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【第8回高校生直木賞】加藤シゲアキさん『オルタネート』と伊吹有喜さん『雲を紡ぐ』が受賞

第8回高校生直木賞が決定!

第8回高校生直木賞が決定!

高校生直木賞実行委員会は5月30日、直木賞の候補作から全国の高校生たちが選考する「第8回高校生直木賞」の受賞作を発表しました。

 

第8回高校生直木賞が決定!

第8回高校生直木賞には全国から31校が出場し、オンラインによる議論を闘わせた結果、次の通り受賞作品が決定しました。

 
<第8回高校生直木賞 受賞作品>

◎加藤シゲアキ(かとう・しげあき)さん
『オルタネート』(新潮社)

◎伊吹有喜(いぶき・ゆき)さん
『雲を紡ぐ』(文藝春秋)

 
受賞者の加藤シゲアキさんは、1987年生まれ。大阪府出身。青山学院大学法学部卒業。NEWSのメンバーとして活動しながら、2012年1月に『ピンクとグレー』で作家デビュー。以降『閃光スクランブル』、『Burn.-バーン-』、『傘をもたない蟻たちは』、『チュベローズで待ってる(AGE22・AGE32)』 とヒット作を生み出し続け、2020年3月には初のエッセイ集『できることならスティードで』を刊行。2021年3月『オルタネート』で第42回吉川英治文学新人賞を受賞

同じく受賞者の伊吹有喜さんは、1969年生まれ。三重県出身。中央大学法学部卒業。出版社勤務を経て、2008年『風待ちのひと』でポプラ社小説大賞特別賞を受賞しデビュー。ドラマ化・映画化された『四十九日のレシピ』、映画化された『ミッドナイト・バス』、宝塚歌劇団で舞台化・ドラマ化された『カンパニー』、全国有志の書店員による「乙女の友大賞」を受賞した『彼方の友へ』、2021年本屋大賞第三位の『犬がいた季節』など著書多数。

 
【加藤シゲアキさん コメント】

「この度は高校生直木賞を授与していただき、誠にありがとうございます。
受賞の知らせを聞いた時、不意に『荒野の果てに』が頭の中に響きました。
オルタネートは、若い世代に読書を楽しみを知ってもらいたいと思って書いた作品です。
作家になってから時折、「加藤くんの本を読んでみたいけれど、小説は難しくて読めない」と言われることがあり、それを聞く度に彼らは幼い頃に楽しい小説に出会えなかったんだろうなと感じていました。
ならば自分が、若い世代が純粋に楽しめる作品を書き、小説を好きになってもらおうと考え、このような高校生の群像劇を執筆するに至りました。
自分の願いが叶い、実際に高校生の方々に届いたのであれば、これ以上に幸せなことはありません。
世界には素晴らしい本がたくさんあります。読者の方々には、この本をきっかけに、人生最高の一冊と出会う旅に出発してほしいと思います」

(C)新潮社

(C)新潮社

 
【伊吹有喜さん コメント】

「このたびは高校生直木賞に『雲を紡ぐ』を選出していただき、ありがとうございます。
本の世界は果てしなく、ページをめくれば古今東西のあらゆる出来事を体験し、たくさんの登場人物たちと心を通わせることができます。これからも本の旅をぜひ続けていってください。皆様の道中が喜びに満ちたものでありますように! そしてその中の一冊にこれからも私の作品が入っていたら、このうえなく光栄で嬉しいです。」

撮影:文藝春秋

撮影:文藝春秋

 

高校生直木賞について

高校生直木賞は、フランスの権威ある文学賞「ゴンクール賞」の候補作を2000人超の高校生が読んで議論し、自分たちなりの1作を選ぶ「高校生ゴンクール賞」を範として、2014年に創設された文学賞です。高校生直木賞実行委員会が主宰し、文部科学省と文藝春秋が後援。

同賞では、全国の高校生が集まって議論を闘わせ、直近1年間の「直木三十五賞」の候補作より「今年の1作」を選びます。

 
<参考> 第8回 高校生直木賞 参加校(全32校)
立命館慶祥高等学校(北海道江別市)
北海道函館西高等学校(北海道函館市)
岩手県立盛岡第四高等学校(岩手県盛岡市)
茨城キリスト教学園高等学校(茨城県日立市)
渋谷教育学園幕張高等学校(千葉県千葉市)
埼玉県立浦和第一女子高等学校(埼玉県さいたま市)
埼玉県立所沢高等学校(埼玉県所沢市)
聖学院高等学校(東京都北区)
東京成徳大学高等学校(東京都北区)
豊島岡女子学園高等学校(東京都豊島区)
成城高等学校(東京都新宿区)
渋谷教育学園渋谷高等学校(東京都渋谷区)
東京都立富士高等学校(東京都中野区)
麻布高等学校(東京都港区)
田園調布学園高等部(東京都世田谷区)
国際基督教大学高等学校(東京都小金井市)
晃華学園高等学校(東京都調布市)
東京都立国立高等学校(東京都国立市)
横浜富士見丘学園高等学校(神奈川県横浜市)
向上高等学校(神奈川県伊勢原市)
横須賀学院高等学校(神奈川県横須賀市)
加藤学園暁秀高等学校(静岡県沼津市)
藤枝明誠高等学校(静岡県藤枝市)
静岡県立磐田南高等学校(静岡県磐田市)
名古屋大学教育学部附属高等学校(愛知県名古屋市)
愛知県立昭和高等学校(愛知県名古屋市)
豊川高等学校(愛知県豊川市)
滋賀県立彦根東高等学校(滋賀県彦根市)
清教学園高等学校(大阪府河内長野市)
愛媛県立八幡浜高等学校(愛媛県八幡浜市)
筑紫女学園高等学校(福岡県福岡市)
鹿児島県立松陽高等学校(鹿児島県鹿児島市)

 

オルタネート
加藤シゲアキ (著)

誰しもが恋い焦がれた青春の普遍を、真っ向から描ききる。
加藤シゲアキ、これが新たな代表作。

高校生限定のマッチングアプリ「オルタネート」が必須となった現代。東京のとある高校を舞台に、若者たちの運命が、鮮やかに加速していく。
全国配信の料理コンテストで巻き起こった〈悲劇〉の後遺症に思い悩む蓉(いるる)。母との軋轢により、〈絶対真実の愛〉を求め続ける「オルタネート」信奉者の凪津(なづ)。高校を中退し、〈亡霊の街〉から逃れるように、音楽家の集うシェアハウスへと潜り込んだ尚志(なおし)。恋とは、友情とは、家族とは。そして、人と“繋がる”とは何か。デジタルな世界と未分化な感情が織りなす物語の果てに、三人を待ち受ける未来とは一体――。
“あの頃”の煌めき、そして新たな旅立ちを端正かつエモーショナルな筆致で紡ぐ、新時代の青春小説。

雲を紡ぐ
伊吹 有喜 (著)

「分かり合えない母と娘」
壊れかけた家族は、もう一度、一つになれるか?
羊毛を手仕事で染め、紡ぎ、織りあげられた「時を越える布・ホームスパン」をめぐる親子三代の「心の糸」の物語。
いじめが原因で学校に行けなくなった高校生・美緒の唯一の心のよりどころは、祖父母がくれた赤いホームスパンのショールだった。
ところが、このショールをめぐって、母と口論になり、少女は岩手県盛岡市の祖父の元へ家出をしてしまう。
美緒は、ホームスパンの職人である祖父とともに働くことで、職人たちの思いの尊さを知る。
一方、美緒が不在となった東京では、父と母の間にも離婚話が持ち上がり……。
実は、とてもみじかい「家族の時間」が終わろうとしていた――。

「時代の流れに古びていくのではなく、熟成し、育っていくホームスパン。その様子が人の生き方や、家族が織りなす関係に重なり、『雲を紡ぐ』を書きました」と著者が語る今作は、読む人の心を優しく綴んでくれる一冊になりました。

 
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