映画化。2014年の『ミッドナイト・バス』は山本周五郎賞と直木賞の候補作となり、原田泰造さん主演で映画化された。

他の著書に、『なでし子物語』『地の星 なでし子物語』『天の花 なでし子物語』、「BAR追分」シリーズなどがある。

 

娘が巣立つ朝
伊吹 有喜 (著)

どうしてなんだろう――
それでも人はつながろうとする。

高梨家の一人娘・真奈が婚約者の渡辺優吾を連れて実家に来た。優吾は快活でさわやか、とても好青年であることは間違いないが、両親の健一と智子とはどこか会話が?み合わない。
真奈は優吾君とうまくやっていけるのか? 両親の胸にきざす一抹の不安。
そして健一と智子もそれぞれ心の中にモヤモヤを抱えている。健一は長年勤めた会社で役職定年が近づき、最近会社での居心地が良くない。週末は介護施設の母を見舞っている。将来の見通しは決して明るくない。
智子は着付け教室の講師をして忙しくしているが、家で不機嫌な健一に辟易している。もっと仲のいい夫婦のはずだったのに……。

娘の婚約をきっかけに一家は荒波に揺さぶられ始める。
父母そして娘。三人それぞれの心の旅路は、ときに隔たり、ときに結びつき……つむがれていく家族の物語。

 


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